あらすじ
アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。
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Posted by ブクログ
今自分が欲しい言葉たちが沢山見つけられた本だった。多分今の私が吸い寄せた。刺さった。共感。
「寂しさ」に関するお話が心に残った。
寂しさとは人生への眼差しそのもの。常に視界を覆う薄い霧のような感情。
これを感じながら生きることは多分弱いもとのとして課された強さであり、そんなふうに平熱のままこの世界に熱狂したい、と思った。
あとは、誰かがつらかったら、周りも同じくらいつらい思いをしなければならないという考えはおかしい。という所に、言ってくれてよかったと救われた。楽できるならみんなもっと楽していいよね。
Posted by ブクログ
エッセイはこれまでも好きだったが、それはエッセイの中に表れる筆者の棘、毒っ気の痛快さや新鮮さへの感動という意味合いが強かった。
この本には棘や毒っ気を全く感じなかった。それでも不思議とこの本はすごくささった。解説で述べられているように筆者の飄然さ、自己愛との付き合い方の上手さが文章をとても魅力的なものにし、読者を惹きつけるのだろう。