あらすじ
これまでのマーケティングは「新規顧客の獲得」のためのものでした。
しかし、多くの市場が成熟期を迎えるいま、「新規顧客の獲得」は一層ハードルが高くなっています。
また、どんなに新規顧客を獲得しても、顧客が流出する「バケツの穴」を塞がない限り、収益の安定は望めません。
マーケティングに求められる役割は、変化し続けています。
【従来】「購入していない消費者をいかに自社に振り向かせて、新規顧客を獲得するか」
【現在】「一度利用を開始した顧客をいかに支援し、長期的に利用し続けてもらうか」
いま、マーケティングの役割として求められているのは「リテンションマーケティング」という手法です。顧客が離脱する10大要因を押さえ、顧客維持戦略を強化する3大鉄則を知ることが大切なのです。
「チャーンレート=解約率・離脱率」を改善し、顧客とつながり続けるために必要なことは、大がかりな施策ではありません。「え、こんなことで?」と思うような些細なことが、顧客の離脱・継続のファクターになっているのです。
本書では、顧客が離脱する理由を紐解き、ビジネスの「診察・診断・治療」を始めるための基本を、実際の事例を交えて解説します。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
顧客をお客さんとして対応することは、人知れず去っていく顧客に気づけないことにつながる。顧客ではなく、共に成功へ向かい、顧客目線で立ち続けることで、顧客がファンとなり、本当の意味での信頼関係が築けるのだろう。
Posted by ブクログ
読みたいと思った経緯は、プライベートのランサークルや貸し農園仲間の人の入れ替わりが多く、特に新しく入る人はよく紹介されるが、知らぬとこで辞めたり幽霊部員になってるのが、あまり着目されておらず、これは将来サークルがなくなるのでは、と個人的な危機感を持ち始めたのがスタート。
印象に残ったのは以下。
購入するお客様探しに必死にならず購入した後のフォローを大切にすること。
お客さんが満足するかは、お客さんが最初に抱いていた期待に対する相対比較で決まる。
選択肢が多いと人は悩むし疲れてしまう。
ファンを作ることが大事。
サイレントカスタマー、幽霊部員のヒアリングが大事。
新規顧客より既存顧客から得られる利益は5倍以上。顧客の離脱を5%改善できれば企業の収益ら5倍の25%改善される。
クレーム、失敗を起こしても対応の仕方からファンになり得ることもある。それは結局、商品を買った後のファンサービスが大事ということ。
買わせること、騙すような高期待の広告を出しすぎることをしない、テレビとかの広告でなく、SNSとかの口コミの方が影響力がある。
goproのようにお客さんの使用体験がプロモーションになることもある。感動と興奮を顧客と共有することが大事。
時代とともにお客さんのニーズも変わってくるし、会社の常識と顧客の常識が違うということを客観視しないといけない。
Posted by ブクログ
全体的に、知っている話が多かったけど、広く浅くトレンドがカバーされているという感じ。2024年2月初版の本にしては古くなっていないと思う。
事例が多いのは良い。最後にカスタマーサクセスについて出てくる。リテンションマーケティングは突き詰めるとカスタマーサクセスだ、という話。
ピークモデルとか、同化作用と対比作用とか、理論面の裏付けが欲しい時に、この本に立ち戻ると良さそう。
Posted by ブクログ
最近、仕事で携わるサービスで利用者の退会が多いことに問題意識を感じていて、タイトル「こうして顧客は去っていく」に惹かれて手に取った本。
中身は、顧客維持のメリット、顧客が離脱する要因やその時の心情、顧客維持のためのファン化をお題に、多数の事例(2024年最新)とともにそのエッセンスが紹介されている。
初めて「顧客維持」を意識した人には、考えるべきことが簡潔にまとまっていて、学びになる内容かとも思う。
個人の感想としては、この辺りの内容はすでに他の書籍等で知っていたこともあり、やや物足りなさを感じた。復習感覚であったため、新たな大きな気づきは得られなかった。
一方で、ここに書かれていら内容を理想慶応としてサービスを改善したいと改めて感じさせられた。仕事で携わると、実態そうは言っても、事例に取り上げれてるほど単純・明快・簡単には実行できなくて、周囲に対する理解浸透、リソース、自身の実行力等…の「実行」上の悩みが多い。その後押し・解決につながるヒントを探る今日この頃。これまでにも、マーケターの森岡さん、西口さんとかの書籍を通じて、顧客理解やマーケティング実行に関する血の滲むような、泥臭い仕事を見てきたこともあり、もう少し血の通った具体的なネタを期待していた。
Posted by ブクログ
サイレントカスタマーをつなぎとめるリテンションマーケティングという副題がついていますが、内容的には、サービスから離脱していく顧客のパターンを10要因に分けて説明している内容と、お客様の声の活用とファンづくりの大切さを語っている部分などに分かれる。
正直なところ、顧客の離脱要因はネットニュースにまとめていたり、本の紹介動画などをみることができれば十分なんじゃないかと思う。ファン作りのところはそれ良いももう少し具体性があって読んでいてためになったが全体としてあまり深く書かれている本ではなく、ビジネスエンタメ、初心者向けの導入本のような印象です。否定しているわけではないけれど、自分は難しくて理解できなかったとしても、もう少し骨太な方が好みかもしれません。
内容のポイントとしては、この本はWebサービスの企業向けの内容が多い。私は製造業で働いているので、ファン作りの話は割とリアルに感じるんだけど、顧客の離脱の話は確かにそんな理由でサブスクを解約するな〜とは思うが、企業目線で気をつけようとか、勉強になるな〜という感じになりづらかったかもしれない。
Posted by ブクログ
WOWOWはこれに向けて、顧客との関係を維持していくことに特化した専門部署、その名も「解約防止部」を新設しました。解約防止部の初代部長に就任した大坂祐希枝氏は、1対1の面談形式で顧客にインタビューするデプスインタビューを行ない、その結果をもとに解約時期ごとの解約者のペルソナ(架空の人物像)を作成しました。そして、ペルソナに基づいたコミュニケーションポイントを決めて解約を抑止するための施策を始めるなど、解約の実態を把握するとともにそれに応じた解約防止策を次々に展開した結果、顧客離脱の悪化に歯止めをかけることに成功しました。
■サブスク種類別に見る利用率と解約率
サブスク種類:利用率/解約率
動画配信:70.0/55.1
音楽配信:43.3/43.2
電子書籍:18.8/58.5
ゲーム:12.9/58.9
宅食(食事配達):5.6/55.4
コスメ:5.1/66.7
洋服:3.9/53.8
飲食店:2.9/62.1
家電/家具:2.7/59.3
自動車:2.6/69.2
美容院:2.1/52.4
バッグ:1.7/58.8
※解約率は利用経験者の解約比率
(単位:%、n=1,035)
【顧客に考えさせるUーデザイン】
・操作手順が複雑で判断をともなう
・サイト全体の構成がわかりにくい
・情報が整理されておらず、読みにくい
・目的の箇所にスムーズにたどり着けない
・ デザインや画面構成が頻繁に変更される
・初見では直感的に操作しにくい
・デザインの統一感がない
・文字の体裁が整っていなくて読みにくい
・ページが表示されるまで時間がかかる
・煩雑な手続きが必要
・入力フォームの項目が多い
・不明瞭で煩雑な返品・返金システム
◾️累積的な顧客満足や喜びを提供し続けるには、「エフォートレス」「パーソナライズ」「サプライズ」
①新鮮であること
②驚きをともなうこと
③労力が軽減されること
④嗜好にマッチしていくこと
⑤洗練されていること
◾️解約率(チャーンレート)が上がる10大要因
①価格と価値が見合っていない
②使い勝手が悪くストレス
③コスパの悪さにガッカリ
④「タイパ」の悪さにイライラ
⑤失敗するかもしれない機能的リスク
⑥心理的リスクの上昇
⑦「ありきたりの良い体験」では物足りない
⑧企業の不正・不祥事に失望
⑨嫌われる「マーケティング臭」
⑩消費者を欺く「ダークパターン」
◾️顧客維持戦略を強化する3大鉄則
①顧客づくりより、ファンづくり
②顧客と生活者の解像度を高める
③顧客の成功を追求する
自社の顧客だけ、あるいは競合企業の動きだけを見ていると、自分たちが考える「常識」が世間の常識でもあると思い込んでしまいがちです。ところが、自社の「常識」は世間から見れば「非常識」である場合も多く、世間とのズレを認識していない企業も決して少なくはありません。このことは「業界の常識」も然りです。