あらすじ
恨むな。憎むな。あらゆる声へ耳を傾けよ。そして――とこしえの和をなせ。
時は戦国、北の大地。謎多きアイヌの壮年・シラウキが人喰いクマの襲撃から助けた少女はなんと、蠣崎氏当主の娘・稲姫だった。礼として居城に招かれるが、それが思わぬ和人とアイヌの戦の引き金を引いてしまう。
稲は己の無知が招いた惨状を目の当たりにして、和睦には自ら打って出ることを決意する。
一方シラウキも稲姫の姿に心打たれ、少年期の惨劇の清算を和睦へと託すのであった。無頼の女傑、女真族、恐山の怪僧……二人は心強い協力者とともに和睦の中人となりうる出羽国・安東氏のもとへ向かう。
果たして二人は、「とこしえの和」を実現することができるのか。
いま最も注目を集めるヒストリーテラーが贈る、乾坤一擲の本格歴史エンターテイメント。
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Posted by ブクログ
とても面白かった。
まるで少年漫画の王道を読んでいるようだった。
稲姫の成長にその周りの人物のバックグランドが絡み、アイヌという少数民族の苦悩、人生が浮き彫りになっている。
Posted by ブクログ
イメージは中世版ゴールデンカムイ。
日本の歴史では戦国時代に当たる北海道。道南一帯を支配していた蠣崎家と以前から居住していたアイヌは互いに緊張した関係にあった。主人公は謎多き屈強なアイヌの壮年シラウキと領主蠣崎の次女「稲姫」。
ヒグマに襲われた稲姫を助けたシラウキ。稲姫は礼を尽くすが行き違いから和人とアイヌの抗争に発展、
シラウキは稲姫を人質に逃走する。コタンでアイヌの優しさに触れた稲姫は自分が何もしらなかったことを恥じる。前面抗争を避けるためコタンの長と和睦の道を探る。蠣崎家の主君、出羽国の安東氏に仲介を依頼。稲姫とシラウキは海峡を超え苦難の旅に出た。道南と北東北を舞台に数々の困難を駆け抜けていく本格的歴史エンタテインメント。
金カムとは反対で少女が和人、バディはアイヌの壮年。13歳の箱入り娘だった「稲姫」の生長譚と言ってもいいストーリー。少女から脱却しアイヌと和人の和睦を図る成長ぶりが目を見張る。シラウキは悪党(ウェンナイヌ)と呼ばれながらも稲姫を守り未来を託す。デカくて渋くて強い。圧倒的な強さは悲しみの過去の上に築かれたもの。金カムと比べるとシリアスな展開。カギになるのが「ウェンカムイ」人食いクマだ。要所要所で重用な意味を持つ。冒頭から8歳のアイヌの少女が餌食になる。かなりショッキングな表現がきつい。戦闘シーンもかなりエグい。だが期待が高まるドキドキ感がそれを上回る。最終章はいろんな勢力が入り乱れ戦いがクライマックスに向かう。展開が早くて何度も読み返した。エンディングは大同団結で和人とアイヌの和睦が図られた。だがアイヌの苦難がまた始まることを知る現代の自分にとっては辛い読後感が残った。だが作品は一級品だ。ぜひ、映画化を希望したい。シラウキを阿部寛、稲姫を山田杏奈。
Posted by ブクログ
知らない作家さん
分厚いナァ…
つまんなかったらやだナァ…
と怯みつつ読み始めた
時が許せば
一気に読んだであろう傑作だった
なんかもう
大事なことが何もかも
ここに詰まってる気がした
主役の成長も唐突すぎないし
それぞれの理由もきっちりしてるし
なのに全員魅力的って
すごい
うっすらしてるヤツ、いなくない?!
クライマックスは
沸き立つし溢れるし
永遠よ、とわであれ!!!
って涙した
願うだけじゃ叶わないんだな
人も歴史も動いてこそ動かせるんだな
すげーよかった
星は久々に5つ
Posted by ブクログ
なかなか読み出せなかったけど、読み始めたら一気に読んだ。
暴力シーンが辛い。
あと、名前が読めない、覚えられない。
戦国時代ものは名前が似てて、あと、漢字の読み方も独特だから。
Posted by ブクログ
歴史小説。
世は戦国時代、アイヌと和人は和睦ができるのか?が、テーマかな。当時のアイヌや日の本の和人の振る舞いや生活などよくわかる。アイヌは字を持たない人種なので和人に書面で色々騙され原住民であるのに迫害されちゃうんだよね、、。
しらなかったんだけどアイヌは北海道だけじゃなく東北にも住んでいた!
海を渡り東北へー、そして限りある時間のなかでお話は急速に展開していって、、、。稲の成長っぷりと、シラウキとのお互いへの思いやり。他の登場人物も自分の矜持に従いしなやかに活躍する姿がかっちょええ。
いや想像よりずっとワクワクした小説。金カムラブなので絵としても想像できてとても嬉しい小説だった。