あらすじ
2008年に起きた世界規模の金融危機、いわゆるリーマンショックは、ゴールドマン・サックスに入社してまだ1年しかたっていない僕にとって足元が揺らぐほど信じがたい出来事でした。
金融業界はもちろん、世界中の名だたる企業も軒並み大きな経済的な打撃を与えた金融危機の影響で、53回もの面接をくぐり抜けてやっとの思いで入社した僕自身も「毎日いつ自分も解雇されるのか?」という不安を抱える日々が続きました。
幸いにしてクビは免れたものの、その後ボーナスはゼロ、大幅な減給に加え、在籍部署の9割の人員が削減されるという壮絶な展開が待っていたのです。
ところが、そんなどん底時代を経験するも、その後17年続いた会社員生活では最終的に投資部門のトップである日本共同統括を務めることになります。
在籍17年間では、20ヵ国以上の社内外300人を超える「億円」資産家、「兆円」資産家、産油国の王族など超富豪などと協業、交流をはたしてきました。
この本は、そんな僕が会社員時代に学んだ富裕層の哲学や思考、習慣など、彼らの生態系について学んだことを、あますところなくお伝えする一冊です。具体的な投資方法や特定の銘柄を推薦するような、いわゆる「投資術の本」ではありません。「富裕層マインドを学ぶ本」という位置づけです。
なぜ、富裕層マインドを学ぶことが大事なことなのか。それは、今どのような環境に置かれている人であっても、富裕層マインドにシフトすることで「億を超える人」になれる可能性があるからです。
人は想像ができないことはできません。想像ができない人にもなれません。だから本書を通じて、富裕層について皆さんがイメージを持てるように、さまざまな角度から、その実態や生態系にお伝えしたいと思います。
(プロローグより)
Chapter1 年収1億円以上「富裕層の思考」
Chapter2 富裕層だけが知っている「お金の哲学」
Chapter3 お金がお金を生む「お金の使い方」
Chapter4 とんでもなく稼ぐ人の「時間の使い方」
Chapter5 普通の人でも実践できる「億稼ぐ人の生活習慣」
Chapter6 一生お金に困らない人の「人間関係の築き方」
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Posted by ブクログ
本書の立ち位置
・著者はゴールドマン・サックスで17年勤務し、世界中の富裕層と交わってきた経験を持つ。
・本書は「どうすればお金持ちになるか」のノウハウ本ではなく、「富裕層マインド=思考・習慣・行動パターン」を描くことを主目的としている。
富裕層マインドの核心(“億を超える人”に共通する考え方・行動)
・意思決定の速さを重視する
- 完全な確実性を待つよりも、「まず動く」「速く間違える」方に賭ける。
- 重要な判断は場で結論を出す。迷って時間を消費すること自体が機会損失。
→「悩む」ことを減らし、行動量を増やす姿勢が鍵。
・お金を「運用」し、お金に働かせる視点を持つ
- 富裕層は“貯める”より“運用する”ことを当然視しており、給与一本のみの収入源はリスクと見なす。
- インフレリスクや予期せぬ支出を織り込んだ資産管理・リスクヘッジが重要。
習慣・時間管理・身体・メンタル
・習慣化が無意識の武器になる
- 富裕層は、健康・運動・睡眠など「面倒だけど重要」なことを圧倒的に習慣化している。
- 著者自身は毎朝 3:45 起床 → ラン/水泳/バイクなどの運動 → その後に仕事という日課を長年継続。
→ 意志力に頼らず「仕組み化された行動」が差をつく。
・時間・エネルギー配分に厳しくある
- 緊急ではないが本質的なこと(戦略設計、自己成長等)を優先する。
- “お金 → 経験値 → 人脈”というサイクルを回す。時間をかけるべきところと捨てるところを明確にする。
人間関係・信頼・与える文明
・信頼を「貯める」ことを意識する
- 相手の期待をほんの少し超える行動、情報提供・紹介を惜しまない姿勢が信頼を強化する。
- 非効率な行動(手間をかける対応など)が記憶に残る信頼になる、という見方もある。
・複数のコミュニティに属し、影響力を持つ
- 富裕層は一つの世界だけでなく、多様なネットワークに関与している。
- 自分の立ち位置を「オーナーシップ」で持つ。自ら選び、責任を取る態度を貫く。
“億まで”から“億を超える人”になるためのパス
・富裕層への道は一通りではない(投資銀行キャリア型、起業経営型など)だが、共通するマインドセットが境界線をつくる。
・「想像できないことはできない」 — 富裕層の世界をイメージできなければ行動できない、だから思考の射程を広げよ。
1. 富裕層の「お金の哲学」と資産形成
・お金は「自由を得るための道具」:お金を目的ではなく、より大きな自由や機会を得るための手段として捉えている。
・貯金ではなく投資による資産運用:インフレによりお金の価値が目減りする現代において、富裕層のほぼ100%が株や不動産などに投資し、お金に働いてもらう仕組みを構築している。
・複利の力を理解する:資産形成だけでなく、成長や習慣にも複利の力が働くことを知っている。小さな良い積み重ねが、長期的には想像以上の大きな差を生む(例:1日1%の積み重ねが約38倍に)。
・ROI(投資対効果)を意識した学び:「永遠に生きると思って学ぶ」姿勢を持ち、時間とお金の使い道を最適化する。
2. 「意思決定」と「スピード」の重視
・主体的な意思決定:人生のあらゆる選択を他人に委ねず、すべて自分自身で決断し、その責任を負う。このプロセスこそが成長と大きなリターンを生むことを知っている。
・「確実性」よりも「スピード」:完璧な答えを出すことよりも、まず早く決断して行動することを優先する。遅くて完璧な決断よりも、たとえ間違っていても早い決断のほうが、次のチャンスにつながり、結果的に信頼も得やすい。
・期待値コントロール:「満足度=結果÷期待値」の公式を意識し、完璧を目指すより80点を素早く出して修正する方が、結果的に相手に安心感や信頼を与えられる。
3. 時間の使い方と「習慣化」の力
・「今日を生きる」意識:毎日を改善し、規律ある生活を送る。
・習慣化の徹底:面倒なことも意志の力に頼らず、全てルーティンとして習慣化する(例:朝のルーティンで運動や仕事の段取りを徹底)。これが人を変える最も強力な手段。
・完璧主義は非効率:完璧を目指すのではなく、スピードと効率を重視し、相手の期待値に合わせた行動をとることで、時間とエネルギーを最適化する。
4. 人生の質を高める「総合知」
・健康管理のサイクル:「カネ→カラダ→ココロ」のサイクルを重視し、お金、身体、心の3つを整える。運動や睡眠を最優先事項とし、心身の健康が集中力と生産性を高める基盤と認識している。
・人間関係の「分散投資」:会社だけでなく、複数のコミュニティに所属し、利害関係のない友人との交流を大切にする。これは精神的な健康にもつながる。
・「普通のことを圧倒的にやる」:富裕層は特別な人ではなく、誰もができる「普通のことを徹底的にやる人」である。挑戦と失敗を恐れず、圧倒的な量をこなすことが非凡な結果を生む。
この本は、単なるハウツーではなく、富裕層のマインドセットと日々の行動原理を学ぶことで、自身の人生を主体的にデザインしていくための指針を与えてくれます。