あらすじ
フードデリバリーの冷めたシチュー、北欧家具店のミートボール、激安居酒屋の肉寿司……
タワマンを遥か頭上に見上げ、気鋭の文筆家が都市生活の不満を嘆く憂鬱グルメ小説。
食事はいつもおいしくて満たされて幸せ、なんてやっぱり嘘だった。
——高瀬隼子(『おいしいごはんが食べられますように』)推薦!
体調を崩した私は初めてデリバリーを注文するが、届いたシチューからは独特の冷えて固まった油のような匂いがして……(ゴースト・レストラン)。10年ぶりの同窓会、クラスのLINEグループに「完全個室創作和食バル★肉寿司食べ放題! 3時間飲み放題付き2980円」の食べログURLが送られてくる(Girl meats Boy)。おいしくない食事の記憶から都市生活のままならなさと孤独を描く、憂鬱なグルメ小説13篇を収録。
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Posted by ブクログ
僕も参加した『華麗に文学をすくう』企画(小説+小説内に出てくるカレーをレトルトカレーとして発売)での、小説が面白過ぎて、オルタナ旧市街さんの小説をもっと読みたいと思って手に取った一冊。めっちゃ面白かった。
タイトルは『お口に合いませんでした』、帯には『憂鬱グルメ小説』とある通り、食べたことを後悔しているものについて書かれた13本からなる連作短編集。主人公はみんな東京にある単身用のマンションに住んでいたり、そのマンションと関わりがある人だったり。
なにより美味しくないことに出会った時のシチュエーションが面白い。ほぼみんな「ひとり」なのだ。独身、一人暮らし、単身赴任中、相手は「美味しい」と言って食べている、など「美味しくない」ことを誰とも共有できないが故に、口に合わない食べ物ときちんと向き合ってしまっている。「まずい」という言葉を使わずにここまで描写できるのもすごい。
後半になるにつれて、人と人の繋がり、各話のつながりがわかるのも面白かった。最終章は出だしから「あーあ」って感じ、最高だった。
基本的に生活していて「まずいもの」「嫌いなもの」は食べない。出会うのは、「美味しいと思って頼んだ」「〇〇さんがおすすめって言ってた」など、ひょんなタイミングだ。先輩に飯に連れて行ってもらった時に頼んでくれたものを口に入れて「うわ、俺これ無理かも」と思ってなかなか飲み込めず、でも吐き出すわけにいかず、なんとか鼻から匂いが抜けないように息を止めて、味わないように舌に触れないよう、ほっぺたの肉と歯で小さくなるように押しつぶして、水で一気に飲み込んだことを思い出した。もちろん「美味しそうに食べている顔」をキープしたまま。
Posted by ブクログ
グルメ小説でこんなにも「まずそう…」って思ったの初めて。笑
短編集かと思いきや、少しずつ全ての物語が繋がっていることが分かってから一気に引きこまれた。
今どきの小説って感じで読みやすい。
終わり方もなんだかお洒落だった。
Posted by ブクログ
美味しくない描写がすごくリアルで、想像がしやすく、本当に美味しくなさそうと思った。
人によっては美味しく思えたりすることや登場人物が少しずつ繋がりがあるのが面白い。
Posted by ブクログ
食にまつわる悲喜交々(負のイメージが多め)のショートストーリー。ちょこちょこ具体的なサブカルチャーの固有名詞が出てきたりして、SNS見るノリで読めちゃった。普通に不味いご飯もこの世にいっぱいあるよな。
Posted by ブクログ
期待を裏切る食事が次々に登場する短編集。人呼んで憂鬱グルメ小説。
想像できるまずそうな食感、味に、読んでいて胃もたれしてきた頃に、登場人物たちの関係性がわかってきて、引き込まれました。
一人称で語られる時には見えなかった個々人を客観的に見ると、そうなんだ…となる描写が面白かったです。
小説ならではの神の視点を存分に楽しめる作品でした。
各話の末尾に付されている同一人物によるブログは何だったのかわからず、気になりました。
あのマンションの住人(男)の誰かの父親によるものみたいでしたが、一体誰だったんだろう…?
Posted by ブクログ
食がテーマの小説って、読んでてあ〜美味しそう同じもの食べたい!!ってなるものしか出会ったことがなかった。
この本はいろんな料理が不味そうな描写で書かれていて、「レゴブロックみたいな肉寿司ってどんな!?ラー油コーティングの麻婆豆腐ってどんな!?」って感じで逆に食べてみたくなりました笑
わたしは普通だと思って食べてるごはんも食べる人によってはありえない物なのかもしれない、、
Posted by ブクログ
複数の店名を語り実店舗での飲食はなく配達しか行われていないゴーストレストランや、肉寿司・創作・バル・飲み放題などの単語が並ぶ地雷系居酒屋など、昨今SNSで話題(問題)になっている都会を中心とした飲食店問題。
例の未来的ミートボールなど、美味しくなさそうな食事が色々と取り上げられ、話の〆にブログでの食レポ報告のような1枚画があり、それがまた当たり障りのないコメントをつけていてあるあるで面白かった。皮肉的で好き。
Posted by ブクログ
「第一芸人文芸部~俺の推し本~」で知った。お口に合わない人もいれば合う人もいるのが面白い。近頃は美味しいものが溢れていて、美味しくないものに出会ったときの不快度が増しているかも。
Posted by ブクログ
読んでるだけでおなかが減って書かれているものが無性に食べたくなる小説ってありますが、これはその逆。美味しくない食べ物で構成されたアンチグルメ小説。そしてその食事を通して都市生活のわびしさみたいなものを書いている・・ような気がする。
おもしろいかと聞かれると正直微妙なんですが、つまらなくもない。それが意外っちゃ意外。この手の話は読んでいてまったく心に残らないパッとしない話が多いんですが、これはなんか妙に読める。文章も平易で読みやすく、一編が非常に短いので集中力が途切れる前にサクッと終わる。そういうほめ方もどうかとは思うけども。
あと、まずそうな食べ物の描写ってちょっと笑えるんですね。新発見というほどのこともないですが。
Posted by ブクログ
たしかに口に合わないものはあるよなぁ、と思う。
しかしなるべく見たいとも思わない。
あらためてそれを感じた。
最終章に近づくにつれて他の章のことが出てきてよかった。
Posted by ブクログ
ご飯もの、喫茶店やカフェで繰り広げられる小説はどれもほっこりじんわり泣けるっていう話が多い気がして(勝手な妄想。)読みたい気分に合うものに出会えてなかったけど、ご飯小説でどことなく不穏な空気が漂うこの小説にはかなり興味をそそられて、結果面白かった。これが現実だよな、と思ったりして。まぁそういうこともあるよね、素晴らしい体験ばかりじゃないわな…っていう日常を切り取っている感じが好きだった。帯に高瀬さんがいらっしゃり一発で読みたくなった。おまけのペーパーも面白かったな。