あらすじ
日本を代表する現代美術家・会田誠による「犬」は、二〇一二年森美術館展覧会での撤去抗議をはじめ、数々の批判に晒されてきた。裸の少女の〝残虐〞ともいえる絵を、会田はなぜ描いたのか――? 作者が自作を解説することの禁を破り、動機、意図を初めて綴る。歴史を背負い、不完全な人間を表現することのジレンマ。ほぼ「遺書」ともいえる告白。
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Posted by ブクログ
☆4.5 性と叛逆精神
小谷野敦さんから。
私が会田誠を知ったのは高校の友人で、かれは「食用人造少女・美味ちゃん」といふのを見せてきた。そのあまりのグロテスクさとおぞましさときたら、少女の四肢を切断したり、陰部から食物が露出したりのオンパレード。
かるくトラウマになって、以降、会田誠は避けてきたのだが、これは明快な論理の上に成り立った書物で、かれの思考・思想がはなからつまびらかにされてゐる。
示唆的な本である。性についても、藝術についても。
いはく西洋からの藝術にたいする反抗精神があり、俗悪的な性と日本画を融合してみようと企図したのが「犬」であるといふ。
西洋のルネサンスに乗じた写実描写が、ともすればエロの開陳になってゐるといひ、またアンディー・ウォーホルの缶の絵にたいする解釈もどちらかといへば人物伝寄りの新鮮なものにかんじた。
歌川広重の波の絵のすごさもここで知った。
Posted by ブクログ
この本を読んで、現代アーティスト会田誠の片鱗に触れられた気がする。彼自身、こんな本=遺書はもう2度と出さないと宣言しているが、芸術に関して珍紛漢紛な自分にとっては、彼の作品「犬」の背景を知ることでこういう背景、意図、含意、吐露があったのだと感心した。それとともに、彼について何か親しみのようなものを覚えた。
この本を読んでみて思った感想のもう一つは、現代アーティスト会田誠の作品に対する(無理な)解説を通して、芸術の見方が何か少し開ような気がした。つまり、彼の芸術論を知るとともに、芸術の入門書としてかなりこの本は適していると思う。
オナニー、セックス、オーガズム、、、それらのワードがバンバン出てきて、かつ個人的体験を開けっピラに語るところが良かった。
身を切るような表現に少し痺れた。
性とはなんなのか、芸術とはなんなのか、芸術における性の表現とはいかにして可能か、そういうことに対して、具体から抽象、そして普遍的なものまで取り扱い、考えさせられる一冊。