あらすじ
「ふつう」の高校生活を送ってきた、ちぐさ。父の再婚で新しく弟になった晴彦はブラが好きな男の子で――「好き」を大切にしたい全ての人に贈る、青春小説のニュースタンダード!氷室冴子青春文学賞大賞。
第2回氷室冴子青春文学賞 大賞
「ふつう」よりも「好き」を大切にしたい全ての人へ贈る、今最も読むべき青春小説!
「おれは、好きだって気持ちを大事にしたい。正しくなくても、合ってなくても、好き、を手放したくない。うそにしたくない。苦しみも悔しさも、嫌いになりそうな気持ちもぜんぶひっくるめて、好きなものを大事にしたい。それを好きだって思う、自分の気持ちを大事にして、生きていきたいんだ」
父の再婚で新しい母・瞳子さんと弟・晴彦と暮らすことになった、高校1年生のちぐさ。ある日自宅で晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇。おしゃれだからブラが好きという彼を家族として「理解」しようとするが――?
解説=三宅香帆
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Posted by ブクログ
まなもんが名古屋でお勧めしていた&文庫版は三宅香帆さんが解説を書いていたこともあって読みました。
佐原ひかり作品は初めて読みましたが、文章表現がいい塩梅で繊細で優しくて強くて温かく、小説なのに付箋をたくさん貼りながら読みました。
p106
どう謝るべきかなんて、考えたって仕方がない。
そんなもの、結局、逃げ回ったすえに出てくる言葉だ。
保身ゆえの不誠実さを、晴彦の感情をないがしろにしたことを、率直に詫びなければいけない。
許されるとか許されないとか、関係ない。
私は、晴彦のやさしさに釣り合う人間でありたい。
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思春期の時の、ぐるぐる思考は回るけど、どう言語化したらいいのかわからないっていうモヤモヤした感情を絶妙な塩梅で表現してくれる佐原ひかりさん。
素晴らしいと思ったし、何度も繰り返し読みたくなる表現が多いなと感じました。
他の作品も少しずつ追っていきます。
一応28歳の大人が読んでも面白かったので、思春期の子達ならもっと真に迫る面白さが発見できるのではないかと思いました。
オススメです!!
Posted by ブクログ
急に新しい母親ができ、その上、年の近い弟もでき、しかもその弟がブラジャー好きで身につけている始末。まだ性同一障害であるなら受け入れる余地があろうが、そこはノンケ。
んー、自分だったらこの状況受け入れられるかな?と思うところ、そこは優しい主人公であるちぐさは、理解しようと努める。
なのにちょっと友達にブラジャー好きの弟を正確に伝えられずに妹と紹介し、怒られる始末。自分(弟)の前ではブラジャー好きを理解したように言ってたくせに、他人の前ではやっぱり隠そうとする的な感じで言われるが、そらそうやろと思うわけです。
そら嫌やろ隠すやろ、何でも受け入れてやらなきゃいけない世の中についていけなくなってきている初老です。
Posted by ブクログ
初めての作家さん、非常によかった。
再婚でできた姉弟。なんとなくで仲直りなんて無理な脆い繋がりの家族。
思春期同士の姉弟がこんなにも心を開けるのだろうか。
多感で繊細な時期の友情や恋人関係、
こんなにもお互いが自分を出して、相手を受け入れられるのだろうか。
と、若干現実離れは否めないものの。
でも、こんなにも人と人とがぶつかり合って
認め合えたら、いい関係を築けるだろうなとも思った。
普通よりも、好きを大切にする。
そりゃそーでしょ!と、思いながらも
人目や建前を気にして、なかなか実行できない世の中だから
晴彦の真剣さや、素直さがかっこいい。
好きだって気持ちを大事にしたい。
正しくなくても、合ってなくても、好きを手放したくない。
うそにしたくない。
苦しみも悔しさも、嫌いになりそうな気持ちもぜんぶひっくるめて
好きなのを大事にしたい。
それを好きだって思う、自分の気持ちを大事にして、生きていきたいんだ。