あらすじ
「おれはもうおじさんではなく,おじいさんだ」――様々な思いをおきざりにして生きてきた長坂誠,65歳.その運命の歯車が或る姉弟との出会いから動き出す.おきざりにされた者など,いない.生きていくかぎり,ささやかでも希望が生まれ,その旅は続いてゆくから.吉田拓郎の名曲にのせて贈る,昭和の香り漂う令和の物語.
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Posted by ブクログ
お母さんが子ども二人を置いて、すぐ帰ってくるからと出て行った。
『水車小屋のネネ』といい、最近は男絡みで子どもを置いていくのは珍しいことじゃないのかなぁと思った自分は、偏見の塊だった。
長坂誠のように愛から行動できる人でありたい。
読みやすい文体で、原田宗典さんが16歳の頃から目指した「水のような文体」はまさに。
高校生のとき、原田宗典さんのエッセイを知り、特に『17歳だった!』は母校が舞台で大笑い。以来30年近く好きなので、原田宗典さんが復活してくれて本当にうれしい。
物語は原田さんご自身の経験も含まれるのだろうかと想像しつつ、岡山弁は亡くなった父を思い出させて、脳内で岡山駅東口や二号線も描きながら読めた。ひどく理不尽で辛い出来事の中にも、人の優しさやユーモアがあり、読めたことがうれしく思う。
原田宗典さん、編集者さん、出版社さん、ありがとうございます。