あらすじ
新学期に担任の先生がいない,病休の先生の代理が見つからない…….そんな悲鳴が全国の学校で絶えない.少子化にもかかわらず,事態が深刻化するのはなぜか.過密化する業務,増大する非正規,軽視される専門性など,問題の本質を独自調査で追究.教育格差の広がるアメリカの実態も交え,教育をどう立て直すかを提言する.
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教員不足──誰が子どもを支えるのか。佐久間 亜紀先生の著書。教員不足になるのは職業としての教員の魅力が下がっているから。モンスターペアレンツやモンスターチルドレンの相手をして精神をすり減らす毎日。教員不足にならないように教員を社会全体でサポートしないと何も変わらない。モンスターペアレンツ手当やモンスターチルドレン手当でもつけたかのように教員のお給料を少し上げたからって何も変わらない。
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現状に強い怒りを覚える。国とは人であり、資源がない島国であればなおのことだろう。長期的に物事を見ることができない人達に荒らし尽くされる前に何とかしなければならない。
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結局、金の問題なのが寂しい。
そして日本という国が教育よりも目先の経済政策を優先してきた結果が今なのだ。政治の貧困を嘆かざるを得ない。
痛恨だったのは1980年代に、少子化への対応として教員養成の枠を縮小したこと。当時から思っていたけど、文科省はなぜ頑張って小人数学級への転換を進めることができなかったのか?
今となっては教師に求める役割を減らしていくしかないけど、その代わりの目処も立っていない。
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教員の負担が多すぎる。メンタルをやられる。教員志望者が減る、、
少子化なのに教員不足。なぜ?
そのあたりを分析する新書。良書。
アルバイト感覚、Youtuber志望の先生もいるというのは初耳。
まあでも考えられる。一つの就職先に過ぎない。
そういう先生がいる中でまじめな先生は苦しむ。授業の準備ができない。
それでなくてもコロナで進んでネット授業。違う準備が加わる。
それにしても、、、
いま学園もののドラマを日曜劇場でやっているが、観ていて苦しい。
狭い教室に押し込められた生徒。みなが教壇を向いている。
そんな空間、いらんだろう。
馬が合わなかったら一年間苦しみ続ける。
それこそIT、DXを駆使すればいいのではないのか?
学業は暗記がすべてではない。
集団生活は必要な部分もあろうが、生活の大半にする必要はない。
親が不在の間の世話係、は小学校低学年までだろうし、、、
いずれにしてもやっぱり文科省のせいにせざるを得ない。
現場を見てない。中央官庁が扱えるものではないのだ。
地域地域できめ細かく対応すればいいものなのだ。
とここまで書くと今度は財源の問題になる。
日本は東京一極集中。人が、企業が集まる。勢い富も。
そうなると国が金も出して口も出す、、
そして衰退国日本。どんどん貧しくなる。カネも回らなくなる。
悪循環。
せめてろくに働かない天下りやらサラリーマン社長の待遇を下げればいいのに、、
と思う。
国が貧しいゆえの教育の貧困。
。。。まあ、アメリカのように国は豊かでも教育が貧しい、というのもあるが。
教員不足、、学ぶ仕組みそのものを根本から変えなくては、と思う。
はじめに
第1章 教員不足をどうみるか──文科省調査からはみえないもの
ある先生の「絶望」
「妊娠してしまいました」
それでも先生になりたい
「もう職員室で子どもの話ができないんです」
子どもたちへのしわ寄せ
文科省の教員不足調査
際立つ特別支援学校の教員不足
文科省調査の意義
文科省調査の課題
教員不足の再定義
第2章 誰にとっての教員不足か──教員数を決める仕組み
「先生はいませんが、不足はしていません」?
文科省調査の定義とは──配当定数を基準にした不足
誰が教員定数を決めるのか──国と地方の中間型
教員定数を決める仕組み
教員数が学級数と連動する仕組み──日本方式の特徴
義務標準法の理念
アメリカの教員数決定方式
アメリカ方式の特徴──複式学級の常態化
学級という教育方法
社会を反映する学校、学校を反映する社会
基礎定数と「乗ずる数」
加配定数とは
条例定数と予算定数
配当定数──義務標準法の運用をめぐる問題
端数切り下げによる教員削減
自治体独自の解釈と定数措置
「プール定数」「浮き数」
配当定数を基準にすることの課題──誰にとっての教員不足か
第3章 教員不足の実態──独自調査のデータから
独自の調査を実施
実態に迫るための調査設計
教員不足をとらえる五つの視点──未配置を把握するために
視点① 何を基準にした誰にとっての不足か
視点② いつの時点での不足か──三学期の不足数は一学期の約二倍
視点③ どの自治体・地域の不足か
視点④ どの学校種・教科の不足か
視点⑤ どの雇用形態の不足か
非正規雇用教員とは
非正規雇用は大別すると三種類
教員不足には四段階ある
不足は教員の自己犠牲でカバーされている
教員不足を生んだ教員配置体制
教員不足の原因──非正規依存の末に
教員不足を再定義する必要性
なぜ正規雇用が減ったのか──少子化による採用控え
特別支援学級の増加と採用控え
教員採用試験の応募者の減少
思わぬ欠員の増加
非常勤講師の高齢化
学校現場への影響は
第4章 なぜ教員不足になったのか(1)──行財政改革の帰結
正規雇用教員の削減
教職員定数改善計画の中止
教員の非正規化
国の主導的役割の維持
加配定数と実態の乖離
教員数の地域格差の拡大
教員の数を保障する仕組みの喪失
教員給与の削減
教員給与を保障する仕組みの喪失
国庫負担を三分の一に減少
地方公務員の削減と非正規化
行政改革の帰結としての教員不足
第5章 なぜ教員不足になったのか(2)──教育改革の帰結
効率性を追求する組織改革
教員評価体制の導入
教員免許更新制度による教職の不安定化
教育内容の増加
教員一人あたりの担当授業時数の増加
授業方法改革とテスト対策
学習評価作業の増加
教員自身の学習機会の縮小
授業をめぐる価値観の対立
子どもと社会の変化
長時間労働の深刻化
教員の健康状態とメンタルヘルスの悪化
時間外勤務は「自主的な活動」
志願者の減少と「教員離れ」
小学生の「将来つきたい職業」でランク外に
そもそも教職の魅力とは
教員不足に至ったプロセス
第6章 教員不足をどうするか──子どもたちの未来のために
行政はどう対応してきたか
実態調査から不足の原因を分析する
非正規需要の急増を防ぐ──国がすべき対策①
教員の労働環境を改善する──国がすべき対策②
余剰にみえても必要な人員
少子化はむしろチャンス
地方自治体の対応策
病休・育休復帰支援──地方自治体がすべき対策①
標準授業時数の運用改善──地方自治体がすべき対策②
第7章 教員不足大国アメリカ──日本の未来像を考える
教員不足大国アメリカの現実
不足率の格差
窮地に立つ公立学校
軍人を教壇に迎える
海外から先生を「輸入」
コロナ禍による大量退職
アメリカにおける教員不足の背景
分断の最前線としての教育現場
教員養成機関にも批判の矛先
女性化された教職
教育政策の地方分権と個人主義
広大な国土と地域格差
生まれた境遇で一生が決まる社会
ミドル・クラスの苦悩とセーフティ・ネットとしての学校
富裕層の私立学校
第8章 誰が子どもを支えるのか──八つの論点
自分の立場・視点を相対化する
公立学校は社会のライフライン
日本の教職員数は先進国で最少
論点① 教員数の地域格差をどこまで容認するか
論点② IT技術は教員の代わりになりうるか
論点③ 教員数の決定方法をどうするか
論点④ 教員の待遇をどうするか
論点⑤ 教員の数をどう確保するか
論点⑥ 教育予算をどうするか
論点⑦ 今後も公務員数を削減し続けるのか
論点⑧ ケア労働を社会にどう位置づけるか
おわりに
参考文献
Posted by ブクログ
過密化する業務や増大する非正規など複合的要因で起きる教員不足。その構造を綿密に解き明かすのが本書だ。非公表のデータを匿名で受取り世に問う。読んで分かるのはもはや崩壊ともいえる悲惨な現状。国の無策により先進国でも下位に落ちた日本の教育はどこへ向かうのか。
Posted by ブクログ
深刻化する教員不足問題について、独自調査でその実態を明らかにするとともに、その構造的な要因として行財政改革と教育改革を指摘し、解決に向けた提言を行っている。また、このまま教員不足問題が放置されると日本はどうなってしまうのかを、教員不足大国アメリカの現状を手がかりに考察している。
教員不足問題にはこれまでから関心を持っていたが、その実情や背景となる制度的枠組み、経緯など、よく理解できた。行財政改革と教育改革が教員不足の構造的要因だとする著者の分析には納得感があった。そして、国による教職員定数改善計画の再開、授業時間数の削減等による教員の仕事量の適正化、「乗ずる数」の改善、地方自治体による病休・育休復帰支援など、提案されている処方箋ももっともなものばかりと感じた。
正規教員の定数増のための財源確保など課題はあるとは思うが、アメリカのような教育格差が生じてしまうことはなんとしても避けねばならず、教員不足問題への対応は焦眉の急であると考える(令和7年6月に給特法の改正はなされたが、まだまだ不十分である。)。私立を含む高校教育費無償化や教員の魅力発信など、不要不急の施策を実施する余裕があるのであれば、本書も参考に本質的な教員不足対策に本腰を入れるべきだと感じた。
Posted by ブクログ
令和7年度(2025年度)に高等学校(情報)教員資格認定試験を受験する予定があり、教員不足の現状を把握するために読んでみた。
教員不足の調査対象が小・中学校(義務教育)に絞られていたが、参考になる部分がいくつかあった。
以下いくつか私なりの気づきを列挙する
・行財政改革と教育改革のターゲットにされ、教員の人手と予算がカットされてきた
・外国語やプログラミングといった新たな科目の増加、様々な背景をもつ子どもや保護者への個別的対応の増加による負担増
・上記の結果、教員一人当たりの業務量の増加、長時間労働の深刻化が進む→心身ともに病む教員が増える
・わずかばかりの教職調整額(微々たる残業代)しか上乗せでもらえない
これだけ悪条件が重なれば、教員になろうとする人が減るのも当然だろう。
高校教師は少し事情が異なるかもしれないが、大きな方向性としては大差ないだろう。
私はひとまず高校情報科の教員免許は前からほしいなと思っていたためゲットすべく行動するが、教員になるかどうかはまだ未定である。
これから教員になろうとする人、教員を目指すかどうか悩んでいる人は一読を薦める。
Posted by ブクログ
自分は現在公立の小学校に娘たちを通わせていますが、そうでなかったとしても教育は社会の構成員皆にとって必要なものだなと改めて思った。だから、教員が不足している現状を解消しようとするアクションを自分なりにできるところからしていこうと思った。
Posted by ブクログ
教員という仕事の歴史から現在に至るまでの過程を知ることができた。
なぜ、教員不足が起こるのか。
雇用をギリギリに減らして、非正規雇用に頼ったことも理由だと分かった。
これからの教育ってどうなっていくんだろう…