あらすじ
ただ気分を吐き出すためだけの言葉をネット上に書き散らし、真偽の不確かな情報に右往左往し、目的もなく自分のフォロワーを増やそうとする。そんなものは、コミュニケーションではない。高度成長期以降、日本人は「現状維持」のために協調性ばかり重んじて、本質的な問題について真剣に「議論」することを避け続けてきた。そのツケが今、原発問題を筆頭とする社会のひずみとして表面化しているのだ。我々はなぜ人と繋がろうとするのか。真のコミュニケーションとは何か。世界が認める巨匠が初めて語る、目から鱗の日本人論。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
押井守といえば、攻殻機動隊など古いアニメ好きとしては気になる。アニメ監督が社会評論を書くなどあまり感心しないのだが、つい読んでしまった。
標題の意味は
ネット上の馴れ合いや盛り上がりなど本当のコミュニケーションとは言えない。感情の垂れ流しでうねりとなる共感やそこから生まれる絆などは気分だけのものである。自分の頭でロジカルに考えろ。覚悟を持て。
そんなところだろうか。
いつもどおりの言説で、特に新しいことは何もないのだが、安心した。何が正しいとか何をすべきとか押井は語っていない。
団塊の末尾につく者らしく、反逆児的な論調でうるさいオヤジといった感じ。
それでいいのだ。
クリエイターが政治的な行動を煽るなどお門違いでうさんくさいと私は思っている。
これを読んだ人が刺激を受け、まわりに流されず何かを考えようとしたならば、本書の試みは大成功なのだろう。
個人的には、目新しさはなかったので星3つ。初めてこういうものに触れる人には、もっと値打ちが上がるかもしれない。
ただし、本来は伝えたいことは作品上でやってほしい、本なんか書いてる場合か。とも思うのである。