あらすじ
「ふつう」の高校生活を送ってきた、ちぐさ。父の再婚で新しく弟になった晴彦はブラが好きな男の子で――「好き」を大切にしたい全ての人に贈る、青春小説のニュースタンダード!氷室冴子青春文学賞大賞。
第2回氷室冴子青春文学賞 大賞
「ふつう」よりも「好き」を大切にしたい全ての人へ贈る、今最も読むべき青春小説!
「おれは、好きだって気持ちを大事にしたい。正しくなくても、合ってなくても、好き、を手放したくない。うそにしたくない。苦しみも悔しさも、嫌いになりそうな気持ちもぜんぶひっくるめて、好きなものを大事にしたい。それを好きだって思う、自分の気持ちを大事にして、生きていきたいんだ」
父の再婚で新しい母・瞳子さんと弟・晴彦と暮らすことになった、高校1年生のちぐさ。ある日自宅で晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇。おしゃれだからブラが好きという彼を家族として「理解」しようとするが――?
解説=三宅香帆
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Posted by ブクログ
私は、カラオケの合いの手が苦手です。とても息苦しい。大学の部活、昔の外科医局、その時間は特に期待され窒素しそうでした。一般には小さなことかもしれません、ただ佐原先生ならば、そんなことで味方になるような、当時の私にとってちょっとした味方となる作品を、今後も生み出してくださるような気がしました。
Posted by ブクログ
「ふつう」よりも「好き」を大切にする。この大切さを知れる1冊だ。
周りになんと言われようと、私は私の好きなものを貫いてきました。
しかし、それ故に、思春期の頃に、葛藤もありました。
晴彦を見て、やっぱり、「好き」という気持ちに正直にこれからも生きていこうと思い、周りからの見られ方に苦しくなった時に、この本を読んで、晴彦に元気をもらいたい。
多様性と言われてる今の社会を生き抜く私たちにぜひ読んでほしいそんな1冊だと感じました。
Posted by ブクログ
まなもんが名古屋でお勧めしていた&文庫版は三宅香帆さんが解説を書いていたこともあって読みました。
佐原ひかり作品は初めて読みましたが、文章表現がいい塩梅で繊細で優しくて強くて温かく、小説なのに付箋をたくさん貼りながら読みました。
p106
どう謝るべきかなんて、考えたって仕方がない。
そんなもの、結局、逃げ回ったすえに出てくる言葉だ。
保身ゆえの不誠実さを、晴彦の感情をないがしろにしたことを、率直に詫びなければいけない。
許されるとか許されないとか、関係ない。
私は、晴彦のやさしさに釣り合う人間でありたい。
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思春期の時の、ぐるぐる思考は回るけど、どう言語化したらいいのかわからないっていうモヤモヤした感情を絶妙な塩梅で表現してくれる佐原ひかりさん。
素晴らしいと思ったし、何度も繰り返し読みたくなる表現が多いなと感じました。
他の作品も少しずつ追っていきます。
一応28歳の大人が読んでも面白かったので、思春期の子達ならもっと真に迫る面白さが発見できるのではないかと思いました。
オススメです!!
Posted by ブクログ
ー私はたぶん、願いすぎていた。自分にも、他人にも。
傷つけないから、傷つけないで、と祈っていた。 (p.118)
書店で何気なく手に取った本。とても面白くて、一気に読んでしまった。
父・"悟くん"の再婚で新しい母・"瞳子さん"と弟となった晴彦と暮らすことになった主人公のちぐさ。
親しい友人もいて、恋人もいて、周りの人と上手くやっているいわゆる"普通"の女子高生のちぐさは、ある日晴彦が女性向けのブラを着けているところを目にする。晴彦を受け入れようとしつつも、友人たちの目や周りの"普通"を気にして晴彦を傷つけてしまったちぐさのもがく様子に引き込まれた。
"普通"を気にしすぎて、周りの目も気にしすぎてしまう姿に共感した。
ー他人からすれば些末な、くだらないことでも、自分にとってみたら譲れないことって、きっとある。それが多ければ多いだけ、生きづらくて、傷みやすい。 (p.47)
Posted by ブクログ
佐原ひかりさんに言葉選びが好きだ。「溜まっていた思いを出し切った後、奥底に一つ、残っていたものを見つけた。」登場人物の思いが、色鮮やかに伝わる。
そして、言いたいことは言う。仲良くしたいなら、傷ついたなら、好きだと思ったなら。
自分の想いをはっきりと伝えることが怖い。自分と相手の関係が変わってしまうんじゃないかと怖くなる。それでも伝えるべきだ。伝えないと相手は気づかない。自分が、何を考えているのか。もしかしたら、相手も気にしているのかもしれない。
自分の想いを伝えよう。
Posted by ブクログ
多様性のお話。
キツすぎなくてPOPな内容でかわいらしい。
これはきっと、ことの発端が下着だからかもしれないし、登場人物に決して悪い人がいないからかもしれない。
なんとなーくあらすじをみて面白そうで買ってみたけど、素敵だった。
現代の風刺ぽさもありつつ、ポップな内容。
ストーリー性もコンパクトに纏まってて◎
Posted by ブクログ
急に新しい母親ができ、その上、年の近い弟もでき、しかもその弟がブラジャー好きで身につけている始末。まだ性同一障害であるなら受け入れる余地があろうが、そこはノンケ。
んー、自分だったらこの状況受け入れられるかな?と思うところ、そこは優しい主人公であるちぐさは、理解しようと努める。
なのにちょっと友達にブラジャー好きの弟を正確に伝えられずに妹と紹介し、怒られる始末。自分(弟)の前ではブラジャー好きを理解したように言ってたくせに、他人の前ではやっぱり隠そうとする的な感じで言われるが、そらそうやろと思うわけです。
そら嫌やろ隠すやろ、何でも受け入れてやらなきゃいけない世の中についていけなくなってきている初老です。
Posted by ブクログ
「ふつう」でないことに寛容的であることが求められがちだけれど、本当は相手の「好き」を受け入れることが大切なのではないか。
自分の本当に「好き」なものはなかなか他人には話しにくい。
受け入れてもらえないと傷ついてしまうだろうから。
再婚をきっかけに姉弟となったちぐさと晴彦は、家族になりきれていなくどこかぎくしゃくとしていたが、晴彦の「ふつう」でない秘密を共有したことで親密になっていく。
他人というには近すぎて、家族というには遠すぎる曖昧な関係だからこそ、自分の本当の思いを打ち明けやすいのかもしれない。
中高生特有の精神の不安定を抱えながらも、2人の向き合う誠意と真っ直ぐな気持ちが青春の青々しさを感じ清々しかった。
Posted by ブクログ
初めての作家さん、非常によかった。
再婚でできた姉弟。なんとなくで仲直りなんて無理な脆い繋がりの家族。
思春期同士の姉弟がこんなにも心を開けるのだろうか。
多感で繊細な時期の友情や恋人関係、
こんなにもお互いが自分を出して、相手を受け入れられるのだろうか。
と、若干現実離れは否めないものの。
でも、こんなにも人と人とがぶつかり合って
認め合えたら、いい関係を築けるだろうなとも思った。
普通よりも、好きを大切にする。
そりゃそーでしょ!と、思いながらも
人目や建前を気にして、なかなか実行できない世の中だから
晴彦の真剣さや、素直さがかっこいい。
好きだって気持ちを大事にしたい。
正しくなくても、合ってなくても、好きを手放したくない。
うそにしたくない。
苦しみも悔しさも、嫌いになりそうな気持ちもぜんぶひっくるめて
好きなのを大事にしたい。
それを好きだって思う、自分の気持ちを大事にして、生きていきたいんだ。
Posted by ブクログ
よかった。
片親同士が再婚して姉弟となった、ちぐさと晴彦。その2人が少しずつ家族になっていくお話。
自分のまっすぐ気持ちを伝えるとか、気まずくても自分の非を認めて謝るとか、恥ずかしかったり億劫だったり怖くて勇気が要ったりするけれど大事なことを改めて教えられた。
互いにいろんなものを抱えながらぶつかりあってわかりあっていく姉弟の姿がよかった。
☆4.0
Posted by ブクログ
疾走感を漂わせるとても軽快な作品でした。
急に家族が増えた高校生のちぐさは、新たに
増えた弟の晴彦がある日ブラジャーを着けているところに遭遇した。
「理解」が、なかなか難しい世の中で、どう向き合うのか、新たな家族に向き合い方を知らされる
作品です。
青春感がページを捲るたびにより濃厚に感じられました。