あらすじ
同じ部署の三人が近頃欠勤を繰り返し、その分仕事が増える私はイライラが頂点に。ある日、三人のうちの一人、先輩女性の下村さんから、彼らの三角関係を知らされる。恋人を取られたのに弱っているのか開き直っているのか分からない下村さんの気ままな「ダンス」に翻弄される私は、いったいどうすれば――新潮新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
すごくテンポが良くて、読みやすかったです。
恋愛の問題で、3人も欠勤を繰り返してる会社そんな仕事場嫌だなと思いました。
主人公が、ビンタしたい気持ち分かる。
でも、下村さんはなぜか憎めない愛しい人だなと思いました。
30代を、どう生きるかが大切なのかな。
Posted by ブクログ
こういうクレイジーな人好きだからとても面白かった
近くにいたらとってもイライラしつつも楽しいんだろうなと思った
主人公に最後起こる怒涛の展開が怒涛すぎてついていけない部分というかもっと繊細に知りたいと思うところもあったけど、
良い三十代だったんだねっていう言葉で全てを救ってくれてるな、この言葉を胸にこれから起こること乗り越えていけるんじゃないかなと思った
Posted by ブクログ
公私混同な三角関係に巻き込まれ、ここのところ仕事のフォローや尻拭いばかりさせられている主人公・ゆりは、
〈今日こそ三人まとめて往復ビンタをしてやろうと堅く心に決めて会社に行った。〉
本作は、そんな威勢のよい一文から始まる。
婚約関係にあった"かまぼこ1"を、彼の隣の席に座る"かまぼこ2"に略奪された下村さんは、それ以来しょっちゅう仕事を休んでは婚活パーティーに精を出したりしているご様子。
やっと出社したかと思えばあてつけのような派手な化粧とミニスカート姿だったり、酒臭かったり、心の中では傷ついているのかいないのか、つねに飄々としている。
ゆりは往復ビンタの機会を窺いながらも、下村さんとの会話は楽しげで、悪態をつきつつ仲が良く、なんだか読んでいて微笑ましかったし、二人の関係性が羨ましくさえ感じた。
やがて音信不通になってしまうのだけれど、ひょんなことで再会してからのやりとりは相変わらずで、下村さんという女性がもつ、軽やかで素敵な人間性が感じられた気がした。
「それで、どうだった。あなたの三十代は?」
あと数年後、私にもそのと時がきたら心の中の下村さんに問いかけられるような予感がする。
いいお風呂、いい風、いい三十代。
作者の竹中優子さんは、これまで短歌の世界において評価されてきた歌人ということで、読んでいて言葉のリズムが小気味よく、比喩表現にも心をくすぐるようなオリジナリティがあった。
例えるなら初期の角田光代のような、高瀬隼子のような、佐々木愛のような。
デビュー作のこちらは第172回芥川賞候補作にもなり、これからどのように活躍されていくのかがとても楽しみな方。次回作が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
先輩の下村さんが会社に来なくなり,ストーカーまがいのことをするのに付き合わされたりして,主人公は一発ビンタをしたいと思う.この巻き込まれる関係の奇妙な面白さが,つまりは下村さんの人間力がじわじわと面白い.
Posted by ブクログ
私が下村さんなら、相手のどちらかに仕事を辞めるか異動するかしてもらえるようにするな。と本筋ではないところが気にかかった。
他人の家でお風呂を借りる老夫婦の話し。少しずつ迷惑をかけて生きていこうとしたに違いない。との主人公の言葉が印象に残る。なるべく迷惑をかけないようにと思うが、ほんとはみんな少しずつ迷惑かけたりかけられたりした方がいい気がする。
Posted by ブクログ
この方の作品も初めて。近頃欠勤を繰り返している同僚三人のせいで主人公の仕事量が増え、イライラする日々。実はこの三人は三角関係で……という話。ついつい主人公に肩入れし、欠勤がちな上司に対して「いくら同棲解消されてショックとは言え、仕事休んで他人に迷惑かけるなよ……」と思ってしまうだけではもったいないくらい、独特の良さがある作品。パソコンの画面からおでこが少し見えることをかまぼこと表現するのが面白い。同じ光景に遭遇したら笑ってしまいそう。主人公の淡々としている語り口調から「職場に馴染めてない感」がよくわかるし、まさかの不動産屋の太郎と結婚したかと思えば離婚してるし、劇的なことは何も起こらないけど、感想をまとめているうちに「いい作品だなあ」と思えた一冊。
Posted by ブクログ
すぐに読めてしまったが、なんだったのかよくわからんかった(笑)
ディスカウントで下村さんと再会したときの会話、「いい三十代だったんだね」が私の胸に届くまでのところが、いろいろ心にきて、しばし考えた。
Posted by ブクログ
ビンタしたい、
その感情は、複雑らしい。
自分はあまり持ちえないかもしれない、分からない。
でもそういう人いるし、分からなさすぎる感はある。
わたしの場合はそこまで関わらなくなりそうだけれど。
主人公は下村さんに何か思い入れがありそう。そうじゃないとそこまで感情を動かし続けない。
自分に似たところがあるのかもしれない。
怒りの裏にある、嫉妬心?自分にないもの、でも自分も本当は欲しかったものを持っているから?
分からない。
30代は人を別人にするなんて、
聞いたことなかった。
そういうふうに考え始めたらそうなのかもしれないし。
大人になったら人は安定するというのが通念だけど、
きっと、いつになっても人は変わる。30代でも。
30代でも「高校生」と大して変わらない。
それをそうとして生きている人がうらやましいのかもしれない。
そして人それぞれの高校生がある。