あらすじ
よい読書体験はよい人間形成につながると信じる.真っ暗な地下鉄の線路を歩いた昔日の彷徨から,自らの実存の問いと対峙した神学遍歴,半世紀後に届いた「魂の教育」を願う母の祈りまで――.ルネサンス期の幅広い人文主義的な教養主義の理想「ボナエ・リテラエ」を冠する『世界』連載で紡がれた,ある救済の物語.
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Posted by ブクログ
一つ一つがとても知らない世界だらけで、
引き込まれながら読みました。
何だか全然関係ないような細かい話のようで、なんでか読み進めてしまう、素晴らしい書き手・語り手の技でした。
森本あんりさんの子どもの頃のこと、どんな子だったか、名前、
懸賞論文への応募と新聞社の論調に合わせた作文で勝ち取った豪華旅行(やっぱすごい、小さいときから書ける人だったのですね)、
どうやって大学(ICU)に行くことになったか、
ガールフレンドが教会に行っていたからクリスチャンになった、
交換留学での出会い、
プリンストン神学大学に行くことになったか、
その5年間のアメリカ生活での豊かな人間関係、
四国で牧師さんになったり、
もうなんだか物語のような人生、
でもそれは本書のメインテーマではなくて、
いろいろな章に散りばめられた森本あんりさんのいろいろな過去が、
少しずつ明らかになりつつ、
実際の主役は、ボナエ・リテラエー良い書物。
本と言っても、気軽に手に取れないものが多い、
著者の紹介なしには、垣間見ることもあまりなさそうな偉大な知の書物というか、
こんなふうに本とともに自分を振り返られるって素敵だなーと思いながら、
そんなふうにもしかしたら私たち一人ひとりも、自分の思考が形作られてきた過程を本を通して他者に伝えられるかもしれないですね。こんなに知的ではなかったとしても。おもしろそう。