あらすじ
1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す9歳から13歳の子どもたちの集団がどこからともなく現れた。その存在は徐々に大人たちの日常に罅を入れていき、やがてスーパー襲撃事件という大事件を起こす。そして数ヶ月後、32人の子どもたちは一斉に命を落とすに至った──。社会福祉課長としてこの出来事に関わった語り手が、22年後のいま語る、その顛末。現代スペインを代表する作家が描く、子どものかわいらしさと暴力性、野生と文明、そして保護と支配。一読忘れがたき恐るべき寓話が、待望の文庫化。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おもしろかった、んだけど、どんな感想を持ったか言い難い。
どういう展開になるのか気になって惹き込まれ一気読みしてしまうが、
じゃあ結局なんだったのかというと…なんだろう。
映画『怪物』を観た時の後の感覚と似てる。
彼ら、彼らというのは本著ならいちばんに子どもたちであり『怪物』なら主演の2人の子どもだが、
それに準じて登場人物の全員も含むのだが、
結局彼らは救われたのかな?という思い。
モヤモヤする、という訳ではなくて、
フライパンの上に薄く広がった希望の隅に、ひとつまみ分だけ焦げついたそこはかとない絶望みたいな。
希望的に思える気がするのに、確実に真っ黒く印付けられた絶望感。