あらすじ
天下りの知られざる全貌がわかる決定版! 天下りははたして根絶できるのか? なぜこんな仕組みが生まれたのか? その歴史的経緯から各省別の特徴と実態、驚愕のケース、現役官僚たちの本音まで、すべてがわかる決定版!
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Posted by ブクログ
いわゆる「天下り」問題について述べた本。この本で特に問題とするのは、キャリア官僚のうち、課長や企画官以上のポストにつく人が関連法人などに再就職する天下りで、これは全退職者(約1200人)の約6割にのぼる。
興味深い記述
・天下りは国交省、厚労省など産業界との繋がりが深く、関連法人の多い官庁に多く、防衛省など関連法人が少なく、新しい省庁には少ない。また、環境省には上の定義にあてはまる天下りは存在しない。
・発生の背景
50歳前後での早期退職慣行、年次主義(同期横並び昇進)、年金水準の低さの3つ。
1つ目は若手に道を譲って昇進を促す狙いや、官庁内での派閥争いが関係する。
そして3つ目は意外に思った。局長級の年金水準は英(1618万)、米(1394万)のキャリア官僚の半分以下である622万円。さらには、90年代以降の景気の悪化も、それまで問題になっていなかった天下りへの風当たりが強くなった。
・天下りの弊害
税金の無駄遣い、官民癒着、官需に頼ろうと考える天下り先の活力と競争力の低下。
・天下りの長所
政官界のパイプ役、公務員のインセンティブ(ご褒美)、安い人事コスト(天下り自体のコストは安い)。
盲目的な批判や擁護に偏ることなく、天下りの実態が客観的に記されているという印象を受けた。必要なのは天下りを完全に根絶しようという強硬な姿勢ではなく、その弊害を最小限に抑えることだと思う。
それにしても圧巻なのは最後の歴代事務次官の再就職先一覧。池田勇人や鳩山威一郎など国政を担った人の名前も出てくる。