あらすじ
昭和三十年代、“安保阻止”のシュプレヒコールが谺(こだま)し、修羅場と化していく東京。学生運動を統べる者たちはさらに“国際反戦デー”に多角的武装蜂起を画策し、海外から謎の超能力者ドルジェフを招聘した。一方、自衛隊将校となった加藤保憲は、三島由紀夫を特別訓練生として鍛え、ドルジェフ打倒のため、祖国防衛隊を結成する。しかし、三島はやがて加藤の行動が全て“帝都壊滅”への布石であること知り、魔人に敢然と挑むのだが……。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
この巻は「百鬼夜行篇」と「未来宮篇」でした。
けっこうリアルに歴史をなぞってきたお話から、執筆された当時は近未来だった昭和70年あたりを描いています。
百鬼夜行篇では、70年安保闘争から全共闘運動という日本人同士が殺し合う鬼が喜びそうな時代が描かれていました。
三島由紀夫さんがけっこう重要なポジションになっていました。
今まで実在の人物をこれだけ勝手に描ける荒俣さんの突き抜けっぷりが合わなかったんだけど、未来宮篇になると時代もパラレルだし、それが逆にリアルっぽくて面白かったです。
殺伐とした時代を背景に人が人を平気で意味もなく殺していくとか(モーター付自転車の暴走族とかね…)、夢も未来もない近未来の東京がまさに「魔都」で、こんな「帝都」はさっさと廃墟になってしまえばいいのに…って感じがじわじわきました。
なんだか三島由紀夫さんが自死して大活躍って感じだったよ。
このあたりの感覚は、荒俣さん世代にはわかるのかなぁ?
我が家の面々は、さすがに三島さんの自死は知識としてしか知らないからねぇ…。