【感想・ネタバレ】教師格差 ──ダメ教師はなぜ増えるのかのレビュー

あらすじ

公立学校の教師が病んでいる。そして、教師力の深刻な低下。教育崩壊を後押しする「教師格差」は、避けることの出来ない現実である――。「尾木ママ」として知られる教育評論家が喝破する、日本の教育の現実と処方箋!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

対症療法。

今の教育のアプローチがそうである、と筆者は言います。ではどんな教育が望ましいのかといえば、『人間臭い教師の養成』つまり、昔の熱血教師の復興。懐古主義を思わせる内容に拍子抜けでした。
熱血教師、子どもに真摯に向き合うための手段が、現在の査定主義や煩雑な事務処理と相容れない。また保護者アンケート調査によると、理想の教師は、端的に言えば上記熱血教師で、更に、理想の子ども像や理想の教師、学校に求めるものは、『人の痛みが分かる子になってほしい』、『のびのびと子どもを伸ばしてほしい』がトップとなり、メディアが声高に叫ぶ『学力向上』を期待する保護者は少なかった…。

んー。
筆者の言う通り、確かに学校に対して学力の向上を求めるのはお門違いだと思うし(最低ラインは求めます)、学力向上を一番の目標に据えるなら学習塾に行かせればよいことで。学校というのは学力だけでなく、学校生活を通して、他人との強調・協働・協力を通じて共感性や情操、自律、責任感の醸成を目指す、言わば社会生活を営む上で必要な要素を培う『社会生活のミニチュア版』。
その音頭取りが教師なんだけど。
全ての教師が熱血教師だったら気持ち悪いだけで、もっと教師にも多様性を促進させるような方向性を持たせた方が良いような気がします。

序盤から終盤にかけて、著者による調査や文科省のデータを資料としてまとめてあり、丁寧な解説と著者の私見をうまくミックスさせていて読みやすいのですが、終盤からのまとめでは、ちょっと説得力に欠ける面もあり、著者の見解も紙幅的に言えば少なかったのが残念です。まぁしかし、押し並べて面白く読めました。

最後に、理想の教師像というアンケートの調査結果(本書掲載)をまとめたものを載せます。

好きな先生の条件(理想の先生像) NHK『少年少女プロジェクト』の調査
中学・高校生の回答
気楽に話せる…61%
授業がわかりやすい…50%
ユーモアがある…41%
どの生徒にも公平に接する…39%
生徒の話を真剣に聞いてくれる…32%
自分の過ちを素直にみとめる(あやまる)…19%
怒るときはきちんと怒る…17%

校長の回答
授業がわかりやすい…92%
気楽に話せる…4%
ユーモアがある…8%

保護者の回答
生徒の話を真剣に聞いてくれる…67%
授業がわかりやすい…56%
どの生徒にも公平に接する…50%
怒るときはきちんと怒る…44%
気楽に話せる…26%

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2011年09月07日

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