【感想・ネタバレ】脂肪と人類―渇望と嫌悪の歴史―(新潮選書)のレビュー

あらすじ

脂肪は命そのものだ。私たちの祖先は肉よりも、脂肪たっぷりの骨髄や脳、内臓を求めて狩りをした。それが忌避すべき栄養素になったのはなぜか。著者は世界各地の脂肪料理を味わい、神話のなかの乳を追い、酪農や畜産の歴史を調べ、味覚や健康の面からもアプローチ。石器時代から続く脂肪と人類の複雑な関係を描き出す。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

脂肪は命そのものだ。(P11,裏表紙)

ポテチ大好き!ちょっと脂肪が健康のために気になるお年頃(50代)、なのでかなり面白かった。今は悪者にされることが多いけれど、脂肪がどれだけ人類に貢献してきたか…脂肪は大切、自制しつつ食べたい。

著者はスウェーデンのジャーナリスト・作家。内容はスウェーデン、デンマーク、アメリカに関することが多い。日本に関してはほんの少し「縄文土器(脂肪が豊富な海産物を入れていた)」が取り上げられている。

印象に残った内容の書き抜きと感想↓

第1章
2017年秋、ロンドンの下水道でホワイトチャペルの怪物ー下水道の脂肪を含んだウエットティッシュは鉄筋となり、長さ250メートル、重さ130トンの塊ーを退治していた。

下水にこれだけの油。凄すぎる。

第2章
「そもそも私たちが人間になれたのも、油が決定的な役割を果たしたと主張する専門家もいる。」(P23)

・祖先がなにを食べていたのか(哺乳類の骨髄には脂肪がある)
・狩りで生きていた人々にとって赤身の肉は価値がなかった

脂肪、美味しいよね

第3章
バターは神々の食べ物とされてきた。(P47)

・もともと乳製品は女性が働いて作っていた。
・乳製品に経済的関心が集まると男性が進出。
・免罪符には断食中にバターを食べるためのバター符があった。

バター符には笑ってしまった

第5章
・古代エジプトの家畜管理において豚は管理しづらく独立心や個人主義という抑圧すべきものの象徴として見なされた。暑く乾燥した土地では豚は自分の排せつ物を食べる傾向がある。
・給食に豚肉を出すべきかどうか、スウェーデン人なら豚肉を食べて当然(ユダヤ系とイスラム系は食べない)

豚肉美味しいよね

第6章
・20世紀になり新しい病気(動脈硬化など)が問題になりはじめる。
・デンマークで飽和脂肪酸の含量の割合で決まる脂肪税が導入されるが、食品会社の事務作業が増えたりシングルペアレントの経済的負担が増えたため廃止される。

脂肪税、免罪符から変わっていない

第7章
・1950年代キャノーラ油が開発される。
・地中海食の流行
・2010年代、ココナッツオイルが再評価される。
・アメリカにおける大豆ロビー活動による熱帯油脂(パームオイルなど)の敵対視。

アメリカのロビー活動は多岐に渡る

第8章
・カニバリズムの極致とも言える冒頭の芸術家による実験(自身(芸術家、著者ではない)の脂肪を調理に使って食べる)はさすがに引いた
・ダイエットのため低脂肪・脂肪カット→炭水化物を抜くに変化
・1957年、ダイエット本『祈りで痩せよう』、1976年『モアー・ジーザス、レス・ミー(もっとキリスト、私は少なく)』と『脂肪に対する神の答え:減らせ』が出版される。
・6世紀末、キリスト教では貪食は大罪だった。

カニバリズム(しかも自分を食べる)はちょっと…。
祈りで痩せられたらいいよね?

第9章
良いものを食べよう、ということでしょうか

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2025年03月26日

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