あらすじ
この物語は、中年版『君たちはどう生きるか』です――金原ひとみ。45歳一人暮らし、労務課勤務のルーティン女・浜野文乃と、ホスクラ通いのイレギュラー編集者・平木直理。新たな代表作。
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Posted by ブクログ
2026.1.24
浜野さん、辛い過去があったけど
いい人に出会えて良かったね。
平木直理
かしましまさか
ぐりとぐら
ナチュラルボーンシット
Posted by ブクログ
45歳、独身、労務課勤務。
主人公・文乃の生活は、鉄壁のルーティンで守られている。感情を揺さぶられないよう、傷つかないよう、時間を効率的に消費する日々。それは一見、平穏で洗練された大人のライフスタイルのようだが、著者はそれを「緩やかな死」として冷徹に描き出す。
この物語の凄みは、その静寂な「防衛的ミニマリズム」の世界に、平木直理というZ世代の「ノイズ」を爆音で投げ込んだ点にある。
ホスト、バンド、無鉄砲な言動。文乃が必死に排除してきた「無駄」や「非効率」なものたちが、彼女の完璧な聖域を侵食していく。しかし、その不快なはずのノイズこそが、実は彼女の止まっていた心臓を再び動かすためのAED(自動体外式除細動器)だった。
タイトルの「ナチュラルボーンチキン(生まれついての臆病者)」は、決して卑下ではない。
臆病だからこそ、変化に震え、恐怖し、それでも踏み出そうとする瞬間の爆発力は凄まじい。何も感じない強さよりも、恐怖に震える弱さのほうが、遥かに「生きている」のだと突きつけられる。
これは単なる再生の物語ではない。
効率や正解に縛られ、賢く生きようとするあまり「正しく死んでしまっている」私たち現代人の頬を、金原ひとみがフルスイングで張り飛ばしに来る、愛すべきテロリズムだ。
読後、あんなに守りたかった平穏が、少し退屈に思えてくるから不思議だ。