【感想・ネタバレ】「おもてなし」という残酷社会のレビュー

あらすじ

東京オリンピック招致で、「おもてなし」が日本の良さを表す言葉として話題になったが、その反面、行き過ぎたサービス労働のために発症するうつ病、過労死が社会問題化している。その社会的背景や実例を示し、対処法を考える。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

昨今のヤマト運輸など、サービスが過剰かつ、それにのっかった「お客様意識」に警笛を鳴らす。
「お互い様」を忘れてはならない、忘れるくらい追い詰められている状況を何とかしないといけない、というのはすごく共感できます。

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2017年04月29日

Posted by ブクログ

日本のような「間柄の文化」特有の「お互い様」の精神の心地よさは、おもてなしが根づいていない「自己中心文化」に発する顧客満足度優先では崩れてしまうと指摘。

覚書
社会心理学 井川純一らのバーンアウト傾向の職種比較(2013年)600の精神科病院対象に実施
医療事務従事者、精神保健福祉士、看護師がバーンアウト度高く、医師、作業療法士、薬剤師がバーンアウト度が低いという結果。
看護師の感情労働測定尺度ELIN 片山由加里 
看護師の感情労働を探索的理解 表層適応 表出抑制 ケアの表現 深層適応の5つの因子でとらえる

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2019年01月05日

Posted by ブクログ

感情労働という言葉を、初めて知りました。
空気を読む日本人ならではのモンダイ。これがあるからこそ、日本人は親切で優しくて礼儀正しいのだが、だからこそ過重労働を止められなくなる両刃の剣。
このリスクは皆に知ってほしいです。自分を助けられるのは、最終的には自分しかいません。やるしかないからと過重労働に陥ったひとは、周りから何を言っても聞かない状態になることがあります。私の、近しいひとにも、何人もありました。あなたがしなくていい、まずは休めと言っても、でも行かなきゃ、ってボロボロの状態で行くんです。ボロボロだから、ミスも多いしスピードもあがらない。悪循環!結局はうつ病になって仕事を辞めることになり、再就職もたいへん。前と同じような条件の採用なんてまずないし、そもそも、働く体力と精神力は、そう簡単にもとにもどりません。頑張ってためてきた昇給分も、退職金も、キャリアも吹っ飛ぶ。
感情労働の泥沼からどう抜け出すかは、それぞれですが、まずはこの本にあるようなケースが、いつでもだれにでも起きること、日本人らしさがかえって沼に陥りやすいことを知ってほしいと思いました。

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

社会人大変だ!と改めて思った本
部下も上司もどの立場の人も気を使っていて人間関係って相手の気持ちが分からないから難しいなと思った。良い言葉使いができるように心がけたい。マイナスなこともプラス要素に言い換えたりして。

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

レポート課題の資料として借りた本。
日本人の得意とする「『おもてなし』の精神」。
「おもてなし」は日本の文化として昔から伝わる日本人らしさといえるだろう。
それをさらにさらにと追求することで過剰になり、日本人らしさを壊しつつあるのだ。
私も日本人として「『おもてなし』の精神」を持つ1人。恐れる「おもてなし」の意味を勘違いしてる1人でもあると痛感させれられた。おもてなしの本来の意味を人として考える本。

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2021年06月08日

Posted by ブクログ

もともと自然な気遣いができていた日本の文化に、欧米風顧客満足手法が導入され、過剰労働と感情労働に、労働者側の負担が増した。オリンピックに向けて「おもてなし」を売り物にお客様扱いを強調するのは、間柄の文化特有のお互い様の精神が崩れ、逆効果。

いきすぎると、本来の良さが失われ、形だけ・上辺だけやり過ごせばいい、となってしまいかねません。

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2019年12月18日

Posted by ブクログ

現代の過剰なまでのおもてなし精神が労働者全般の精神を蝕んでいることが明らかに。
介護、教員、医療、接客、コールセンターなどは顕著にその無理がたたっていると感じる。
お互い様精神がなくなるとこれ程までに日本人は他者にぶつける事するのか!?と
怖さを感じる

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2019年06月12日

Posted by ブクログ

日本人の心の深層には、自分の非を認めず自己正当化するのは見苦しい、みっともないといった感受性が根付いている。そのため、自分の非を認めずに自己正当化に走る人物は自分勝手な未熟者とみなされ軽蔑される。また、心の深層には、非を認めて謝っている人物はそれ以上責め立てるのは無粋であり、みっともないという感受性がある。そのため、自分の非を認めて謝る人物は、その潔さが評価され、寛大な対応がなされるのが普通である。このように自己正当化が嫌われ、謝罪が評価される日本にあっては、すぐ謝ることが当たり前になっている。謝ることによって場の雰囲気がよくなりお互い様といった感じで歩み寄ることができるからである。ところが、この日本人特有の文化的背景があるにもかかわらず欧米の価値観をむやみに取り入れてしまったため、過剰なお客様扱いが客の勘違いを助長させている。人間、誰しも自己愛が強く甘やかされれば図に乗ってしまう弱い存在。過剰なお客様扱いが客の自己愛を不必要に増長させ、気持ちよく働ける労働環境を破壊しつつある。かつてお互いさまの精神によって噛み合っていた気遣いと感謝のバランスを過剰なお客様扱いを推奨する風潮が崩してしまったのだ。客に対してキレそうな気持ちを必死に抑えながら、心は次第に蝕まれ追い込まれていく。労働政策研究・研修機構は過半数の職場でメンタルヘルスに問題を抱えている正社員が存在することを明らかにしている。間柄文化特有のお互いさまの精神が崩れ、多くの労働者の心は爆発寸前の状況にある。心の不調を訴える労働者が急増している中、「おもてなし」の在り方を見直し日本の良風美俗を再び取り戻さなければならない

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2018年09月15日

Posted by ブクログ

わかりやすく、今の過剰サービス社会とそれに疲れる労働者たちのしくみが書いてあった。

中程はやや冗長。

最後のまとめが、レジリエンスとリフレーミングだったのだけど、それってワタミの「やりがい搾取」となんの違いがあるのか明確にされてないのでがっかり。

でも、客観的に自分の置かれた環境がわかるのでぜひサービス業、特に接客業や看護師、教師などは読んだ方がいいと思う。

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2018年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 昨今過酷な労働環境についての関心が高まっている。違法な長時間労働もそうだが、接客業などは精神面で以前よりも厳しい労働環境になっているようだ。些細なことで怒る顧客に対してもひたすら謝ったり、理不尽な要求も撥ねつけずに丁寧に対応しなければならないなど精神面にかかる負荷が増加している。筆者はその原因に企業が顧客満足度の取入れたことを挙げている。評価基準に顧客の声を反映すると従業員側は顧客の不満につながることは何もできなくなる。しかし内心で湧く怒りを隠しているためにストレスになる、というメカニズムだろう。さらに筆者は日本は間柄の文化ということを強調している。たしかに欧米と比べると協調を重んじたり、波風を立てないようにという意識が高いところはあるだろう。ただそこにのみ原因があるわけではないとも思う。

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2017年04月04日

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