【感想・ネタバレ】小説のレビュー

あらすじ

我々は、なぜ小説を読むのか。

五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。
複雑な人間の昇華体であり、人の心を掴んで離さない、人の心が作り出した物語の結晶。
そこには望むもののすべてがあった。
十二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会う。二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。
そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。
しかし、その屋敷にはある秘密があった。
小説を書くことで失われる世界の均衡、読むことで広がる無限の心。

宇宙最高の愉悦のすべてが、今明らかになる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「読むだけじゃだめなのか」
その答えがこの小説の全てだと言ってよいだろう。

単に小説を読むことが好きな小学生二人が、高校生になって本を書く人と本を読む人の二つの道に別れる。
そこまでは多少予想できたし普通に面白い物語だったが、そこから怒涛の展開を広げる。

外崎と髭先生が突如失踪する。
紆余曲折あり、外崎に出会ったのは浮世離れしたあの世のような場所だった。

この時点で読者視点では、いきなり失踪するわ流れで様々な専門家が出てくるわ世界観もファンタジーになるわで情報処理で頭が大混乱だった。

そんな情報の嵐の後、外崎は内海に「読むだけじゃだめなのか」に対する答えを伝える。

この「読むだけじゃだめなのか」の答えは今までの情報の終着点であり、内海だけでなく、小説を読む人に少なからず希望を与えた。

人間は自分の内側を増やそうとする。人の内側は言葉でできている。情報には限りがあるが、嘘をつけば限りはなくなる。小説とは外に出した嘘だ。
単純に要約するのも難解だが、このような言葉で、内海と同様に読者さえ小説を読むことを肯定される。

私の解釈では人間は心があるから、心の中の世界を増やす欲求があるから、小説を読むのだ。小説を読むことは嘘を食べて限界突破して心を中を増やそうとする自然な行為なのだ。というように考えるが、もっと深く考察できる人もいるだろう。

この小説の全てはきっとこの場面に凝縮されている。何度も咀嚼して自分なりの解釈をして小説を読むことを肯定された人がたくさんいたのだろうと思う。
この文章力に迫力に圧倒された。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3分の2くらいまで面白くなりそうな雰囲気が続いて、最後は一体どう締めるのかしら?とワクワクしてたけど、ナナメ上の大暴投(?)からの綺麗な締め。テーマに対する結論については納得した。

虚構の最たるものがファンタジーだから、ファンタジーの要素が入っていることも意味があるのだと思うし、残念ながらこれが原因で好み分かれるのは本当に気持ち分かるけど、メタ的に見るとテーマは一貫していて個人的には唸らされた要素でもある。これが新しい文学の形なのかな、などと気取った感想を抱いたりしてみたり。哲学的で友人には薦めずらいけど、みんなに読んでみて欲しい本ではある。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内海の、生まれ落ちてから今までに至る人生。そして、外崎と髭先生。
難しい部分は言葉を尽くされても理解しきれなかったけれど、内海の内側はとても思慮深い。自分の器を早くに把握し、外崎の文才に気づき、道を違うことを知りながらも近しい存在として見合う振る舞いを続けた。
そんな彼の禁句は、『小説を書かないの』
生産性のない自分を無価値とする内海にとっては、どうしようとない劣情の露呈だった気がする。
その禁句を放った外崎は、内海に書かせることで自分の側にいて欲しかったのかもしれないが、それで内海の内側を聞いてしまった。内海が何度も覚悟した決別はここだったと思う。
外崎には訳がわからない悲鳴でも、外崎が応えないわけがない。
内海は、外に吐き出された意味を取り込み、自分の小宇宙に留める。1人で得られる情報をはるかに超え、広げることを歓びとしている。
小説は意を与える。だから、読むだけでかまわない。
内海のために、外崎が見つけた答え。
哲学的でファンタジーなのだけど、これは2人の友情を描いた話なのだと思った。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内海と外崎、二人の深い友情の話。
小説とは?
人の内面にある嘘を外側に出したもの。
小説を読むだけでいいのか?と言う疑問には、最後に答えてくれるんだけど、私には消化できてない。
初めは読みやすい文だったが、だんだんわからない世界に入り込む。この小説の内容が全て理解できたとは言えない。
髭先生はタイムトラベルした外崎だということだよね?なんと。
読後感は良いし、嫌いじゃない。
    

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2025年12月01日

ネタバレ 購入済み

面白かったけど

面白くよめたけど、自己憐憫というか自己満足というか、メンヘラが他人を巻き込んでウジウジしてる話。「本当は書きたい気持ちもあるけど天才を目の前に知ってしまい、負けを認めたくないから書きたい気持ちを抑えて書かないように徹してる。でもそれを認めてほしい」本を読む生活だけしたい、発信はしたくない、なら本屋で働くなよ。しかもなぜかわざわざ町田から横浜まで通って。

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2025年02月01日

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