あらすじ
自己責任ではない!
その貧困は「働けない脳」のせいなのだ。
ベストセラー『最貧困女子』ではあえて書かなかった貧困当事者の真の姿
約束を破る、遅刻する、だらしない――著者が長年取材してきた貧困の当事者には、共通する特徴があった。世間はそれを「サボり」「甘え」と非難する。だが著者は、病気で「高次脳機能障害」になり、どんなに頑張ってもやるべきことが思うようにできないという「生き地獄」を味わう。そして初めて気がついた。彼らもそんな「働けない脳」に苦しみ、貧困に陥っていたのではないかと――。「働けない脳=不自由な脳」の存在に斬り込み、当事者の自責・自罰からの解放と、周囲による支援を訴える。今こそ自己責任論に終止符を!
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Posted by ブクログ
【感想】
ホラーだった
高齢者が、駅では案内図を見ずにすぐに人に尋ねたり、IT化についていけないことが不思議であったが、脳機能が低下している人から見た世界を知って納得した
脳機能を低下させてはいけないと強く感じた
【要約】
貧困は個人の努力不足ではなく脳機能の低下によって引き起こされる
加齢による認知機能の低下が仕事や日常生活に与える深刻な影響
①遅刻の常態化②約束を破る③作業の遅延④会話の困難⑤外出への支障
脳機能の低下が与える精神面への悪影響
①感情の抑制喪失や常に不安に襲われる状態②公的支援の申請すら困難になる
脳機能低下の予防にはDHA
脳機能を一度低下させてしまうと元には戻らない
Posted by ブクログ
正直自分自身も同じ「脳の不自由」状態ですが、知りたくない、想像したくない話ばかりです。
とても沢山の人のことと著者自身でも脳が不自由になった「働けない脳」の状況の当事者になったことからの考えが書かれています。
読みにくいのですが、もっと多くの人のことも書きたかったけれど、最低限度本書に書かれたことは伝えたかったという著者の心境だったのだと。
本書は日本の話しですが、世界中で貧困が連鎖していて、どんどん「社会内格差」が固定して広がってきていることがとても明らかになってきて、貧困な社会層は自覚することは辛くても、せめて自覚することからはじめられると良いのですが。
貧困ということにも関連したことで、森嶋通夫さんが本の中で、たとえ善人であったとしても貧弱な弱者達に対するとても否定的なことが書かれていたことも思い出しました。
まえがきー最貧困女子から10年
・脳の不自由は、他者からもわかりづらいが、当事者自身でも自分に何が起こっているのかわからず、混乱を極めるだろう。
第一章「なぜ?」の原風景
・「買い物の会計ひとつできない」理由
・「不自由な脳」で生きる結果として、人は高確率で貧困に陥る
第二章自己責任的に見える当事者
第三章やっとわかった彼らの言葉
・脳が疲れる=脳性疲労のリアル
・その「疲れ」はスルーされてきた
・自身でも理解困難な脳性疲労
・脳性疲労は自罰につながり、カミングアウトは困難
第四章「働けない脳」の僕たち
・短期記憶の機能低下で「すっぽかし」「ダブルブッキング」が頻発
・必死に頑張っても「仕事が異様に遅くなる」
・現況の把握力、判断力、自己決定力の喪失
・世の中の対話速度についていけない
・判断ができない=自己決定ができない
・「なぜできないのか」を説明できない
・まずは自分を責めないでほしい
第五章なぜ彼らは座して破滅を待つのか
・現況の把握困難から中長期課題の把握維持困難へ
・嫌なあいつが忘れられない
・問題の本質は不安と対峙することの困難
第六章なぜ彼らは制度利用が困難なのか
第七章「働けない脳」でどうするか?ー当事者と周辺者・支援者へ
・「症状」「不安軽減」の自己理解
・診断名よりも不自由の対策を学ぶことがファーストライン
・同じ「不自由な脳」の当事者のライフハックに学ぶ
・できる仕事」と「できない仕事」を把握する
・「できないこと」よりも「できる」ことを探す
・適度な依存
・不安を軽減すれば、最大限のスペックを発揮できる
・見えない障害の当事者が訴える、就労継続の困難
第八章 唯一前進している生活保護界隈
・実際の対応、申請するにあたってのアドバイス
・実際に受給したら楽になったか?
最終章 貧困の正体
・日本に貧困がない時代などあったのか?
・アウトローな彼らに感じた身体特性
・アウトロー少年少女における、三つの障害的因子
・彼らの経済圏・文化圏
・表社会からは隔絶した円環の摂理
・制度そのものにつながりにくい・制度が見えづらい世界
・憲法の定める人権と尊厳を毀損する理不尽
あとがき