【感想・ネタバレ】娘は娘のレビュー

あらすじ

若くして夫と死別したアンは愛情を注いで一人娘セアラを育ててきた。だが再婚問題を機に二人の関係に亀裂が。貞淑だった母は享楽的な生活を送るようになり、誤った結婚を選択した娘は麻薬と官能に溺れていく。深い愛情で結ばれていた母娘に何が起きたのか? 微妙な女性心理を繊細に描く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

依存と書いてあったが、共依存というものなのだろうか。
麻薬依存を断つことができたところで、母親への依存も断ち切れた。
母娘の依存を断ち切る過程がさらっと書かれているのが、物足りなく感じた。

再読したい。

春にして君を離れが気に入ったので、こちらも読んでみた。
今回は意外にハッピーエンド。
という事は、春にしてもハッピーエンドなのかもしれない。
NHKBS番組の作家達の感想を見てからだったので、人は簡単に変われないと勝手に私がラストを決めつけてしまっていたのかも。

殺人はおきなくても、普通にその辺にいる人達だけで充分怖い。

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2023年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アガサクリスティの3つの面がみごとに3人の女性として描かれているように思われる。

まず、未亡人の母親。
再婚をめぐる心の葛藤。
死別ではない、アガサクリスティからは、一番遠い性格のように見受けられる。

未亡人の母親の娘。
わがままだけど、反面大人びた考えの持ち主。
最後は、幸せを選択できるところは、一番アガサクリスティに似ているかもしれない。

未亡人の母親の友人。
著名人で、仕事上はアガサクリスティに一番近い役回り。
考え方、発言も、公式のアガサクリスティの言いたいことを代弁している。

それでも、未亡人の母親の性格の中に、ひょっとしたらアガサクリスティらしさが
織り込まれているような気がしたのは、設定のうまさだろうか、表現のうまさだろうか。

自分が選ぶアガサクリスティのベスト10に入れたい。

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2011年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で書いた一冊。この作品群はとにかく登場人物の内面が他作品以上に深く描かれているのが特徴。
夫に先立たれたアンは、娘のセアラに無償の愛を注いでいた。あるとき、セアラが三週間のスイス旅行に出掛けている間にアンは自分と同じく配偶者に先立たれた悲しみを背負って生きるリチャードと出会い、たちまち恋に落ちる。しかしスイスから帰ってきたセアラはリチャードを毛嫌いし、二人の結婚を認めようとしない。リチャードはリチャードで、そんな態度を取る近い将来継娘になるはずのセアラを拒絶する。
母親には女性としての幸せを求めることは許されないのかと苦悩するアン、突然現れた継父に「お母さんの幸せを考えてあげないといけない」と説教され反発するセアラ、継娘に拒絶され、アンが間を取り持ってくれるわけでもなく苛立ちを募らせるリチャード。
それぞれの苦しい胸の内がこれでもかと深掘りされている。
リチャードとセアラの板挟みになったアンはリチャードとの結婚を諦め、ついに壊れてしまう。何もかもがどうでもよくなり、ただ目の前の快楽に溺れるアンがあまりにも哀しい。
アンが結婚を諦めざるを得ないほどセアラはリチャードを嫌っていたのに、当のセアラはあっという間にリチャードのことなど忘れてしまう。また、アンがリチャードとの結婚を考えていた時は頑なに家を出ることを拒んだのに、騒動が過ぎれば家を出たいと言い出す始末。セアラへの不満が募るのに、「娘だから」「愛しているから」と自分の本心に蓋をし続けたアンの気持ちを考えると苦しくなる。もちろんセアラも含め登場人物の誰もがそれぞれに葛藤を抱えながら生きているが、それでもやはりアンがあまりにも不憫。そのため、アンがセアラにぶつけた憎しみの言葉はそこまで残酷とは思えない。
ただその部分を深く考えてみると、セアラがリチャードに厳しく当たったのは、「自分の娘にはまともな人を結婚相手に選んで欲しい」と考える世の母親に対する強烈なカウンターにも思える。
最終的に母娘は和解し、今まで何もかも母や他人のせいにばかりして生きてきたセアラが地に足をつけしっかり生きていこうと決意するので、その点は救いかもしれない。家族とは言えそれぞれが自我を持った一人の人間。甘えから、家族であればどんなきつい言葉をぶつけても大丈夫というわけでは決してない。
何をやらせても駄目なジェリーが母娘の関係の在り方も含め意外に常識人なのと、クリスティー作品の中に出てくるある種の秩序を形成する役割を担うローラとイーディスのキャラクターがとても魅力的。

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2024年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これはまた、『春にして君を離れ』とは違う意味で痛い本でした。
何事もなければ胸を張って言えるのですよ、「自分のことより子どもが大事」。
でも、つかず離れずを装っていながら、実は互いに相手の存在に頼っていた母と娘のどちらかが、違う世界に踏み出そうとしたとき、自分のもとに引き留めようとしたくなるのは自然な流れ。
だけどお互いに自覚がないから、自分のためではなく娘(母)のために、何かをしてあげている気になっている。
寂しさや絶望をその瞳に浮かべている相手のことなんて、見もしない。

”家の整頓、使い走り、(中略)そうしたこまごまとした用事をアンは当然のことのように忠実に果たした。娘は両親に仕えるために生きているので、その逆ではなかった……(中略)子どもが親に仕えようが、親が子どもに仕えようが――人間対人間の根本的関係にはいささかの変わりもない。”

だが、アンが娘のために再婚を諦めた途端、娘のことがかわいいけれども憎い存在になったっていうのはわかる。
何といってもセアラはまだ19歳。
大人ぶったって大人ではない、とアンは突っぱねるべきだったけど、現代っ子の娘とおとなしい母親は往々にして親が意見を引っ込めがちだ。
だけど、再婚したいほど好きな男性を娘のためにあきらめた…娘のせいであきらめざるを得なかった…というのは、本人が思うよりも傷が深い。

セアラはセアラで、なぜ母が自分を憎んでいるかのように接するのかが理解できない。
自分が結婚をぶち壊したこと、当初こそいいことをしたと得意になっていたが、すぐにそんな事すら忘れてしまう。
母に見捨てられたかわいそうな私は、誰かと結婚でもしてこの家を出て行かなければならない。

拗れるにいだけ拗れた母と娘の仲だけど、一度腹を割ってぶつかったらあら不思議。
憎しみはどこへやら。
だって何があっても、娘は娘だもの。
めっちゃ刺さるわ、この話。
でも、今どきは親子の間とはいえ、一方的に仕えるのは無理筋だと思う。

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2024年05月28日

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