あらすじ
凶刃に斃れた
平民宰相に今こそ学べ!
日本初の政党内閣を率いた
平民宰相、激動の生涯!
南部藩士の子に生まれ、戊辰戦争での藩家老・楢山佐渡の死に際し新しい国造りを志した原健次郎(後の原敬)。
明治維新に際し士族をはなれ平民となった後は、新聞記者、外交官を経て、政治の世界へ転じる。
藩閥政治から政党政治への刷新を掲げるが、総理の座に就くまでには大きな壁が。〈平民宰相〉と呼ばれた政治家の不屈の生涯を描く大河巨編。
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Posted by ブクログ
『柳は萌ゆる』から繋がる原敬の一生が描かれる本作は、若年期から死までを時系列に沿って丁寧に追っており、どこか吉村昭作品を思わせるようなリアリズムを感じさせる。賊軍とされた盛岡出身の原が、薩長閥に対する反発や複雑な感情を抱えつつも、国のトップへと上り詰めていく、その過程における原の心の動きが、この作品の大きな軸となっている。
首相就任後も、原は護衛を嫌った。その姿勢には、先日読んだ『光陰の刃』の團琢磨の精神と通じ、国家と心中する覚悟がある。團は軍部の過激化によって暗殺されたが、原は民衆により暗殺された。この時代は民衆による爆破・放火・襲撃だらけ。当時の日本社会には、政治への不満が直接的な暴力に転じる素地があったということ、裏を返せば、現代のように民衆が制度を通じて声を上げられるようになったのは、原が掲げた四大綱領のひとつ、「教育」の成果だとも言える。
興味深いのは、平民宰相と呼ばれた原が、終始一貫して普通選挙の導入には反対していた点である。平民の味方=特権の排除を目指した政治家だと思い込んでいた。今の感覚から見れば限定選挙は時代遅れに映るが、民衆の教育水準がまだ十分ではなかった当時、選挙権の売買や不正が横行することを考えると現実的判断であったことが理解できる。
最後のシーンはとても印象的だった。『柳は萌ゆる』に登場する楢山佐渡の言葉を踏まえ、妻・浅が語る「ほら、ここにも、柳は萌えていますよ」という一言に、時代のうねりの中で生きた原の人生が静かに結ばれていく。静謐でありながら力強いラストだった。
Posted by ブクログ
侍の世界の終わりから国を開き未知の文化が怒涛のようにやって来た時代を駆け抜けた
原敬と言う人物が心を持って目の前に現れた
思ったより普通の人だと感じた
良いところも悪いところも色々な面を持ち、少しだけ政治に向かう意識のある人
当時から見て今の日本は成長しているのかな?
政治の世界はまだまだ未熟に感じてしまう