【感想・ネタバレ】教育にひそむジェンダー ――学校・家庭・メディアが「らしさ」を強いるのレビュー

あらすじ

理想(多様性奨励)と現実(根強いバイアス)のギャップが大きすぎる! 学校・家庭・メディアで与えられる「らしさ」の何が問題か。赤ちゃんから幼児、小学生、中高生、大学生まで、育児や教育を通して子どもたちに与えられるジェンダーイメージについて、教育社会学の知見や著者自身の子育て経験を踏まえて検証・考察する。母性愛神話、マイクロアグレッション、性教育、別学か共学か、性的同意、女性の透明化・商品化…… 語りにくいが大事な問いに正面から挑む。

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Posted by ブクログ

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ジェンダーの専門であるが、大学を背景としているし、東大について自分の体験をもとにしているので、学生も読みやすいと思う。教育社会学の専門家の論文もあげてはいるが、かなり自分の意見として説明しているのでわかりやすいのは、ジャーナリストとしての経験があったからなのかもしれない。子育てをしながら博士論文を書き、数校で非常勤を重ねながら論文を書いている体験がある。大学の授業でのジェンダーの参考文献にもなり、教員養成系大学の学生もおすすめ本である。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現代日本おいて、ジェンダーについてステレオタイプの刷り込みがどのようにされてるのかを、年代毎に分けて論じている。幼少期、小学生、中高生、大学生に順を追って解説されている。

とにかくわかりやすい。
著者も子育て経験者ということで、ご自身のお子様の例もあったり、大学の授業での学生さん達のコメントも沢山あったりして、面白かった。

実写版『リトルマーメイド』の件と、『女子枠』の件について、個人的にも以前からどう解釈すれば良いのか疑問もあったので、こういった見方ができるのか!という発見もあり、とても良かった。



最後の週刊誌の件、あの手の雑誌は今はさらに卑劣になってきていて、今までとは逆転現象も起きていると思う。が、こちらはあくまで余談。

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2025年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

筑摩書房の新書やし、難しいかな?と思いながらページを開いたけど、面白くてあっという間に読んでしまった。

第1章 赤ちゃん・保育園・幼稚園の年頃に刷り込まれるシェンダー。→無意識に大人が女の子らしいもの、男の子らしいものを与えてしまう。洋服の色やおもちゃなど。

第2章 小学生時代、意外と子どもって大人の様子を伺っていて、大人が気に入るようなものを選んだり、行動したりする。また、ディズニーのアニメに登場するお姫様が白人か、黒人か、アジア系か、によって、子どもって、「私は黒人だからシンデレラにはなれない」など思い込んでしまっている。特にアメリカとか欧米だと。
あと、ランドセル何色問題。親がいる前だと、親が好みそうなランドセルの色を選ぶらしいが、親がいない場だと男子でもピンクのランドセルをすぐに選ぶらしい。

第3章 中高生 思春期特有のジレンマ
女の子が、「私、サッカー部なの」というと、「あ、マネージャー?」と思われてしまう。男性競技(だと思い込まれてる)スポーツを女子がするのはレアだろうし、人数も少ないし、地方だと特に。そもそも、マネージャー=女子という感覚はいつから出てきたのか? 1960年代は男子の大学進学率があがったことで、受験勉強しないといけない男子に代わって、進学しない女子がマネージャーの側面を担ったことが始まり。(まだまだ60年代は女子が大学受験するのは珍しい時代やったし) それが、70年代に入ると、男子を支えるのが女子の役目という、女子はケアする立場という考えが生まれてきたらしい。
あとは、男子校・女子高、それとも共学?
女子にとって男性がいない女子高では、何でも自分達でするから、力仕事も女子、生徒会長も女子、そんななかでいると自立して、自分に自信を持てる女性が増えるそう。一方男子校は、、、そこまで(ジェンダーの視点から)良い部分はなさそう。
また、女子生徒は数学が苦手と思い込まされる傾向にある。そして、大人が「女子より男子の方が理系は得意だからな」なんて言うと、そう思い込んでしまった女子の理系の成績は下がるという。
悲しい、おい、教師、女子の可能性を摘み取るな!と私は言いたい。

第4章 大学のゆがんだジェンダー
少し前まで、「○○大学ミスコン」なんてあった。東大では、「東大女子お断り」のサークルとかもあった。
大学以前に、浪人する女子は少ない。女の子なんだから浪人してまで大学に行かなくても~という親や教師の反応。
大学の理系学部で女子枠の設置が増えてきているが、これに対して「逆差別だ!」という反論もよく耳にする。この意見への説明が非常に分かりやすくて、本書の148~149ページをぜひ読んでみて。その前に、マジョリティって何かを理解しておく必要があるけど。数の問題ではなく。
でも、このマジョリティの立場って、男女に関することだけじゃないと思う。たまたま自分が県庁所在地に住んでいたから、進学校に問題なく通え、予備校にも行けたため、国立の大学に進めたという女性と、同じ県内でも県庁所在地にまで片道3時間、進学できる高校の選択は2校。しかも、その高校までは電車と自転車で1時間10分かかる。周りにも大学進学する人が少ないから、そんなものかと思って高校卒業後は就職したという女性。住んでる場所により、無意識に自分が特権を持っているということ。自分は高校時代なんにも考えてなかったけど、あー、私はたまたますごーく恵まれた環境にいたからだったのね、と思う。
これが、男女の違いでも似たようなことが起きてるのだ。

この本は、実際に著者の中野円佳さんが研究して得たものだけでなく、中野さん自身の学生時代の体験、さらに結婚して子どもを育てながら感じるジェンダー、そして、大学で教えているリアル大学生の声が登場するので、堅苦しい数値がというより、様々な視点のモヤモヤ? なんで? なんか違和感がある、といったものが書かれていて、そこに私自身の経験とも比べながら読み進めることができたので、本当に面白かった。

また、たくさんの参考文献を紹介してくださっているので、これも読みたい、あれも読みたいとチェックした本がたくさんあった。
教育関係、子育て中じゃない人でも、自分の時代と比べて、へぇーって思いやがら読めるかも。

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2025年02月04日

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