あらすじ
母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。海辺の町の鄙びた商店街の「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人で――。
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Posted by ブクログ
森沢明夫さんのこの小説好きだ!美味しいお寿司に温かい人たち。
義父からの暴力、母親からの言葉の暴力に耐えてきたまひろ。しかも上司からのセクハラやパワハラを受けていた会社もあっさり倒産し、不幸続きであったが、過去の思い出の夕凪寿司での出会いが人生を変えていく。
「人生捨てたもんじゃない」という言葉を実感とするまひろの新たな人生。頑張って生きる人が幸せになるのは嬉しい。
ツンデレの美玖も実は親からの虐待で大変な思いをしていた過去があったからこそ、不器用ながらまひろの良き同志となりお互いを必要とする関係性になれて、良かった。
三章、四章とも気持ちのいい涙が流せる。だから、森沢さんの小説はいい。