あらすじ
人手不足なのに、なぜ人が余るのか?
これからの日本は、少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展による急激な人余りが同時に起こる社会に突入する。人手不足はローカル産業で起こり、人余りはグローバル産業で顕著に起こる。
これまでの常識のなかだけに生きるホワイトカラーは、生き残る選択肢がほとんどなくなる。
企業再生支援の第一人者による、国、組織、個人のレベルでの抜本的再生のための提言!
【内容】
序章 労働力消滅、ふたたび
第1章 グローバル企業は劇的に変わらざるを得ない
第2章 ローカル経済で確実に進む「人手不足クライシス」
第3章 エッセンシャルワーカーを「アドバンスト」にする
第4章 悩めるホワイトカラーとその予備軍への処方箋
第5章 日本再生への道筋
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Posted by ブクログ
個人的には、全体的にもう少し要点がまとまっていたほうが読みやすく読者も手に取りやすかったのではと思う。
ただ内容はホワイトカラーの業務に従事する自分にも刺さるような素晴らしい内容ではあった。
40歳になるまでに会社以外で自分で食い扶持を作っておくことの意義は大きそうだ。
どんなに良い組織、安定しているといわれていても何があるかは読めないし、中の人間関係や組織改編、統合、など自分のジョブの事情が外的要因で変わることもいくらでもあるだろう。そのために選択しと余裕を自分の中に、少しでも若いうちに作る気概が必要だ。副業やリスキリングもそのいい手段なのだなと思う。いまのうちにフル稼働で様々なことに仕事・趣味問わずチャレンジしておかないと人生が死ぬなと感じた。
★付加価値労働生産性=付加価値額(売上-外部費用≒粗利)÷労働量(人数×労働時間)
本書では一貫して、AI時代の到来は恐れるものではないと主張している。
衰退するホワイトカラーのビジネスパーソンも危機と変容を迫られる中で、マインドセットと技能のアップデート、すなわち「リスキリング」を正しく行えば、大半が新たな分厚い中間層の構成メンバーになれるとして、希望を語っている。
日本の労働生産性が先進国の中でもトップ国の半分に過ぎなかったというのは改めて衝撃的ではあった。ただ、その分伸びしろがあり、高度経済成長期のようなトップクラスであった時代に引き戻すことが大切だとしている。それでGDPも個人所得も2倍にできるという。
名より実を取るというか、ネームバリューや安定性など外的な価値、他人からチヤホヤされるなどのような動機で職選びをする時代ではないはず。今後は企業も個人も多元的な在り方を目指すべきというのは大いに勉強になった。私も実際その通りだと思う。
「私たちはどう生き、どう働くのか?」⇒自分自身の生き方を見出し、自分自身の人生を生きるしかない。
Posted by ブクログ
p40 〜残るはもう一つの方法しかない。従来のように漫然と量や規模を追わず、ほかの企業が手を出せないような「ややこしさ」を突き詰めることである。
p48 両利きの経営は戦略論よりも組織能力論、組織機能論にこそ心髄があるのだ。
p48 「複雑性×両利きの経営」
p96 キーワードは、需要は密度、供給は生産性である。
Posted by ブクログ
日本について書いている。
多くの人が思っていたり話していたりしているところをまとめてくださっている。
今の日本経済の行き詰まりの状況、成長の鈍化、給与が上がらないこと、に対しての提言。
「付加価値労働生産性」、「アドバンスト・エッセンシャル・ワーカー」、
キーワードとなるような幾つかの言葉とともに論じられています。
Posted by ブクログ
本の要旨
人手不足と人余りの同時進行: 少子高齢化により、日本全体で労働人口が減少しています。しかし、その影響は均一ではありません。観光業、介護、医療、物流、建設など、現場での仕事が多いローカル産業では深刻な人手不足が起きます。一方、生成AIやDXの進展により、事務、管理、分析といった業務が中心のホワイトカラーは仕事が代替され、人が余る状況が生じます。
ホワイトカラーの危機: 従来のホワイトカラーの仕事はAIに置き換えられる可能性が高く、特に「部下」の立場の仕事は消滅していくと指摘されています。生き残るためには、AIを使いこなす「ボス力」や、AIでは代替できない価値を生み出す能力が不可欠となります。
エッセンシャルワーカーの重要性: 一方で、AIでは代替されにくいエッセンシャルワーカー(医療、介護、物流など社会の基盤を支える仕事)の価値が今後ますます高まります。著者は、ホワイトカラーからこれらの分野への産業間移動を促す必要性を強調しています。
個人のキャリア戦略: これからの時代を生き抜くためには、これまでの常識や固定観念を捨て、自身の市場価値を見つめ直すことが求められます。具体的には、リスキリング(学び直し)を通じて、ローカル産業やエッセンシャルワーカーの分野へとキャリア転換することを推奨しています。
内容要約
1. ホワイトカラーの「大量失業時代」
AIや自動化によって、定型業務や調整業務などのホワイトカラーの仕事は真っ先に置き換えられる。
日本企業に特に多い「中間管理職的な仕事」「会議・資料作成・根回し」などは、AIの得意領域。
結果として、ホワイトカラー層が“余剰人材化”する。
2. 「昭和型大企業」の終焉
年功序列・終身雇用を前提とした仕組みは、余剰人材を温存してきた。
しかし、グローバル競争・株主の目線・技術革新のスピードにより、もはや雇用の温存は不可能。
「大企業に入れば一生安泰」というモデルは崩壊する。
3. 求められる働き方の変化
定型業務ではなく「創造性」「問題解決」「専門性」「人間関係構築」といった非定型の能力が価値を持つ。
一人ひとりが「自分の武器=プロフェッショナリティ」を持ち、会社に依存せず生きられるようになるべき。
「ゼネラリストで調整役」から「専門を持つプロフェッショナル」へのシフトが必要。
4. 会社と個人の関係の変化
会社は「一生の面倒を見る器」ではなく「一時的にプロジェクトを共にする場」へ。
個人は「会社に雇われ続ける」より「市場で評価されるスキル・経験を積み重ねる」方向に動く。
いわゆる「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への移行。