あらすじ
ノストラダムスの予言を知った私と瑞恵は、「世界を救うために全力を尽くす」と誓った。「今でも世界が滅びるって信じてるの?」――世界は今この瞬間も、終わり続けている。私の命はいつだって死へと向かっている。それでも、生きる意味はあるのか。迷いながら生き延びる伊吹の心の軌跡を辿り、同時代を生きる魂に問いかける、渾身の書下ろし長篇小説。
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Posted by ブクログ
人に影響されやすい主人公・伊吹。ノストラダムスの大予言を信じて、破滅を回避するためにたくさん勉強して何か世界を救う役に立つような人間にならなくちゃ、と真剣に言っていた親友は高校に入って間もなく死んでしまい、その喪失から立ち直れないまま大学生になる。なりゆきで入ったサークルで、大予言を信じる根拠をことごとくへし折られ・・・。
主人公と親友との出会いから30歳頃までの長い期間を描いた小説。
ノストラダムスの大予言を信じていた人って実は結構いたんじゃないかな。この主人公も途中からは懐疑的だけど、サークルで完全否定されるあたりの描写は何だか可哀想なくらいだった。でもこれがあったからこそその後は軌道修正できたんだと思うけど。
大学生活の半ばからは恋愛絡みの人間関係のゴタゴタが主軸になり、結構生々しい。
1999年以降どうなるのかと思いきや、それまでの展開を思うと割と地味な感じで終わった。でもそこが却って現実的でいい。
作中で実際には一度も出てこなかったサークルの創始者・東堂さんが伝聞の話だけでもすごく面白そうな人物だったので、実際出てきてほしかった。