【感想・ネタバレ】パンとペンの事件簿のレビュー

あらすじ

新聞雑誌の原稿に、翻訳、暗号文の解読……。
文章に関する依頼、何でも引き受けます。
どんな無理難題もペン一本で解決してみせる〝売文社″のもとには、
今日も不思議な依頼が持ち込まれて――。

ある日、暴漢に襲われた“ぼく”を救ってくれた風変りな人々。彼らは「文章に関する依頼であれば、何でも引き受けます」という変わった看板を掲げる会社――その名も「売文社」の人たちだった。さらに社長の堺利彦さんを始め、この会社の人間は皆が皆、世間が極悪人と呼ぶ社会主義者だという。そんな怪しい集団を信じていいのか? 悩む“ぼく”に対して、堺さんはある方法で暴漢を退治してやると持ち掛けるが……。
暗号解読ミッション、人攫いグループの調査……。社に持ち込まれる数々の事件を、「売文社一味」はペンの力で解決する!
世の不条理に知恵とユーモアで立ち向かえ。驚きと感動が詰まった珠玉の推理録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大正時代に実在した人物たちを活躍させた、ミステリー。登場した「ぼく」には失礼なことだけれど大変楽しく読み終えた。
四話目の山崎弁護士の話は特に痛快!
こんな裁判ネタならもっともっと読みたい。
時代は暗く、人が人を裁き国が人を押さえつける時代だったとは言え、名もなき人たちはみな、いつも何かと戦っているということに時を超えて感銘してしまう。

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目次
・合言葉は”パンとペン”
・へちまの花は皮となるか実となるか
・乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦
・小さき旗上げ、来(きた)れデモクラシー

語り手のぼくは織物工場で働いていたが、工場主が変わり、労働時間が長くなったにもかかわらず賃金が下がったことなど、雇用状況の不満を訴えようとして、逆にお抱えヤクザにぼこぼこにされる。
そこを助けてくれたのが、堺利彦をはじめとする売文社の面々だ。

次の仕事が見つかるまで、売文社で半分居候のようになりながら、世の中のことをいろいろと勉強していく。
世間や政府やマスコミが言うことが無条件で正しいのではなく、自分の目で見て、角度を変えて見直して、本当にそれでいいのかを考える堺利彦や大杉栄たち。

もちろんノンフィクションではないけれど、彼らの業績は史実に沿っている(多分、わりと)。

社会主義者よりももっと危険視されていた民主主義者。
ところが、第一次世界大戦に紛れ込んで利益を得るために日本政府が掲げたのが「デモクラシーを守る戦い」。
これによって日本政府は、民主主義者を弾圧することはできなくなった。建前上は。

息苦しくなっていく世の中で、24時間警察の監視下にあってなお、明るく飄々と生きる彼ら。

”社会主義の本当の担い手は、きみたちだ。(中略)労働者や小作人が主体となって、自分たちが望ましい社会へと変えていくのが本当の意味での社会主義だよ。(中略)僕たちがやっているのは本物の社会主義じゃない、所詮はインテリの道楽だ。(中略)道楽は道楽でも、命懸けの道楽もあるさ」

最後、ぼくは就職が決まって売文社を去るのだが、その後について書かれることがあるかもしれないらしい。
大杉栄のその後は知っているから、読みたいような読みたくないような…。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3.8くらい。


「合言葉は“パンとペン”」
売文社にどう流れ着いて、売文社がどう問題を解決するか、その手口を見せる話。
オーディブルに先行した作品のせいか、音で聞くと良さそうな構成となっている。

「へちまの花は皮となるか実となるか」
暗号解読の話。荒畑寒村と大杉栄の紹介がメインでもある。

乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」
堺の娘の真柄も史実では活躍した人らしく、なるほどなという感じ。青踏とも関わりがあったのが面白い。
事件とその解決も簡単なものだけど、当時の女性が置かれた状況を端的に示していて良いエピソードだった。

「小さき旗上げ、来たれデモクラシー」
山崎今朝弥という弁護士の紹介。立て板に水でさらさらと弁論を駆使するのが心地よくて面白かった。


前に読んだ「アンブレイカブル」よりも話は軽くて、けれど思想はたっぷり入ってる感じ。
ジョカゲを期待するとがっかりすると思う。ジョカゲよりめちゃくちゃ軽い。視点が10代の何もわからない青年のせいもあると思う。
明治時代の社会主義とはどんな思想でどんな人間がいて、どんな世相だったか知る入門としては良かった。


ちょっと気になったのが、大逆事件で粛清され、大っぴらに活動出来ない雰囲気がありながら、仕事をしつつ、けれど司法の公平性や警察の横暴さが控えめであることを信用している感じに違和感。
第一次世界大戦中であり、大逆事件の処刑が1911年1月で、それから4年後だから、1915年の話か。

治安維持法と普通選挙法の1925年までこんな雰囲気だったのかな、と想像。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大正の初めに社会主義者の集まりで会った売文社の物語。

「太平洋食堂」から続く社会主義者のシリーズとなるのなか。
登場人物は史実の人たちばかりで語りの「ぼく」だけが創作の人物かな。
悲哀もある中でわちゃわちゃとした社会主義者たちの活動が面白いのは大正ロマンでもある。
社会主義者たちのこののちの話はさらに厳しくなっていくので、もしかしたら別の作品で語られるのかもしれない。
大杉栄と伊藤野依の話は村山由佳の『風よ あらしよ』が詳しいです。

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2025年12月30日

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