【感想・ネタバレ】レコンキスタ―「スペイン」を生んだ中世800年の戦争と平和のレビュー

あらすじ

電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
8世紀の初め、ジブラルタル海峡を渡ってイベリア半島、さらにフランスまでを席巻したイスラーム勢力。その後はキリスト教徒側が少しずつ押し戻し、1492年のグラナダ陥落でイスラーム勢力を駆逐した。この800年に及ぶ「聖戦」はレコンキスタの一語でまとめられてきた。だが、どちらの勢力も一枚岩ではなく、戦争と平和、寛容と不寛容、融和と軋轢が交錯していた。レコンキスタの全貌を明かす、初の通史。

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レコンキスタ―「スペイン」を生んだ中世800年の戦争と平和
著:黒田祐我
出版社:中央公論新社
中公新書 2820

難書。難解で複雑な歴史、イベリア半島と周囲で同時発生するイベントと、利害関係の把握、難しすぎる。冒頭にある地図がとてもたよりになりました。

レコンキスタとは、 Reconquista スペイン語で再征服のことである

711に西ゴート王国を奪われたキリスト教世界を、1492に、ナスル朝から奪還するまでの、712年間に行われた戦争を指す

舞台は、今のポルトガル、スペインの領域、イベリア半島である
(ピレネー山脈が、イベリア半島と、フランスとを区分する)

現在のスペインとポルトガルの行政区分を見てみたが、土地勘がないので、イメージがわかない

アンダルス:イスラームのイベリア半島を統治しているエリアをいう
ジハード:聖戦:イスラム教を広めるための異教徒との闘いをいう
ベルベル人:北アフリカ(マグレブ)の原住民、アンダルスへ植民を行っている
モサラベ:アンダルスに残されたキリスト教徒

7世紀 西ゴート王国 イベリア半島制圧

 620s 西ゴート王国イベリア半島全土制圧
 661 ウマイヤ朝(661-750)成立

8世紀 西ゴート王国滅亡 イベリア半島は、イスラム化

 711 西ゴート王国滅亡
 732 トゥール・ポワティエ間の戦い フランスに撃退される
 740s イベリア半島でベルベル人の大反乱
 750 アッバース朝成立(~1258)
756 後ウマイヤ朝(~1031) イベリア半島に成立
    人頭税をはらうのが大変であるため、モサラベは、イスラム化していく

 785~801 バルセロナ地域 フランク王国の配下へ ヒスパニア辺境領

9世紀 キリスト勢力 イベリア半島北部を奪還

 818 反ウマイヤ朝暴動
 860 コルドバの殉教運動
 880 ウマル・ブン・ハフスーンの反乱(~928)
 イベリア半島北部 カスティーリャ、アラゴン、カタルーニャ等 キリスト勢力奪還

 820 ナバラ王国成立

10世紀 イスラム主導の繁栄の時代

 912 アブド・アッラフマーン三世即位 コルドバ平定へ
 930s 後ウマイヤ朝最盛期に、地中海圏にて、神聖ローマ帝国、東ローマ帝国とも外交関係に
 アンダルスで、イスラム教徒のみならず、キリスト教徒、ユダヤ教徒も、平和と繁栄を享受

11世紀 農業革命、商業革命による生産性の向上により、イスラム世界から、キリスト世界の優位へ

 1031 後ウマイヤ朝滅亡後、タイファー諸国へ分裂
    ①セビリア王国、②サラゴサ王国、③グラナダ王国、④トレド王国、⑤バダホス王国、⑥デニア王国 等へ
 1056 ムラービト朝(~1147)ベルベル人、北アフリカ、イベリア半島で成立
 1064 教皇アレクサンデル2世がレコンキスタを十字軍として認可
 1086 アルフォンソ6世のトレード征服
    イベリア半島は、4分割へ 
    ①アラゴン王国、②バルセロナ伯領、③カスティリャ・レオン王国、④アンダルス(ターイファ諸国)

12世紀 レコンキスタ進行

 1130 ムワッヒド朝(~1269)ベルベル人、北アフリカ、イベリア半島で成立
1139 ポルトガル王国成立(~1910)

13世紀 レコンキスタ進行 ムワヒッド朝滅亡により、アンダルスは、イベリア南部に縮小

 1217 ポルトガル王国、アルカセル・ド・サルの攻略、現行版図を回復、
 1232 ナスル朝成立(~1492)
 1252 大レコンキスタ イベリア半島は5分割 アンダルスは、イベリア半島南部に封じ込められる
    ①ナバーラ王国、②アラゴン連合王国、③カスティーリャ王国、④ポルトガル王国、⑤アンダルス
1269 ムワッヒド朝滅亡

14世紀 停滞の時代 ペストの世紀

 ジブラルタル包囲戦(第七次までは、イスラム・キリスト戦)
 1309 第一次包囲戦(8月~9月12日)
 1315 第二次包囲戦
 1333 第三次包囲戦(2月~6月17日)
 1333 第四次包囲戦(6月26日~8月)
 1349 第五次包囲戦(8月24日~1350年3月27日)
 1411 第六次包囲戦
 1436 第七次包囲戦(1436年8月~1436年8月31日)以後は、キリスト世界でジブラルタル争奪戦が継続)

 1348 ペストの流行開始

 1366 トラスタマラ内戦(~1369) カスティーリャ継承戦争

アラゴン連合王国 地中海帝国へ

15世紀 レコンキスタ完了、イベリア半島のキリスト世界の統一

 1407 第1次グラナダ戦争
 1431 第2次グラナダ戦争
1455 第3次グラナダ戦争
 1469 カスティリャ王国のイサベルとアラゴン王国のフェルナンドが結婚
 1479 アラゴンとカスティリャの統合、スペイン王国の誕生
 1482 第4次グラナダ戦争(~1492)
 1492 グラナダ陥落 ナスル朝グラナダ滅亡、イスラム勢力をイベリア半島から駆逐

目次

はじめに

第一章 レコンキスタ前史

1 地理環境とたどった歴史との深い関係
2 古代ヒスパニアの歴史

第二章 アンダルスの成立と後ウマイヤ朝の栄華

1 イベリア半島の征服
2 アンダルスの成立
3 後ウマイヤ朝治下のアンダルス
4 カリフ制の成立

第三章 レコンキスタのはじまり

1 アストゥリアス王国の成立
2 レコンキスタの開始?
3 様々な「レコンキスタ」のあり方

第四章 力関係の逆転

1 マクロ視点から見た11世紀 西欧世界と地中海
2 第一次ターイファ時代
3 キリスト教諸国の優位
4 劇的な状況変化

第五章 一進一退の攻防

1 キリスト教諸国の混乱と成長
2 風雲急を告げるマグリブ・アンダルス
3 「私利私欲」で動く国々
4 「大レコンキスタ」

第六章 征服活動の実態

1 「宗教戦争」をめぐる本音と建て前
2 征服活動
3 共存の実態

第七章 中世後期の危機

1 「フロンティアの閉鎖」
2 「海峡戦争」
3 危機の本格的到来

第八章 アンダルスの黄昏

1 攻勢に出るカスティーリャ王国
2 近隣諸国と辺境の動向
3 「グラナダ戦争」(1482~1492年)

終章 レコンキスタの終わり?

あとがき

本書に関連する時代の略年表
参考文献
事項索引
人名索引

ISBN:9784121028204
判型:新書
ページ数:336ページ
定価:1100円(本体)
2024年09月25日発行

参考

【イベリア半島の河川】

■エブロ川→スペイン→地中海へ
タホ川→スペイン→ポルトガル→大西洋へ
■ドゥエロ川→スペイン→ポルトガル→大西洋へ
■グアディアナ川→スペイン→ポルトガル→大西洋へ
■グアダルキビール川→スペイン→大西洋へ
フカル川→スペイン→地中海へ
セグラ川→スペイン→地中海へ
ミーニョ川→スペイン→ポルトガル→大西洋へ

【スペイン行政区】

アストゥリアス州
・アストゥリアス県

アラゴン州
・ウエスカ県
・サラゴサ県
・テルエル県

アンダルシア州
・アルメリア県
・カディス県
・コルドバ県
・グラナダ県
・ウエルバ県
・ハエン県
・マラガ県
・セビリア県

エストレマドゥーラ州 
・バダホス県
・カセレス県

カスティーリャ・イ・レオン州
・アビラ県
・ブルゴス県
・レオン県
・パレンシア県
・サラマンカ県
・セゴビア県
・ソリア県
・バリャドリッド県
・サモーラ県

カスティーリャ=ラ・マンチャ州
・アルバセーテ県
・シウダ・レアル県
・クエンカ県
・グアダラハーラ県
・トレド県

カタルーニャ州 
・バルセロナ県
・ジローナ県
・リェイダ県
・タラゴナ県

ガリシア州
・ア・コルーニャ県
・ルーゴ県
・オウレンセ県
・ポンテベドラ県

カンタブリア州
・カンタブリア県

ナバラ州
・ナバラ県

バスク州
・アラバ県
・ビスカヤ県
・ギプスコア県

バレンシア州
・バレンシア県
・アリカンテ県
・カステリョン県

マドリード州
・マドリード県

ムルシア州
・ムルシア県

ラ・リオハ州
・ラ・リオハ県

カナリア諸島州
・ラス・パルマス県
・サンタ・クルス・デ・テネリフェ県

バレアレス諸島州
・バレアレス諸島県

【ポルトガル行政区】

ノルテ地方
セントロ地方
リシュボア地方
アレンテージョ
アルガルヴェ
アゾレス自治地域
マデイラ自治地域

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2026年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1492年のグラナダ陥落でイスラム勢力を駆逐した。800年に及ぶ「聖戦」レコンキスタ。

キリスト教徒、イスラム勢力、ユダヤ人とイベリア半島内に色んな勢力があり、宗教が同じでも対立し、異教徒とも同盟を結び、更には王国内でも権力闘争があったりとドロドロに混乱している。しかも、フェルディナントやアルフォンソが何人もいて…。しかし、面白い。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

イベリア半島の中世史を概観する。
レコンキスタって用語は後世になって用いられたもので、当時の人々は用いていない。つまりレコンキスタという目標が掲げられて王国の興亡が展開されたわけではない。
この時代、洋の東西を問わず攻撃力よりも防御力が優っていたので、殲滅戦にならない。いったん敗北しても他日の復活が容易だ。そのためいかに戦闘を終了させるかの交渉力にも長けていく。欧州のしぶとさはこんなところにもあるわけだ。もうひとつ、王権の継承にあたっては必ず兄弟間で揉める。これも東西共通で、人の業なんだろうな。

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2025年02月25日

Posted by ブクログ

 スペインはヨーロッパのなかで特殊であり、特にわからないのが、なぜスペインだけイスラムに支配され続けたのかである。レコンキスタといえば、敬虔なキリスト教徒が大変な思いをして800年もかけてイスラムに支配された国土を回復したというイメージを持っているが、どうやら多くの住民が狭量なキリスト教よりも寛容なイスラム教を選んだのだ。そして隣接するキリスト教国もアンダルシア地方が、緩やかなイスラム支配を選んだのだ。
 グラナダのナスル朝が支配している面積も人口も国力も、カスティーリャ王国に比べればとても小さいにもかかわらず、250年もの間追い出さなかったのは、そんなに邪魔ではなかったし、キリスト教徒がアンダルシアで普及しなかったという背景もある。16世紀の近代社会は効率的な封建制度を確立するためには、キリスト教で国家を統一しなければならなくなった。1492年にグラナダが陥落するのだが、その年にユダヤ人を追放し、1502年には、イスラム教徒を追放するのだ。
 この本は、スペインという国を理解するには良い本だと思います。というよりレコンキスタを理解しない限り、スペインはわからないのだと思います。

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2024年10月29日

Posted by ブクログ

しばらく読み進めたあと西洋中世史をおさらいする必要を感じ、高校の教科者を取り出すことになった。
イベリア半島でのキリスト教勢力によるイスラム勢力の駆逐は、レコンキスタとして世界史で学んだほどには、単純でなかった。宗教的な運動というよりも、それを名目にした抗争と理解した。王やカリフの戦死や夭逝により政権基盤が不安定となると、内部抗争で本来の敵の勢力の一部と同盟関係を結ぶので、複雑で理解がなかなか追いつかなかった。イスラム勢力は宗教的には寛大だったことや、中世の戦争や戦後処理の方法をみると、当時の社会は現代よりも寛容に見えて、興味深かかった。
とにかくたくさんの勢力が現れ、複雑に絡み合うので(しかも本では前後して何度か現れることがある)、それらを整理させたく関係図を作ろうとしたが、途中で断念した。これがわかるような工夫があれば、もう少し読みやすかったと思う。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

中世のスペインを理解できる良書。キリスト教とイスラム教、十字軍、ジハード等、目まぐるしくスペインの領地で争いが続く。前半の史実を追う部分は詳細すぎて頭がついていかなかった。後半の第6章にある征服や闘いの実態が記載されているところが興味深い。クライマックスはグラナダの陥落。旅行で訪れたグラナダの街を思い浮かべながら読んで、かなり没入できた。

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2025年02月14日

Posted by ブクログ

単語はしっているが、細かいところは知らなかったので手に取ってみた。

レコンキスタがどんなものかは感じられたが、そもそもスペイン史に興味を持っている人向けの内容で、スペインの地理に疎く、世界史もとっていなかった身としては通読したに止まってしまった。人名も聞きなれないことも原因かもしれない。

個人的な興味をもつ目的とはミスマッチだったが、本書のタイトルを見てもっと深く知りたい方にはピッタリだと感じた。

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2025年01月08日

Posted by ブクログ

レコンキスタというキーワードを軸に、中世のスペイン史について学ぶことができる本。単なる宗教対立ではなく、各時代の国、領主のパワーバランスにより、領土や協力関係が移り変わり、歴史が紡がれて来たことを知ることは、現代の情勢にも通じるものがあると感じた。

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2024年12月20日

Posted by ブクログ

800年の歴史がよくまとまっている。慣れない地名人名に戸惑うが、人種宗教の単純な対立ではない歴史を改めて知る。誠実な基本書として。

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2024年10月31日

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