あらすじ
同じ部署の三人が近頃欠勤を繰り返し、その分仕事が増える私はイライラが頂点に。ある日、三人のうちの一人、先輩女性の下村さんから、彼らの三角関係を知らされる。恋人を取られたのに弱っているのか開き直っているのか分からない下村さんの気ままな「ダンス」に翻弄される私は、いったいどうすれば――新潮新人賞受賞作。
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主人公の性格や周囲への立ち振る舞いに共感する部分が多かった。あの2人、かまぼこみたいなんだよねと先輩が言った後から名前がかまぼこ1とかまぼこ2に変わるところも面白かった。下村さんのことは好きだけど得意か苦手かで言えば苦手です、と本人に言えちゃうところがいいなと思った。夜の公園で出会った不動産屋の太郎とは関係を深めて結婚まで至ったのに、下村さんとは音信不通になるところがなんだか2人らしかった。普通の人が高校生くらいの時に経験することを30代で経験した気がします、と主人公の30代に対する感想が好き。
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25分で読破。
読み始めてから読み終わるまでずっと体が軽くて浮いていた気がする。
あまりにもぼーっとしていてそれが印象に残った。
辛い時、何も考えたくないときに読んだらホッとすると思う。
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サラリと人生。狭い職場で修羅場が起きたのに淡々。当事者以外はそんなもんだろうけど。私と太郎が結婚して、私は太郎の影響でいい方に向かうのかと思ったのに、駄目だったんだ。下村さんとの不思議な関係、また十何年後に会うのかな?
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生きてくって、こんな感じよね。ちょっとした面倒に巻き込まれたり。それなりにドラマチックなこともあったりなかったり。なんだか理不尽なことがあって相手に腹が立っても結局は怒鳴り込むようなこともなく、相手にビンタをお見舞いするようなこともなく。逆になぜか飲みや部屋の内覧に付き合ったりしてる。ものすごく親密かといえばまったくそんなこともなく、十数年ぶりにひょっこり出会っても、さらりとまたねと別れる。離婚後すぐに病気が見つかる。気が滅入るが、そんなこともある。日々は続く。淡々と、生きていかねばね。がんばろう、みんな。
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下村さんと同じ職場の私が、彼女に対する複雑な想いを語る物語だが、何かもどかしい感じの読後感だった.それは私が何度も告白している「馴染む」という感覚が得られないのではないかと考えた.社員の形容も面白い.山羊やかまぼこ.人の家のお風呂を借りる老夫婦、スケボーの男、まろんの犬小屋など面白いエピソードが出てくるが、それぞれの存在意義が掴めなかった.芥川賞の候補作品に選ばれた由だが、本選で落ちたのは当然か?
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ビンタするから始まるので、なかなか戦闘力高めの主人公だなと思ったが、読み進めると周りの環境に振り回されながらも生きる1人の女性の話だった。
空想の中ではとんでもなく強気になってむかつくーと思ったら足引っ掛けてやる!とか思ったりするのでけっこう共感した。
あとビンタしたいよ、めちゃくちゃムカついてるよ!と言う思いを心を許した相手にはきちんと伝える感じが好きだなあと思った。
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すごくテンポが良くて、読みやすかったです。
恋愛の問題で、3人も欠勤を繰り返してる会社そんな仕事場嫌だなと思いました。
主人公が、ビンタしたい気持ち分かる。
でも、下村さんはなぜか憎めない愛しい人だなと思いました。
30代を、どう生きるかが大切なのかな。
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こういうクレイジーな人好きだからとても面白かった
近くにいたらとってもイライラしつつも楽しいんだろうなと思った
主人公に最後起こる怒涛の展開が怒涛すぎてついていけない部分というかもっと繊細に知りたいと思うところもあったけど、
良い三十代だったんだねっていう言葉で全てを救ってくれてるな、この言葉を胸にこれから起こること乗り越えていけるんじゃないかなと思った
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公私混同な三角関係に巻き込まれ、ここのところ仕事のフォローや尻拭いばかりさせられている主人公・ゆりは、
〈今日こそ三人まとめて往復ビンタをしてやろうと堅く心に決めて会社に行った。〉
本作は、そんな威勢のよい一文から始まる。
婚約関係にあった"かまぼこ1"を、彼の隣の席に座る"かまぼこ2"に略奪された下村さんは、それ以来しょっちゅう仕事を休んでは婚活パーティーに精を出したりしているご様子。
やっと出社したかと思えばあてつけのような派手な化粧とミニスカート姿だったり、酒臭かったり、心の中では傷ついているのかいないのか、つねに飄々としている。
ゆりは往復ビンタの機会を窺いながらも、下村さんとの会話は楽しげで、悪態をつきつつ仲が良く、なんだか読んでいて微笑ましかったし、二人の関係性が羨ましくさえ感じた。
やがて音信不通になってしまうのだけれど、ひょんなことで再会してからのやりとりは相変わらずで、下村さんという女性がもつ、軽やかで素敵な人間性が感じられた気がした。
「それで、どうだった。あなたの三十代は?」
あと数年後、私にもそのと時がきたら心の中の下村さんに問いかけられるような予感がする。
いいお風呂、いい風、いい三十代。
作者の竹中優子さんは、これまで短歌の世界において評価されてきた歌人ということで、読んでいて言葉のリズムが小気味よく、比喩表現にも心をくすぐるようなオリジナリティがあった。
例えるなら初期の角田光代のような、高瀬隼子のような、佐々木愛のような。
デビュー作のこちらは第172回芥川賞候補作にもなり、これからどのように活躍されていくのかがとても楽しみな方。次回作が待ち遠しい。
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先輩の下村さんが会社に来なくなり,ストーカーまがいのことをするのに付き合わされたりして,主人公は一発ビンタをしたいと思う.この巻き込まれる関係の奇妙な面白さが,つまりは下村さんの人間力がじわじわと面白い.
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面白かった。簡潔で読みやすく展開も早い。そしてほどよくシュール。
迷惑を被っているにもかかわらず同僚を放っておけない主人公のやるせない心情が、「往復ビンタ」という表現でうまく表されていると感じた。
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女性同士の友情のような、さらけ出し合った痛い部分のその傷のなめ合いのような、楽しくもなく哀しくもない人間関係。それでいて我が身を顧みる機会を持つことが出来る有意義な読書タイムでした。
いやぁ~ホント、楽しかった。
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私が下村さんなら、相手のどちらかに仕事を辞めるか異動するかしてもらえるようにするな。と本筋ではないところが気にかかった。
他人の家でお風呂を借りる老夫婦の話し。少しずつ迷惑をかけて生きていこうとしたに違いない。との主人公の言葉が印象に残る。なるべく迷惑をかけないようにと思うが、ほんとはみんな少しずつ迷惑かけたりかけられたりした方がいい気がする。
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この方の作品も初めて。近頃欠勤を繰り返している同僚三人のせいで主人公の仕事量が増え、イライラする日々。実はこの三人は三角関係で……という話。ついつい主人公に肩入れし、欠勤がちな上司に対して「いくら同棲解消されてショックとは言え、仕事休んで他人に迷惑かけるなよ……」と思ってしまうだけではもったいないくらい、独特の良さがある作品。パソコンの画面からおでこが少し見えることをかまぼこと表現するのが面白い。同じ光景に遭遇したら笑ってしまいそう。主人公の淡々としている語り口調から「職場に馴染めてない感」がよくわかるし、まさかの不動産屋の太郎と結婚したかと思えば離婚してるし、劇的なことは何も起こらないけど、感想をまとめているうちに「いい作品だなあ」と思えた一冊。
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馴染むってなんだろう、とこの本を読むと考えさせられるけれど、馴染むってこと自体を私はあまり考えたことがないことに気づいた。
太郎が、主人公に息苦しさを感じた気持ちが分かるような気がして、私も最後まで読んでいて、不快・不安な気持ちになった。普段は何も言わずにいるのに、心の中ではこの主人公のように人間関係を気にし続ける同僚がいるのは不気味だと思った。この本は普段は関心もなく思いを馳せたりしないそういう人たちの気持ちに目を向けさせられる、たぶんそれが本書の文学的な意味だと思う。
最後にやや唐突に主人公の三十代が紹介され、三十代は人を別人にすると書いてあった。筆者は女で、主人公も女で、主語は限定されていないけれど、これは女の感覚だ。身体の性別とジェンダーと合わせて三十代が女にとってどれだけ苛烈であるか、二十代には想像もしていなかった。ここを話し出すとフェミニスト文学って言われるんだろうから深入りしない作者の選択も分かる。けれど、女性の主人公にリアリティを与える時に、意図的に避けない限りそこを通れないという柚木麻子のコメントを思い出した。
この三十代別人説は、また別の作品で向き合って語ってみて欲しい。
Posted by ブクログ
オーディブルで。職場に馴染めず、噂話に疎い主人公が、同棲していた恋人と別れたばかりの先輩社員、下村さんと接触を持つ。下村さんは、しょっちゅう欠勤したり、いい加減だったり、すこし変わった人。彼女に振り回されるように、飲みに行ったり、不動産を見に行ったりしながら、過去の話をするなどして親交を深めていくが、部署異動で疎遠になる。その後、結婚、離婚して、四十代で再会。三十代はどうだった? という会話をする。
「今日こそ三人まとめて往復ビンタしてやろう」という始まりは、「ぶつかったる」で始まる『いい子のあくび』の高瀬隼子さんを思い出したけれど、もっとふんわりとしてつかみどころのない人間関係が展開される。先輩にムカついてるけど、そうでもなさそうとういうか。詩人ということで、言葉選びは秀逸なのでしょう。一時期、濃密だった時期のある人との再会。さらりと流れていく時間。ダンスというのは、人が生きるためにもがいている姿のことなのでしょうか。
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読みやすかった軽く読んだ
ある女性の20代から40代までの生活
職場の先輩が休むので
その仕事をこなさないといけない
殴りたいと思いながら先輩と付き合う
その人は職場で三角関係
あるだろうなそんな事
しかしそんなに休んでよく首にならないなワーカホリックだった私には
考えられない
職場は変わり世話していた彼女は
結婚
子どもは産まれず癌になった
うまくいかなくなった亭主と別れ
部屋に置くボックスを探していたら
10年以上音信不通だった先輩に会う
昔と変わらない様子
とにかく軽く人生を渡っている感じ
いいなこの感性
私ならもっと重くシビアになるだろう
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すぐに読めてしまったが、なんだったのかよくわからんかった(笑)
ディスカウントで下村さんと再会したときの会話、「いい三十代だったんだね」が私の胸に届くまでのところが、いろいろ心にきて、しばし考えた。
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職場で浮いているのは私なのか…
同じ部署の3人が欠勤を繰り返しているが、山羊みたいな係長は全く気にしておらず、私に「仕事に慣れるより、職場に馴染むことを目標に頑張って」と言う。
遅刻や欠勤を繰り返し、その仕事まで私がやっているのに…と。
そのうち下村さんが同僚と三角関係になっていると聞き…
同僚の三角関係に翻弄されながら徐々に馴染んでいっているのか…と感じながら他人の家でお風呂を借りる老夫婦の話などにちょっと驚きつつ、あぁなるほどお風呂に拘りのある話でもあるなぁと。
下村さんが辞めたあと、気になってたその後もなかなか濃い出来事で、人生ってわからないなぁと思った。
自分の三十代はどうだったのか?と振り返ってみたが…特に…。
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すらすらと読み進められる本
離婚後、病気がわかり、この先どうなるか
普通は不安な気持ちになるところが、下村さんとの再会、現在を知り、この先に希望を持って踏み出す様子が感じ取れた
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下村さんと主人公の関係は、決して仲の良い友達ではないが、ちょうど良い距離感で無理がない、お互いを認め合ってるのだと感じた
私もこういう距離感の人がいると、気持ちの安定が得られると感じる
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芥川賞候補作品。下村さんという先輩とのやり取りで進む話なのだが、ちょっとどう読み解けばいいのか分からなかった。会社の中の普通だけど異常な人間関係の中で、何かを破壊しようとするものの何も破壊されしないし、なんだかモヤモヤした。もっと深く読み込めば何か分かることがあるのかもしれないが、私のレベルでは無理だった。作者に踊らされるから「ダンス」なのだろうか。
Posted by ブクログ
ビンタしたい、
その感情は、複雑らしい。
自分はあまり持ちえないかもしれない、分からない。
でもそういう人いるし、分からなさすぎる感はある。
わたしの場合はそこまで関わらなくなりそうだけれど。
主人公は下村さんに何か思い入れがありそう。そうじゃないとそこまで感情を動かし続けない。
自分に似たところがあるのかもしれない。
怒りの裏にある、嫉妬心?自分にないもの、でも自分も本当は欲しかったものを持っているから?
分からない。
30代は人を別人にするなんて、
聞いたことなかった。
そういうふうに考え始めたらそうなのかもしれないし。
大人になったら人は安定するというのが通念だけど、
きっと、いつになっても人は変わる。30代でも。
30代でも「高校生」と大して変わらない。
それをそうとして生きている人がうらやましいのかもしれない。
そして人それぞれの高校生がある。
Posted by ブクログ
同期に借りた本。
自分には関係ない三角関係が職場で行われていることによって、自分にも仕事量が増えるという点で影響がでている。自分には関係ないのに…。そうやって、他人と一線を引いていた自分なのに、三角関係の渦中にいる仕事に来ない先輩とプライベートで仲良くなる。その先輩の親しみやすさによって、徐々に自分の心が解けて他人に自分の素を出せるようになっていく。迷惑をかけないようにと生きてきたのに「少し他人に迷惑をかけてもいいのかな」と思えるようになっていた。
主人公の名前が出ていないことはおもしろい。
係長を山羊、三角関係の渦中の先輩以外をかまぼこ1.2と表記していて、いつも物語を読む時にこれ誰だっけ?ってなる私からしたら読みやすくて好きだった。下村さんは下村さん、太郎は太郎な所も主要な人物に注視できて分かりやすい。
老夫婦の他人のお風呂を借りる旅のエピソードは、他人に迷惑かけることで、そこで知る人の温かさや、人との繋がりを感じることができる今までしてあげる方が多かっただろう夫婦。反対にしてもらうことで得られる何かを探していたのかな。結局その夫婦にしか目的はわからないが私はそう思えた。
同僚が好きそうと言って貸してくれた本。返す時にこの本で得られたことの何を伝えよう。早く語りたい。
Posted by ブクログ
テンポが良くて読みやすかった。主人公のイライラする感じとかよくわかる、ぶつかるように生きる下村さんのまっすぐさとか強さはちょっと痛々しいけれど憧れるのもわかるなあと。風が吹く感じが文章から伝わってきて気持ちよかった。
Posted by ブクログ
下村さんの感情も、主人公の感情も共感できるし、とても苦しくなった。
最初は下村さんのことが好きじゃなかったけど、中盤からは気づいたら応援してた。
人それぞれ恋愛を通して、別れや辛いことも経験するけど、みんな少しずつ前に進んでいくんだな。と。ちょっぴり自分の過去と照らし合わせながらの読書でした。
題名の「ダンス」の比喩は、今後使いたいレベルで好き。
静かに前向きになりたい時に読み返したい本。