【感想・ネタバレ】機械仕掛けの太陽のレビュー

あらすじ

コロナと戦った医療従事者たちの真実とは?

現役医師として新型コロナと最前線で戦ってきた人気作家が満を持して描く、コロナ禍の医療従事者たちを描いた感動の人間ドラマ。
物語は3人を軸に進んでいく。 大学病院の勤務医で、呼吸器内科を専門とする女性医師・椎名梓。シングルマザーとして、幼児を育てながら、高齢の母と同居する彼女は、コロナ病棟の担当者として、最前線に立つことに。
同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師・硲瑠璃子は、結婚目前の彼氏と同棲中。独身であるがゆえに、やはりコロナ病棟での勤務を命じられる。
そして、70代の開業医・長峰邦昭。街の医師として、地元に密着した医療を行ってきたが、高齢で持病もある自身の感染を恐れながらも、コロナに立ち向かう。
あのとき医療の現場では何が起こっていたのか? 現役医師だからこそ描けるディテールは読み応えあり。
3人はそれぞれの立場に苦悩しながら、どのようにコロナ禍を生き抜くのか。だれもが経験したあの未曾有の事態の中、〈戦場と化した医療現場の2年半〉のリアルを描く感動の物語。

単行本 2022年10月 文藝春秋刊
文庫版 2025年1月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナ感染が日本で確認されてから、時系列で書かれた臨場感あふれた小説でありながら、読んでいて、医療ドキュメンタリーのような感覚に襲われた。

大学病院勤務の呼吸内科医、大学病院の救急救命部の看護師をしている硲瑠璃子、開業医の長峰邦昭の三人の視点で書かれている。

先日、クルーズ船、ダイアモンドプリンセスの集団感染を題材にした映画『フロントライン』を見た。

 どちらも、未知とのウイルスと最前線で戦う医療従事者の人たちの姿を、詳細に描かれていて、どれだけ現場が混乱し、大変であったなかでも、私たちのために働いてくれていたかを知ることが出来、ただただ感謝しかない。
 当時、報道などで見聞きしていたが、現場の生の声とはまた重さが違う、そして私たちの彼らに対しての想像力も足りなかったと思う。
 ただ、怖い、感染したくない、現実のこととして受け入れることが出来ない・・・。

 彼らもいつ自分が感染するかわからない、一番リスクの高い環境に身を置き、自分の身を守るためとはいえ、過酷な防護服を着て、体力の限界まで医療行為をされて・・・。
 それなのに、病院の外では、非常識な行為で医療をひっ迫させたり、最前線で戦う医療関係者たち家族への差別、もちろん感染が怖いからだけど、でも感染してしまったら病院へかかることになるのに。

 また、医療現場だけの内容ではなく、椎名梓は、持病のある高齢の母と同居していて、保育園へ通う息子の周囲の保護者からの偏見を聞くが、医療現場から離れることもできず、苦悩する。
 硲瑠璃子は、感染病棟での過酷な労働をする中で、結婚を考え同居していた彼との破局、いろいろな疲労の蓄積で心の均衡を失ってしまう。
 高齢で持病を抱えながらの長峰邦昭は、開業医でありながら、地域の患者たちに、こういった非常事態に陥った時、各機関との連携がうまくいかず、必要な医療がすぐに提供できず苦しむ。

 こういったことは、医療従事者だけの問題ではなく、私たちの身に起こる問題でもある。

 ウイルスとの戦いはこれで終わりではなく、この経験を次に生かせるよう、こういった教訓は世の中に、どんどん発信していったらいいと思う。

 本当に読み応えのある小説でした。

0
2025年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すっごく考えさせられる上に重たい小説だった。
コロナ禍の中での医療従事者の方々を題材とした作品。読んでいて辛い思いの中で奮闘してくれた方々を思うと涙がこぼれてしまった。
こういう方々が居たからこそ今のダメな政治家しかいない日本がギリギリのところで踏ん張っていられるのだと思った。

0
2025年05月25日

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