あらすじ
民主主義とは何なのか? そこに限界はあるのか? 台頭するポピュリズム、強権主義に対して、民主主義は生き残れるのか……既存の国家体制に忍び寄る危機、日々報じられる様々なニュースについて、“知の巨人”佐藤優が縦横無尽に語りつくす一冊!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
昔から民主主義とはなんぞやと常々思っていたので、一つの考え方が知れて面白かった。
私は民主主義の罠だと思っていて、例えば民主的と言わざるを得ない手続きを踏んで、独裁的(ポピュリスト的)な政権が生まれる状態を、手続に瑕疵がないばかりに民主的として認めざるを得ない状態を勝手にそう呼んでいた。なるほど権力のサイクルというものもあるし、その国ごとの民主主義というものがあって、アングロサクソン型だけを果たして民主主義と言えるのかという見方もあるとの視点を得て、なるほどなあと思った。非常に短絡的な喩えで言えば、アメリカやイギリス英語が正しい英語であり、インドやフィリピンの英語は「訛っている」という考え方に似ているのかもしれない。それぞれの国で有効に意思疎通手段として成立しているのに、それが正しくないとは言えないのと同じで、おそらくそれはロシアという、今の状況下では外部からみたら独裁?帝国主義?とも見られかねない国の「内在的論理」を知る佐藤さんならではの視点なのだと思う。
しかしそう考えると、私が罠に陥っていると思った国は電子投票を導入していたのだが、その点で民主主義に疑問がつくのではという論点も指摘されており、色々納得。票の秘密ね、そう忘れがち。投票率が高ければいいのかという問題は、どこか忘れたがsns戦略でとんでもない候補が急に勝ち上がった事象をも思い起こし、「大衆」が投票すればよいのかという大衆民主主義についての考察にも繋がるなあと思った。
なお日本がもし大統領制だったらということを想像しておく価値はあるというところで、冗談みたいな位置付けではあるが、なぜヒカキンが人気なのか、自分ならヒカキンのような人格者に票を投じたいという理論だった説明が面白かった。ヒカキンの動画見たことなかったのだが、俄然興味わく(笑)