【感想・ネタバレ】強いAIによる AIファーストの実現のレビュー

あらすじ

AI活用のビジネス本であり、同時にAIの技術書でもある一冊



(まえがきより)
本書の第1章と第2章では、生物および人間の脳が、もともと何を目指して進化していったかを紐解き、普段人間が何気なく行っているタスクと人間の脳の機能の関係を示します。これはビジネスでの幅広い実業をAIに行わせる時のAI技術の方向性を決めるものです。

第3章では、日本ではほとんど注目されていないAIファーストと呼ばれる欧米企業の壮大なビジョン・ビジネス戦略をご紹介し、その実現に必要なAI技術とは何なのかをストレートに考察します。第4章は、AIファーストを実現するであろう2つの実在するAIを、実例とともに具体的にご紹介します。

第5章は、第4章でご紹介した2つのAIと、第3章でご紹介したAIファースト実現のためのAIの必要要件に現在どれだけの技術の差異があるかを考察。最終章の第6章ではAIファーストのビジネス戦略を実現するための最後のミッシングピースについて述べます。




【コンテンツ】

第1章 人間の脳とAI

第2章 高度な人間の脳とAI

第3章 AIファーストカンパニーと実現のアプローチ

第4章 強いAIの2つの候補

第5章 強いAIと人間の脳

第6章 強いAIによるAIファーストを目指して



【著者について】

鹿子木宏明


東京大学大学院で博士(理学)を取得後、1996年にマイクロソフト入社。機械学習アプリケーションの開発等に携わる。2007年10月横河電機入社。プラントを含む製造現場へのAIの開発、適用、製品化等を手掛ける。強化学習(アルゴリズムFKDPP)の開発者の一人。2022年7月より横河デジタル株式会社代表取締役社長。著書に『プラスサムゲーム』(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2023年)。

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Posted by ブクログ

つい2,3年前にはAIは間違いが多く、まだ自分の仕事には使い物にならなかった。ところが1年ほど前からは「これ、案外使えるな」となり、今ではなくてはならない仕事のパートナー、超強力なアシスタントとなった。成果物のクオリティがAI以前とは全然違うのだ。さらに、どんな難しい課題が飛んできてもたちどころに方針を教えてくれる相棒ができたので、仕事自体も楽しくなってきた。

人間はいろいろなタスクをこなすことができるが、それは脳がそれだけ高度な能力をもっているからだ。そしてその能力は多様である。物を瞬時に判別する能力や反射的に反応する能力から、推論による長期予測やそれぞれに固有のナラティブをもって自己実現していく力などは様々な機能を持つ脳の異なる部位で行われ、それらの連携によって行動へと移される。

この本によるとAIも脳の部位にあたるようにそれぞれに得意な分野を持つ様々なタイプのプログラムがある。そして脳の行う作業のうち、思考実験によってナラティヴを作り出すという領域まではすでに深化しているらしい。「言語情報による抽象化と問題の自律定義」というのが、人間ができてAIができない最後のステップということだが、これが達成されると、多様なAIを組み合わせることで人間レスで成長を続ける企業体が成立することになる。

この本はAIについて語っているのだが、それは脳の仕組みについて考えることと表裏一体だ。そして同時にそれは、私たちの日常の行動に始まり、社会や国家、宗教や芸術といった世界の広がりがどう形作られてきたかというおおもとを考えることにつながる。そうやって世界を観察し直すことはワクワクするような思考体験になるはずだ。

と同時に、これからどうなるのかも気になってくる。今はまだAIを自分が使っているが、いずれ自分がいらなくなる段階がくるだろう。そのような社会がどんな社会になるのか想像もつかないが、そう遠くない未来にやってきそうだ。人類は産業革命以来の大変化の時代に突入しているのだ。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

過去に仕事でAIの説明をする機会があったときに、現在提供されているAIは弱いAIと言われているものであって、みんなが期待しているような万能なAIにはまだまだ遠いのであるということを説明したのでした。
本書では強いAIへの曙光が差している様子が示されていて、非常に興味深く思いました。プロセス制御の自動化が本書によるような形で実現できると様々なところで省力化を図ることができ、そこで最適化された人の労力を付加価値向上への思案に回せるようになることを期待したいです。
また、AI適用を目指す際のビジネスケースの分類は、現実的に多く見たことのある様子がまとめられていて、参考になると思います。

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2025年04月03日

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