【感想・ネタバレ】運命の子 トリソミー 完全版のレビュー

あらすじ

障害者受容の在り方を問う小児外科医の記録。

人間の生命は、両親から一本ずつ染色体を受け継ぎ誕生しますが、染色体が三本に増えている病気がトリソミーです。異常のある染色体の番号により、「13トリソミー」「18トリソミー」「21トリソミー(別称・ダウン症)」などがあります。13トリソミーの赤ちゃんは心臓の奇形や脳の発達障害があるため、半数が1か月ほどで、ほとんどが1歳までに亡くなってしまいます。本書は、小児外科医である著者が「地元の主治医として13トリソミーの赤ちゃんの面倒をみてほしい」と近隣の総合病院から依頼され、朝陽(あさひ)君とその両親に出会うところから始まります。朝陽君の両親は我が子を受け容れ、自宅へ連れて帰り、愛情を注ぎます。そして、障害児を授かったことの意味を懸命に探ります。著者は朝陽君の自宅への訪問を繰り返し、家族と対話を重ねます。また、そのほかの重度障害児の家庭も訪れ、「障害児を受容する」とはどういうことかを考えます。やがて、朝陽君の母親は、朝陽君が「家族にとっての幸福の意味」を教えてくれる『運命の子』であることに気づきます。出生前診断の是非が問われる中、本書は「命を選ぼうとする考え方」に大きな一石を投じる一冊です。

※この作品は過去に単行本として配信されていた『運命の子 トリソミー』 の文庫版となります。

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Posted by ブクログ

「13トリソミー」の赤ちゃんとともに暮らすご家族と、地域の主治医との対話が綴られています。

朝陽くんの障害の深刻さと、そのいのちを慈しむご家族の想いや眼差しが、著者の言葉から伝わってきました。

文庫本のための最終章で描かれている「その後」に思わず落涙しました。

「倫理は思弁ではない、行動である」という言葉が深く残る、貴重な記録です。

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2025年01月25日

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