あらすじ
正しくても常に証明できるとはかぎらない。
ゲーデルの不完全性定理は、公理と推論規則から数学全体を導こうと考えていた、当時の数学界に衝撃を与えました。
チューリングは「決定問題」を考察するなかで、チューリング機械という仮想の計算機から「計算可能性と停止問題」に行き着つきます。
2人は同じことを全く別の視点から証明したのです。この天才たちの思考の軌跡を、集合論、ロジックとその過程を考えながら楽しく読み解いていきたいと思います。
「そうですね……ゲーデルは、数学者が紙と鉛筆で証明をおこなうプロセスを厳密に考察しました。その結果、算数の計算ができるような理論があったとして、その理論の内部では証明できないことがある 、という結論に達しました。で、チューリングは、証明のかわりに計算の本質を追究した結果、無限ループに陥って計算が終わるかどうかわからない、いいかえると、計算できないことがある、という結論に達しました。どうです? 似てませんか?」(「プロローグ」より)
完全版 特別対談収録!
加藤文元×竹内 薫
不完全性定理――数学と哲学の交差点から
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
火星人ノイマンをして最高の知性と言わしめたゲーデルの不完全性定理。当たり前のように完全?完璧?正確?と思っている数学が不完全とはこれいかに?定理の名前は聞いたことがあるし、形而上学的な話にも聞こえ興味をくすぐられるが、一般人がちゃんと分かる訳がないというのが第一感。
そんな話を何となくこんな要素(無限、集合論、対角線論法、論理学/形式証明、自己言及、ゲーデル数、・・・)を使ってこんな感じで証明されると言うのが書かれている。ただ、ところどころ説明が飛んでる(なぜそうする?)/説明の順序が変に思えるので理解に苦しむ。ゲーデル数は素数?(p.125)、グッドステイン列の定義の説明がないまま話が進み...とChatGPTしながら何とか読む。IT系の人間としてはチューリングの話の方が分かりやすい(と言うか何となく追いやすい)が、なぜそういう考えに至ったかというのは分かる由もない。ただ、本書で細かいことに拘ってはいけない。巻末の対談の中で本書の位置づけも書かれているが、「本書はここで興味をもってもらってちゃんとした理解はもう少し踏み込んだ本を読むべきである」と。なので、ポイント毎にたくさんの本が紹介されてるし、ちょっと読みたくなった本も出てきた。著者の思う壺である。
理解したとは言い難いが興味ある話(意味論とか)もたくさん聞けて有意義な読書だった。あと、著者はコマ大数学科の頃から好きな方だが、本書は大分カジュアルな感じで書かれているので好き嫌いがでるかも。
Posted by ブクログ
作者有名だから買ってみたものの作者と私のレベルが違い過ぎるのか理解できなかった。
ひょっとすると不完全性定理を理解できてる人が読む本なのかも。
そんなことより気になるの
無限ホテルが満室だから新しく来た人のために部屋を変わるとして誰がベッドメイキングしてるんでしょうか。
Posted by ブクログ
そもそも、不完全性定理って、何のために必要なのだろう。それを証明したことが衝撃的であっても、普通の人々の日常には、何ら影響がないだろうが、暗黙知みたいに信じられていたことを覆す、画期的な発見らしい。わかりやすい説明に腐心されているが、突然突き放されたように、わかる人だけがついていけばいい、みたいな説明に変わる。専門家でも難解な、この定理を素人にわかりやすく説明する、そのこと自体が無謀とも言える。命題が真であることと証明できることは完全には一致しないで、真であるのに証明できないことがある。それを原理的に証明した、みたいな錯綜とした内容であり、何か得られたか、と考えても空虚感だけが残ってしまう。