あらすじ
電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
江戸時代は大災害が集中した、日本史上でも稀な時期である。
江戸を焼き尽くした明暦の大火、富士山の大噴火、日本史上最大級の宝永地震、度重なる飢饉などの記憶は今も語り継がれている。
一方、幕府や藩、地域社会、家の各レベルで人々が防災に取り組んだのも江戸時代に入ってからだった。
いのちを守るシステムはいかに形成され、いかに機能しなくなったのか。
災害と防災から見えてくる新たな江戸三百年史の試み。
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Posted by ブクログ
『江戸の災害史』となっているが、ただ単に江戸時代に起こった災害について述べるのではなく、その災害に応じて、幕府や藩、町・村といったシステムがどのように機能したのか、つまり災害対応していったのかを丁寧に述べている。
本書を読んで、やはり日本は自然災害が多い国だということを思い知る。
地震はもちろん、火山噴火、大雨・洪水といった自然災害に見舞われる。
忘れてはいけないのは、「飢饉」という災害である。
現代では、正確な天気予報、容易にその情報を入手・活用でき、また、自然環境に強くなるように品種改良されてきたおかげで、飢饉といった自然災害はほとんどなくなったが、いつ何時、そのような災害が起こるかわからない。
繰り返しになるが、「日本」という国土は、ほんとうに自然災害が多い国で、それが、時を経ずして、あちこちで起こっているということ。
そういう脆い環境の中で成り立っているということを痛感した。
「あとがき」にもあるが。「『歴史から学ぶ』とはどういうことか」を考えるよい本だった。