あらすじ
「とにかくヘンな小説をお願いします」そんな型破りな依頼に応えるべく、炒めて煮込んで未知の旨味を引き出した傑作集。憎き取引先への復讐を計画する「そうだ、デスゲームを作ろう」、集団心理を皮肉った「行列のできるクロワッサン」、第76回日本推理作家協会賞ノミネートの『ファーストが裏切った』など、日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の五編。これも浅倉秋成。いや、これこそが浅倉秋成。
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Posted by ブクログ
どこか分かるような、でも分からない、分かりたくない!!
1. デスゲームの話
自分に嫌な人ができた時に、この物語の主人公のように考えれば、そして実際に行動を起こせば、自分の辛い状況を改善させることができるのだろうか。主人公のようにここまで大きなことはできない(というかそんな最悪な最終手段は避けなければいけない)と思いつつ、他のことに熱中することで、嫌な現実も気にならなくなるなら、どんなきっかけであれそんな道を見つけられるのは良いことかもしれないと、途中までは思っていた。けど、実際にそれでデスゲームをやめるわけではなく、結局実行してしまっているし、なおかつ主人公が意図しない形でターゲットが死ぬことになってしまった、そもそもなんとか耐えて生きていてほしいと思っていたのに、用意した仕掛けが全て作動することもなく、復讐が終わってしまって、読者としてもなんとも言えない気持ちになってしまった。この小説はなんなんだ、、そう思いながら次の短編もついつい読み進めてしまった。
2. 行列ができるクロワッサンの話
最初からそこはかとなく漂う不気味さ。クロワッサンの店主の顔写真が写ったポスター(?)を見た時、目が合った、という描写からどことなく寒気がしていた。行列が長くなり、6キロにまでのぼる段階で、いったいこのクロワッサンには何が入れられているんだ、クロワッサンに何かしらの薬物を入れたテロや洗脳の話なのかと思いきや、結局クロワッサンそのものについては語られず。ただ、クロワッサンを買うために並ぶ人たちの狂気、みんなと同じ行動を取る狂気が描かれていて、気持ち悪い(褒め言葉です)。夫と娘はあんなにも落ち着いていたけれど、本当にクロワッサン、食べてなかったのかな?
若干最後の展開は読めたものの、アメリカに渡ったあとのその後の暗示も気味悪さを増幅させている。
3. 控室から出てこない花嫁の話
どこか分かるような、分かってしまう自分が嫌になった。マジックが気持ち悪い、ダンスが気持ち悪い、そんなことを考えたこともなかったけど、言われてみれば、気持ち悪い、と主張する人の意見に反論できない。そして、免罪符があれば、常識外の行動に出てしまうことができる人の恐ろしさ。
異様な感じで描かれているけど、こういうこと、日常で、違う形で起こっているよね、っていう気持ちになった。
4. チームを裏切った野球選手の話
膜が割れた。
これも分かりたくないけど、分かるような。
もし自分がその時にすべき行動を取らなかったらどうなるか。私自身も考えたことがある、身に覚えがある。
作者がこの物語を思い付いているということは、私以外の、みんなもきっとそうなんだろう。
でもそれを言語化しようと考えたことがなかったから、いざこうして物語として描かれると、自分の心を読まれているようで少し恥ずかしくなる。
みんな、それぞれ、ストッパーをかけて生きているんだな。
5. 命名の話
妄想かーい!次も妄想かーい!と思いつつ、妄想が具体的すぎて、ついつい妄想の展開が気になってしまった。
名前について、そんなに深く考えたことはないし、環境とかいろんな要素があってその人の人生は決まっていくんだと思うけど、言われてみると名前、大事だよなあ、と。
最後の伊藤忠のオチ、好きでした。
Posted by ブクログ
YouTubeで紹介動画が流れてきて面白そうだったので購入。
特に「そうだ、デスゲームを作ろう」が好きだった。
やっと果たせると思った復讐が果たせず終わってしまった絶望感や未達成感をすごく味わえた
Posted by ブクログ
浅倉秋成さんの本を読んでみた。(二週目)
5編からなる短編小説集なのですがどれも面白かった。
次に読む本が決まっていない方おすすめ
人の醜い部分や怖い部分、面白い部分が垣間見えるような作品だったと思います。
短く感想を、、ネタばれします。
一話目のデスゲームのお話は、主人公悪くないですよね。
どう考えても取引先のやつの行動は許されるべきではないものだと思いました。たまーに目つきが、、って思う人もいるけど、でもだめでしょ。
この物語では、行動の原動力は必ずしも情熱などのポジティブな要素とは限らないことを理解したように思います。
もしかしたら、怒りや憎しみのほうが情熱よりも行動力を高められるんじゃないかと思ってしまうような作品でした。
あと、主人公様。辛抱しすぎるのは良くない。
二話目のクロワッサンでの同調圧力はよくわかる。
不思議なことに人は他と違うと不安になる生き物らしいです。
そんなことない。自分は自分。と思っている人も作品と同じ状況になったら耐えることはできるのでしょうか。作品の中でも主人公のお友達の一人がそんな感じでした。「私たちは行かなくても、」といった矢先に行列に並んでいたのを見つけたシーンではまさに同調圧力のすごさがわかりました。
不安を増殖させ、安心するためには周りに合わせることが必要。
そんなものに実際会ったら僕は勝てるのでしょうか
三話目の花嫁がもどらない話は他責について考えれた。
人にはいつも問題が立ちはだかると思います。原因を自分にベクトル向けて考えられているのか振り返れた作品でした。作中でも、花嫁がもどらない原因を「あの人の○○じゃないですか」と疑うシーンが多々あり、最後で紛争地帯と比喩できるほどの荒れた会場に変わってしまうシーンがありました。
問題の原因を自分から離れ指すのは簡単であり、安心します。
しかし、全員がそのような考えなら作中のようにぶつかり合うのは当然です。
話が壮大かもしれませんが、戦争の一番最初の原因ってこういったことから始まっている可能性もあるのではないでしょうか?この時の文章書いている私も自分が原因とは考えていないのでは、、(さすがに戦争を自分が原因とは考えないのは普通かもしれませんが)
まあ、これからはサッカーするときとか、常に自分にベクトルを向けてから考えるようにしようと思った作品でした。
四話目のファーストが裏切った話では、人間の怖さの可能性を知れたように思いました。人は行動しようと思えば何でもできてしまうのが怖いところです。作中では膜というものが人間を守ってくれているのだと書いてありました。確かに、言葉では表せないが「やってはダメなライン、ゾーン」が人間であれば備わっていると思います。これをやったらどうなってしまうのかということは言葉で説明できると思いますが、これをやらないようにしてくれている人間の「これ」は何というのでしょうか?(自分でも何かいてるかわからなくなってきた)
なんとなく、人間の好奇心に憎さや怒りがかけ合わさったとき、この膜が割れてしまう可能性が高まるんじゃないかと勝手に考えました。
五話目の完全なる命名は、シンプルにおもしろおかしい作品でした。
妄想癖がすごい主人公が子供に完璧な名前を付けようという作品です。
無難な名前だったり、壮大な名前だったり、神様から急にインスピレーションをもらった名前だったり、名前って何がいいんでしょうね。
壮大な名前を付けたら、グローバルに活躍するような子供になるかもしれない、無難な名前は平凡だけど幸せかもしれない、名が子供の人生の範囲のようなものを決めるかもしれない、名前って何がいいんでしょうね。
こうやってアウトプットするの意外と楽しいかも
Posted by ブクログ
いやー、愉快な話だった。
特に花嫁と名前の話が面白すぎて笑いそうになった。
人間心理的な部分や社会の問題を描きつつ、そこに明らかにフィクション的な設定を入れ込むことで滑稽に見えてくる。
くだらないけれど、笑えるだけじゃないこの作品のバランスが好き。
花嫁の話は、あまりに言いがかりが酷くて滑稽で、でもこれが人間だよなと思った。
ここ数年読んだ短編の中で花嫁の話は1番好き。
Posted by ブクログ
クロワッサンの新店オープン、吉祥寺から三重県四日市市を超え津市まで行列が伸びる話が好み。自宅近くの店の行列の先頭が遠いって…行列があると並ぶのも嫌だけど並ばないで様子見してたら日に日に長蛇の列、悔しさがリアルに伝わってくる。
最初の調理方法のページも好き。
Posted by ブクログ
【Audibleにて】
『そうだ、デスゲームを作ろう』
冴えない主人公が底意地の悪い取引先の男に復讐する話ですが、『主人公大丈夫か?そんなに時間と手間とお金をかけて、このプロジェクトは成功するのか?』と終始不安に感じながら本を読み進めていました。途中、デスゲームの罠についてたくさん説明がされている箇所が出てきたのですが、私は主人公のデスゲームがちゃんと成功するのかが気になり、本編にはあんまり関係がないだろうと読み飛ばしていました。しかし、やけに詳しく説明してされていたのはこの結末があってのことか、と思いました。
ですが、筆者の文章力が弱くて(表現力があんまりない)、主人公の突飛な考え方をなかなか自然に読者に納得させられるように書かれていないので、筆者の頭の中では自然なのかもしれないけど、主人公の考え方や取引先の男への態度は、意味わかんないなぁと思いながら読んでいました。
『行列のできるクロワッサン』
相変わらず文章力のない方だなぁ〜という印象です。自分の書きたいことを書きたい!という感じで、読者を常識的に納得させてくれるような説明の仕方とか、ひとつの場面を説明するにしても文学的な表現してくれるのが全然ない。
あと、この作者は結構な大風呂敷を広げる割にオチがめっちゃ弱い。
『え?!これ最後どうなんの?!』と思わせてはくれるものの、物足りない終わり方の作品、パート2でした。