あらすじ
ベストセラー『ひと』の著者による
じんわりと心に染みる家族小説
東京の町なかにひっそりと佇む「日比野豆腐店」。
店主の清道を亡くした日比野家は、
厳しいながらも手を取り合って店を切り盛りしていた。
店を終わらせようとしている祖母の初。
亡くなった夫の代わりに店を続けたい母の咲子。
店を継ぎたいのかどうか、将来に悩む令哉。
そして、「ある人」と一緒に三人を見守る飼い猫の福。
「日々の豆腐」という意味も込められた豆腐屋で、
ひたむきに生きる人たちを描いた心揺さぶる家族小説。
●著者より●
『日比野豆腐店』。僕自身の主食とも言える豆腐を扱った作品です。
何というか、もう、書くこと自体が楽しい小説でした。
つらいことも起きますが、それでも楽しいのだから不思議です。
そしてそれは僕にとってとても大事なことです。
その楽しさは読んでくださるかたがたにちゃんと伝わるでしょうから。
皆好きななかで特に好きな登場人物(?)は日比野福です。
家族に豆腐に福。すべてを楽しんでいただけたらうれしいです。
●目次●
日比野初
-断章 日比野福-
日比野咲子
-断章 日比野福-
神田七太
-断章 日比野福-
日比野令哉
-断章 日比野福-
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Posted by ブクログ
コロナを経た世界の話は初めてかも知れない。
新鮮。
初おばあちゃんと、息子嫁である咲子、孫の令哉が見つめる、「日比野豆腐屋」の今後。
初の息子で店主だった清道が、コロナで唐突に亡くなった今、時間が進むなかでの、3人それぞれの胸の内が丁寧に柔らかく描写されている。
3人が互いを思い合って生活する優しい雰囲気が伝わってきて、とても良かった。
飼い猫、福の目線で、3人を見つめた様子も面白い。
Posted by ブクログ
お豆腐屋さんのお豆腐、食べたい〜!と思わされる作品。
友人の祖母が個人商店の豆腐屋さんだったけど、数年前に閉店したと聞いたし、本当に豆腐屋さんは減っているんだろうなと感じます。
日々野豆腐店のこれからを、まだまだ見守っていたいなと思わされました。
おばあちゃんの初さんのエピソードでは、おじいちゃんとの思い出を振り返るシーンが多く、自分の老後を想像して泣きそうになりました。
女性の方が長生きするから、自分も残される側になる可能性高いよなーと。
また、悲しみと喜びはまったく別のこと。悲しみで喜びが帳消しになったりはしないのだ。と言う言葉が印象的でした。
息子がコロナで突然亡くなり、「絶望の淵に落とされた。いいことなど何もない、とその時は思った。これまでにあったよかったこと、うれしあったこと。全て帳消しになってしまった。そう思ってた。
そんなこともないと、今は思ってる。
ー喜びは、結構ある。」
時間の経過とともに、死を受け入れ前向きになっていく心の変化に胸を打たれました。
嫁の咲子のパートでは、夫の死後、会社員を辞めて豆腐店を一緒に経営すると決断したところに感動しました。自分なら、子供もいて、安定を選ぶに違いないと思います。
亡くなった人の意思を思いつつ、自分の思いを貫く強さが素敵でした。あちこち営業をかけて、ようやく福祉施設に豆腐を卸せるようになった時にはこちらも嬉しくなりました。
最後に初さんが咲子に店主を任せると伝えた時の言葉、「ここは今いる者の意思を尊重していあんだと思うよ」は、先代や夫を見送った者同士の絆を感じました。
子供たちパートも、恋の話や進路選択、母親の新たな恋人の話など楽しく読めました。
でもいちばん印象に残ったのはやはり歳の近い女性たちのパートでした。
猫の福ももちろん良かったけど、なくても良かったかな〜という感じ。
ほのぼの、ほっこりしたい人におすすめの一冊です。
うたう に引き続き、登場人物がよく散歩していました。