あらすじ
人手不足なのに、なぜ人が余るのか?
これからの日本は、少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展による急激な人余りが同時に起こる社会に突入する。人手不足はローカル産業で起こり、人余りはグローバル産業で顕著に起こる。
これまでの常識のなかだけに生きるホワイトカラーは、生き残る選択肢がほとんどなくなる。
企業再生支援の第一人者による、国、組織、個人のレベルでの抜本的再生のための提言!
【内容】
序章 労働力消滅、ふたたび
第1章 グローバル企業は劇的に変わらざるを得ない
第2章 ローカル経済で確実に進む「人手不足クライシス」
第3章 エッセンシャルワーカーを「アドバンスト」にする
第4章 悩めるホワイトカラーとその予備軍への処方箋
第5章 日本再生への道筋
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Posted by ブクログ
まさに対象となるホワイトカラーサラリーマンであるが、非常に共感できるところがあった
一部論拠に欠けると感じる部分はあったものの、変化する時代の中で大きな結論に対して根拠を求め続けるのもホワイトカラーの良くない癖だと自省するところでもある
現代は実学をやらずリベラルや抽象論ばかりで話が進むことが多いが、社会人になってかなり違和感を感じていたところにアドバンスド現場人材という用語は特に響く
Posted by ブクログ
タイトルのインパクトと著者で手に取った本。学生時代に司法試験に合格しているめちゃめちゃ賢い富山さんが、ホワイトカラーを中心とした労働市場でこれから起きることを、警句と叱咤をもって書いている。曰く、これからのホワイトカラーはグローバル企業でも経営を担えるような人材と、ローカルエリアでエッセンシャルワーカーとして働く人材に二分され、特に後者を低く見ることなく高付加価値・高生産性を追求していく事が肝要、という主張の理解。身近でも薄々起きていると感じていることなだけに腹落ちしやすく、また文章も、良い意味で何度も同じ主張を書いていることもあり読みやすい。さらに、関心のある「分厚い中間層」や「外国人労働者」にも触れていて、とても勉強になった。さて今の自分はどうか、どうすればよいのか、しっかり考えるきっかけになる本。
Posted by ブクログ
ざっと斜め読み
ブルーカラー→ホワイトカラー→これからはアドバンスト現場人材を食やツーリズムにシフトさせるべき
日本の資産は食や文化そして観光業である、需要も大きく外需なためここに軸を移せば食いっぱぐれないという話
まさにSE→酒蔵後継になろうとしてる自分にブッ刺さった。
必要なのはAIやDXを用いた省力化と、富裕層向けの高付加価値提供で稼げとのこと
なんとなく将来が不安で読んだが、ためになる良書
作者はIGPIの会長
Posted by ブクログ
著者の冨山和彦さん、割と最近知って、講演も聴いたのだが、結構はまる。いいことおっしゃる。
1960年生まれはほぼ同世代。
「両利きの経営」「DXの思考法」で解説は読んでいたが、著作は初めて読むこととなった。
読後感は極めて明快、筋が通っていて、わかりやすい、というもの。
著者への評価がますます高まる。
まとめると、、、
中高一貫校から東大や有名私立を経てホワイトカラーになり今に至る人たち。
人口減少社会、DX社会においてホワイトカラーの必要性はどんどん下がる。
世の中に必要なのはエッセンシャル人材、ローカル人材だ。
ホワイトカラーはアドバンスド現場ワーカーか、ローカル経営人材に転身することに
活路を見出さなくてはいけない。
ローカルで生き残るには、人手不足も相まって、
今までのような大量生産ではなく、付加価値の高い製品(農産物含む)を
少量、高価格で提供することが必要。
そうした人材になるためにはリベラルアーツが必要。
読む力、書く力。答えのない世界で答えを見出す力。
リスキリング、、、シン学問のすゝめだ。
夫婦共稼ぎが当たり前の世の中で、それを阻む要因になる制度は国として変えていかねばならぬ。
選択的夫婦別姓は当たり前。
・・・まああれを拒む自民党の一部の方々の頭にあるのは天皇制。男系維持。もはやおとぎ話の世界。
そんなこと言ってると天皇家は滅ぶよ。継体天皇ではないが、5代前にさかのぼれば別だろうけど、
そんなことしてまで何を残そうとするのか。2000年前の血に何の意味があるか。皆兄弟だよ。
それより今が、そして未来が生きづらくなっていることをただすことがよほど大事。
そういう頭の固い人はやがて滅びる、、と思いきや、若い人もYoutubeだかなんだかで洗脳されて
再生産されるのかね。なんで女子トイレに生理用品を置くことをつぶやいただけで殺害予告が何千件も届くのか。
反知性主義は生きづらくなるだけだ。
序章 労働力消滅、ふたたび
第1章 グローバル企業は劇的に変わらざるを得ない
第2章 ローカル経済で確実に進む「人手不足クライシス」
第3章 エッセンシャルワーカーを「アドバンスト」にする
第4章 悩めるホワイトカラーとその予備軍への処方箋
第5章 日本再生への20の提言
Posted by ブクログ
令和の学問のすゝめ。もう少し当たり障りのない題名なら、もっと違った印象を持つかも。『ホワイトカラー消滅』は、ストレートにインパクトを伝える(伝えすぎる)。中身がすごく良かったので、ここさえ違えば・・・まぁ、中身をよく伝えている良い題名かw
NHKのドラマネタが所々で出てくるのが気になったが、そういえばNHK出版だった。本筋は食わない程度なので、鬱陶しくはないから大丈夫。
とにかく良かった。段々と見えてきた。
Posted by ブクログ
筆者の主張は、斬新・革新的ではあるが、同時に現実を見据えた実現可能性の高いものであると思う。それは、筆者が、実際にビジネスの場等で、現実の社会と向き合っているからだろう。
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人手不足からホワイトカラーの人余り。
リクルートの変換見ても、時代が変わる変革期を感じてた。思ったよりも大きな変化なのかも。
多極集中、いるだけお中間管理職、中小企業の非生産的なものは淘汰されるべきという考え方が自分と同じで納得感高かった。
そんな中で、自分が何を目指すのか、肩書きでなくどう価値発揮できるのか。
生産性を上げないと必要とされなくなる急も感じる。
リーダーは変革しなければ。
Posted by ブクログ
グローバル産業で人手余りが、ローカル産業で人手不足が発生する。この状況は、ピンチであると同時にチャンスである。
付加価値労働生産性を高めることにDXを掛け合わせて、"見える化"と"分解"により、経営を高度化する。
企業は人的資本が何であるかをクリアにしないといけないし、個人は腹を括って自分自身と向き合わなければいけない。
"漫然とホワイトカラー"のピンチでありチャンス。
Posted by ブクログ
日本経済新聞の書籍紹介の欄で経済学者の入山章栄さんが取り上げていました。
AIの進展の影響を語る論考はそれこそ山のように発表されていますが、冨山さんは、本書にてAIの影響を如実に受けるであろう “ホワイトカラー” にフォーカスして、その近未来を考察することにより、日本経済の再生への提言にチャレンジしています。
期待どおり興味深い指摘が数多くありました。
Posted by ブクログ
都市部を中心としたホワイトカラー労働(特にルーティンなもの)がAIに取って代わられ、地方x技術労働(保育、介護、グルメ、観光)が人間にとって重要になる、という論旨は、なんとなく頭では理解していたものが言語化されて、非常に良かった。職人が生き残る世界は居心地が良い。
一方で、ホワイトカラーが生き残る術にも触れており、それはオールラウンドな準経営者層(簿記でいうと2級程度)になるしかない、と。その為には基礎教育(=リベラルアーツ)をリスキリングしなければならない。例えば「数学Ⅱ」できれば「物理Ⅰ」まで身に着けておけばデリバティブの基本は理解できる。
リベラルアーツは身に着けるだけでなく、応用が必要だし、それは脳の訓練が必要であることにも触れている。町中を歩いていて、「この古びていていつも空いている食堂はなぜいつまでの潰れないのか?逆にすごく流行っているように見えたファストフード店がなぜ閉店したのか?」ということを不思議に思うか(=問いとするか否か)、その不思議を解こうとするか(=正解を模索するか否か)、そしてそこにビジネス上をチャンスを感じたら行動を起こすか(=決断するか否か)を常に考えることが大事。
Posted by ブクログ
『三菱総合研究所は、2035年にホワイトカラー(事務担当)が180万人余剰になるとしているが、実際はすでに始まっている。』
確かにAiによる人員削減の話題をちやほや聞いておりますので、これはさらにもっと早い段階で、そしてさらにもっと多く余剰人員が出るのではないかと思っております。
多くの人はホワイトカラー>ブルーカラーという感覚をお持ちでしょう。今後これはそうはいかんざき!となりますので、適当にFラン卒業して、地元に帰って自宅通いで事務員としてそこそこのお給料で勤めながら地元ライフを謳歌しようというマイルドヤンキー的なお前ら(娘2人含む)、これ読んでお先真っ暗だから安心しろ。
このまま行くとホワイト生活からブラックになりますから。あーAiって怖いよね、ほんとAIタヒってくれんかなー、いやいやそうじゃなくAiを武器にできるホワイトカラーになってシン・ホワイトカラーとなり生き残るしかありませんぞ、お前ら(娘2人含む)。
最後の『日本再生への20の提言』など、私のような零細企業の経営者に対しては非常に厳しいお言葉をいただき、反省するところは反省し、そして反省するところはやっぱり反省し、そして反省しかありません。とにかくAiを使いこなせるよう、早速自分の写真をフィギュアにしてみます。がんばります!!
Posted by ブクログ
自身が日本から出入りする度に、日本での働き方、雇い方が、徐々に外国のそれに変化してきていると感じていたが、これからは雇用の流動化の進捗に影響を受けながら、加速度的に変化していくのではと考えていた。本書が提言したことは、海外では単純で合理的であればこそ取り入れられている施策が多く、即ちストレスを感じないものなのではないかと思った。
Posted by ブクログ
日本に伸び代がある、ローカル経済が伸びるという話は斎藤ジンさんと同じ。失われた30年は労働人口の多い時期でデフレ、低賃金、雇用維持に務めた。これからは人が減る、賃金は上がる。複雑なオペレーションエクセレンスを極める、集住してローカル経済を回すなどがポイント。まったく同感。価値観は変わりつつあると思う。希望があり良い本だった。
Posted by ブクログ
AI時代が到来するので、中途半端なホワイトカラーはリスキリングしないと淘汰されるという貴重なお話しでためになりました。仕事のあるエッセンシャルワーカーになるにしても、医者はなかなか転職出来ないしローカル産業の観光関連は低賃金が多い及び生産性が低いとの事、星野リゾートみたいな超勝ち組は別次元だが。
なぜ日本は失われた30年で賃上げをしなかったのかの謎もわかり良かったです。冨山さんの新著が出る度に読んでいこうと思いました。よく視聴してるWBSにも出ていましたし。
Posted by ブクログ
個人的には、全体的にもう少し要点がまとまっていたほうが読みやすく読者も手に取りやすかったのではと思う。
ただ内容はホワイトカラーの業務に従事する自分にも刺さるような素晴らしい内容ではあった。
40歳になるまでに会社以外で自分で食い扶持を作っておくことの意義は大きそうだ。
どんなに良い組織、安定しているといわれていても何があるかは読めないし、中の人間関係や組織改編、統合、など自分のジョブの事情が外的要因で変わることもいくらでもあるだろう。そのために選択しと余裕を自分の中に、少しでも若いうちに作る気概が必要だ。副業やリスキリングもそのいい手段なのだなと思う。いまのうちにフル稼働で様々なことに仕事・趣味問わずチャレンジしておかないと人生が死ぬなと感じた。
★付加価値労働生産性=付加価値額(売上-外部費用≒粗利)÷労働量(人数×労働時間)
本書では一貫して、AI時代の到来は恐れるものではないと主張している。
衰退するホワイトカラーのビジネスパーソンも危機と変容を迫られる中で、マインドセットと技能のアップデート、すなわち「リスキリング」を正しく行えば、大半が新たな分厚い中間層の構成メンバーになれるとして、希望を語っている。
日本の労働生産性が先進国の中でもトップ国の半分に過ぎなかったというのは改めて衝撃的ではあった。ただ、その分伸びしろがあり、高度経済成長期のようなトップクラスであった時代に引き戻すことが大切だとしている。それでGDPも個人所得も2倍にできるという。
名より実を取るというか、ネームバリューや安定性など外的な価値、他人からチヤホヤされるなどのような動機で職選びをする時代ではないはず。今後は企業も個人も多元的な在り方を目指すべきというのは大いに勉強になった。私も実際その通りだと思う。
「私たちはどう生き、どう働くのか?」⇒自分自身の生き方を見出し、自分自身の人生を生きるしかない。
Posted by ブクログ
今年13冊目。労働力供給制約社会&付加価値生産性向上で日本の先行き明るい論。友人知人との居酒屋談義で着地していた方向感で驚いた。ただ実行はどうかな…というところ。後、選択的夫婦別姓だけは意見が異なる点は書いておく。
Posted by ブクログ
経営者である著者が、デジタル化に伴う社会構造の変化により、ホワイトカラーの人余りが発生することを示して、その対処方法について書いた本。
時代の変化について正しく理解することで、危機感を持ち、自分の現状と向き合いあいながら、リスキリング等に取り組む重要性について学ぶことが出来る内容になっている。
Posted by ブクログ
p40 〜残るはもう一つの方法しかない。従来のように漫然と量や規模を追わず、ほかの企業が手を出せないような「ややこしさ」を突き詰めることである。
p48 両利きの経営は戦略論よりも組織能力論、組織機能論にこそ心髄があるのだ。
p48 「複雑性×両利きの経営」
p96 キーワードは、需要は密度、供給は生産性である。
Posted by ブクログ
既視感強めの内容だったが、政策レベルの提言から個人のマインドセットまで幅広い内容なので、俯瞰して理解しやすいかった。
重箱の隅をつつけば、あれっと思うところがいくつかあったが、そんなことはどうでもよくなる内容です。
ただ、そのあれっとなる部分に気づかない人には気を付けたい。
ただの受け売りの人を発見する踏み絵となるかも笑
Posted by ブクログ
AIに取って代わられる職種のほとんどはホワイトカラーとくくられる職種で、今後の日本の展望について知れるかなと思い手に取りました。
少子高齢化に伴い、働き手はどんどん減っていく一方で、ホワイトカラーの職種はAI技術の発展により人余りが加速化しています。
この状況を打破するため、AIをはじめとするデジタル技術を活用し、東京一極集中を止め、(特に地方の)エッセンシャルワーカーを増やしていく提案をされているのが本書です。
今までホワイトカラーの職種でいた人に、急に地方で運転手になれ、と言ってもそれは難しいでしょうが、移行のための戦略や、現在ホワイトカラーの私達への気構えなど、多岐にわたった提案は刺激になったし勉強になりました。
また、かつて日本経済を支えてきた工業大量生産モデルの終焉についても書かれていて、その理由もはじめて知って面白かったです。
面白かったから書いとくよ。。
日本企業のものづくりの強みは、ややこしいことを確実に、迅速に、大量に製造できることでした。
例えばブラウン管テレビ。
これには高度で複雑な技術力が必要だったため日本企業の組織力などを駆使して優位に立てました。
ですが、デジタル化された液晶画面は、ブラウン管ほどの高度な技術がなくても簡単に製造が出来るものであり、ブラウン管のニーズが無くなった今は、コスト競争力の高い中国や韓国に追い抜かれたそうです。
同じノリで、コンピューターや半導体も追い抜かれていったそう。
その裏返しが自動車産業で、大量の部品を使った複雑な技術力戦略が未だ有効なため、トヨタなんかは強みが発揮され続けてるんだって。。
また、人手不足の深刻化(特に地方)についての解決策の一つとして、教育改革のところもいいなと思いました。
「すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなるが、すぐに役に立たないものの中にずっと役に立つものがある」慶應義塾の塾長のこの言葉をかさに、大学は高尚な学びに特化させてきました。
でも著者の主張は、そういう大学は一部のグローバル競争に挑む人材を鍛えるための総合教育養成のため、少しあれば十分で、残りの大学は、専門技術の習得がメインの技能大学に転換すべきというものです。
英語ならシェークスピアの言語ではなくTOEICを、高尚な経済学より簿記会計を、という実学メインの大学にすべきという主張には大賛成です。
変化の激しいこの時代を生き残るのは大変なことだけど、自分たちのことだから頑張らなきゃいけない。
Posted by ブクログ
基礎能力が低いので、わかるけどシッカリ理解出来ていない。しかし、中途半端なホワイトカラーは不用になり、より体力的な層に移るのか、経営者的な決断する層または専門知識層の二極化されるだと感じた。大学に行きアルバイトと遊びしかしていない世代では、今後金を稼げないのは当たり前だろう。AIの活用を真剣に活用しないと刺激された本でもある。
Posted by ブクログ
難しくて、読むのに半月かかってしまった。
日本が、国として企業として何をすれば良いのか、が描かれている。
わたしは一応ホワイトカラーの部類なので、今後生き残っていくためには、どんなシフトをしていけば良いのか考えるきっかけになる本だった。
Posted by ブクログ
これまでのホワイトカラーでは生き残る選択肢が減る、と言う。で提案はまず「学問のすすめ」、よりよく生きるための知的技能「リスキリング」(基礎+応用)特に言語的技法が必須で、すぐ役立ってずっと役にたつ基本スキルを身につける、事だと言う。具体的には、論語にあるかの如く、20代では「ボス力」の経験を持つ事とあり、自ら問題を提示し、答えを模索し、組織を動かして実行、その結果を背負う人になる事、それには大手企業で経験を積むより中小企業で社長の右腕となることが短期間に遥かに実力が付く、と言う。30代は自分の経験から自分の付加価値力を極める事、そして40代以上は能力やスキルのキャリアパス(即戦力)を活かせる選択をする事、と言う。その中で日本の再生への提言としては:
・「多極集住」で密度の経済性を実現できる国づくり(コンパクト&ネットワーク)
・あらゆるレベルで新陳代謝を加速させる(パラダイムシフト:活力ある成長を見出す)
・観光ツーリズムを高める(交通インフラ・農林水産業・エネルギー・通信の改革に繋がる)
・経済成長の弊害である社会保障の義務的規制の撤廃
所得税の103万円の壁、社会保険の加入義務106万円の壁、扶養から外れる130万円の壁
配偶者控除が減少する150万円の壁、配偶者特別控除が減少する201万円の壁
・付加価値労働生産性の向上(経営者と労働者との生産性を上げる工夫と規制撤廃)
Posted by ブクログ
【書名と著者】
ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか
冨山和彦
【目的】
生成AIのおかげでホワイトカラーがいらなくなりそうという世相で、働き方をどう変えるか考える一助にしたい。
【読後感】
なんとなくリベラル・エリート・自己責任論な論調の偏りや、矛盾を感じるが参考になる点はあった。
まず土台として読む書く話すスキル、数学Ⅱ、簿記会計。
これを築いたうえにリベラルアーツ。
色々と私見や持論が展開されてるが、本書のユーザの大半が知りたいのは、何を身につけるべきか と思うので、文章量に比して知りたいポイントが少なめ。
【印象に残ったポイント】
・論調に見る生存者バイアス
グローバルな競争に日本が勝てない要因は経営力。だそうだが、実際為替の影響は大きい。(ドル円90円の時代と150円近くの今はだいぶ違う)
・日本の強みはややこしくて複雑なものを扱うこと
実は定常運行するのが複雑で大変なこと(各種交通機関、快適に過ごせる気遣いがある宿、非日常を感じられるレストランやテーマパーク)これらをここまで多様かつ当然に扱う国は寡聞にして知らない。
・漫然とホワイトカラー→ブルシット化
東大法学部卒の起業家に言われるとむかっとするが、確かにわたしなんかは漫然と適当な大学入って、ソレナリ企業に入り今に至った。。
・エッセンシャルワーカーの生産性を上げよ
そもそも、医療や介護は低賃金になる構造があって人手不足。低賃金だから生産性投資が行われないのに、付加価値を出せ!というのはエリートの妄言。農家はもっと頑張れ、かたや猿払村のホタテのように実質的に規制産業にしているようなものを褒め称えるのもしっくりこず。
Posted by ブクログ
会社員として、ビジネスとして刺激になる良い危機感を抱く契機になる読書ではあったけど根底にある著者の意識とか価値観に拒否反応が拭えなくてモヤモヤがつきまとう。
同一賃金同一労働とか、言ってることそれショックドクトリンじゃ、とか。内容が濃い中でさらりとパワーワードが出てくると、もっとそれらについての著者の意図や背景が知りたくなる、どういうつもりで言ってるの、その問題どう解釈してるの、と。安易に口に出すものじゃないのでは、何様なんだろうと思うこともあった。
ビジネスの世界ではそうかもしれないけれど、この広い世界で生きる中の倫理観や哲学はどこに?という疑問。
自分の意見と言うことに自信がありすぎるけど、それを、都合良くする社会にうまく適合しただけという感じ。
深くは理解できないけれど浅い部分では見習うべきところはありそうと思えました。
政府や、権力のある人たちが諸外国との競争で出し抜かれないように頭脳として存在していて欲しいけど重用しないでほしい人材という印象かも。
こういうこと言うと私大文系教授みたいに見下されそう。
Posted by ブクログ
日本について書いている。
多くの人が思っていたり話していたりしているところをまとめてくださっている。
今の日本経済の行き詰まりの状況、成長の鈍化、給与が上がらないこと、に対しての提言。
「付加価値労働生産性」、「アドバンスト・エッセンシャル・ワーカー」、
キーワードとなるような幾つかの言葉とともに論じられています。
Posted by ブクログ
本の要旨
人手不足と人余りの同時進行: 少子高齢化により、日本全体で労働人口が減少しています。しかし、その影響は均一ではありません。観光業、介護、医療、物流、建設など、現場での仕事が多いローカル産業では深刻な人手不足が起きます。一方、生成AIやDXの進展により、事務、管理、分析といった業務が中心のホワイトカラーは仕事が代替され、人が余る状況が生じます。
ホワイトカラーの危機: 従来のホワイトカラーの仕事はAIに置き換えられる可能性が高く、特に「部下」の立場の仕事は消滅していくと指摘されています。生き残るためには、AIを使いこなす「ボス力」や、AIでは代替できない価値を生み出す能力が不可欠となります。
エッセンシャルワーカーの重要性: 一方で、AIでは代替されにくいエッセンシャルワーカー(医療、介護、物流など社会の基盤を支える仕事)の価値が今後ますます高まります。著者は、ホワイトカラーからこれらの分野への産業間移動を促す必要性を強調しています。
個人のキャリア戦略: これからの時代を生き抜くためには、これまでの常識や固定観念を捨て、自身の市場価値を見つめ直すことが求められます。具体的には、リスキリング(学び直し)を通じて、ローカル産業やエッセンシャルワーカーの分野へとキャリア転換することを推奨しています。
内容要約
1. ホワイトカラーの「大量失業時代」
AIや自動化によって、定型業務や調整業務などのホワイトカラーの仕事は真っ先に置き換えられる。
日本企業に特に多い「中間管理職的な仕事」「会議・資料作成・根回し」などは、AIの得意領域。
結果として、ホワイトカラー層が“余剰人材化”する。
2. 「昭和型大企業」の終焉
年功序列・終身雇用を前提とした仕組みは、余剰人材を温存してきた。
しかし、グローバル競争・株主の目線・技術革新のスピードにより、もはや雇用の温存は不可能。
「大企業に入れば一生安泰」というモデルは崩壊する。
3. 求められる働き方の変化
定型業務ではなく「創造性」「問題解決」「専門性」「人間関係構築」といった非定型の能力が価値を持つ。
一人ひとりが「自分の武器=プロフェッショナリティ」を持ち、会社に依存せず生きられるようになるべき。
「ゼネラリストで調整役」から「専門を持つプロフェッショナル」へのシフトが必要。
4. 会社と個人の関係の変化
会社は「一生の面倒を見る器」ではなく「一時的にプロジェクトを共にする場」へ。
個人は「会社に雇われ続ける」より「市場で評価されるスキル・経験を積み重ねる」方向に動く。
いわゆる「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への移行。
Posted by ブクログ
2025/7/25
今、簡単な原稿づくりなども初稿は生成AIでつくることが始まっている。しかし、そこから編集するのは人間にしかできない。編集においては、問いを立てる部分とディシジョン(決定)の部分は人間に残る。生成AIには問いが立てられないからだ。
意思決定には、ある種の直感や価値判断が必ず入り込む。逆に、それが必要ないものは本当の問いではない。「ボス仕事」は残るのである。
「カフェテリア方式」リスキリングの問題点
現在の我が国のリスキリングの問題点は、この二つの整理ができていない点だ。無秩序にリスキリングの広範なメニューを提示してしまうため、無駄で的外れに終わるケースが後を絶たない。
その原因は、企業が事業領域をシフトするとき、必要なスキルが定義されていないケースが多いことだ。企業が目指す戦略の軸や、事業モデルの概要を明確にしなければ、社員に対して必要なスキルも定義できない。
仮に、出版社が電子書籍に注力するなら、こう言わなければならない。
「これからは、いっさい紙の出版をしません」
明確に言い切らないと、定義はできない。多くの場合、そこまで言い切ることを躊躇して比較的緩やかに定義をする。すると、リスキリングの課目が必要以上に増える。このケースは「カフェテリア方式」になり、的を絞ることができずに中途半端に終わる。しかも悪い意味での「現代教養講座」のようなものが並んでしまうので、それによって時代を生き抜く実践知が身体化できるようには思えない。
つまり、インターネットで手軽に勉強できる仕組みを構築し、英語も勉強できる、プログラミングも勉強できる、あれもこれも勉強できると並べ、社員にはこう伝える。
「これからは自分の力で稼ぐことが大事だから、メニューの中から自由に選択し、勉強してください」
ところが、社員の側からすれば、何から勉強していいかわからない。そのため、企業が提示したメニューはほとんど使われることなく、うやむやになる。また、そもそものスキリングが弱い、基礎的言語力が弱い人が、この程度の「お勉強」をやったからといっても使い物にはならない。これが、現状の日本企業に多いリスキリングの状況である。
「社員に全然使ってもらえないんですけど、どうしたらいいでしょう」
企業からは、そんな相談がある。しかし、結局この問題は、企業のトランスフォーメーションのゴールが定義できていないことから発生している。本来は、トランスフォーメーションしたいからこそ、この議論が始まるはずだ。しかし、トランスフォーメーションについて社員に対して厳しいことを言うと社内が動揺するので、逡巡してしまう。 しゅんじゅん
当然、カフェテリア方式で多くのメニューを出されても、社員側も企業側が逡巡している様子が手に取るようにわかるから、一生懸命やっても意味がないと見切ってしまう。ましてやアウトプレイス・リスキリングなど、怖くて腰が引けてしまう。
リスキリングという言葉を使ってもいいが、どちらかというと曖昧な状態で、言葉だけが踊っている状況があるのではないだろうか。
第5章 日本再生への20の提言
国、組織、個人のレベルでの再生の要諦は何か
①歴史的な大転換期の認識を共有せよ
②豊かなローカル、強いグローバルの国を目指せ
③人口減少の危機的局面を国と社会の再生の梃子とせよ
④シン列島改造論のす、め
———人口8000万人時代に「多極集住」で「密度の経済性」を実現できる国づくりを
⑤あらゆるレベルで新陳代謝を加速せよ
⑥古来の伝統からつながる江戸の庶民の世界観、社会観、人間観を再評価せよ
⑦「複雑性」「ややこしさ」が勝負、シン基幹産業が何かを間違えるな
⑧昭和の身分制を破壊せよ
⑨昭和なホワイトカラー身分による中間搾取を排除せよ
⑩シン「学問のすへめ」
———ローカル才能、グローバル才能それぞれに可能性をフル追求できる教育システムを
⑪カイシャ共助型から社会共助型セーフティネットへ
⑫国も企業も付加価値労働生産性向上の一本勝負!
⑬人的資本の強化に向けて労働市場の改革を急げ
⑭チープレーバー移入型ではない国際的な多様化を
⑮アドバンスト現場人材の時代、シン「分厚い中間層」づくりを急げ
⑯労働所得と資産所得のリバランスを進めよ
⑰超長期的な人口戦略を遂行せよ
⑱為政者、リーダーは日本社会の変革特性を理解せよ
⑲アンラーンとラーン、スキリングとリスキリングを国民運動へ
⑳青年はローカルをめざす―――ローカル経済圏をサブスリー経済圏に!