あらすじ
大ヒットしたNHK大河ドラマの傑作『鎌倉殿の13人』から、脚本・監督を務めた最新作『スオミの話をしよう』まで、当代随一の喜劇作家が明かす「物語作り」の秘密――。
本書の主な内容 よみどころ
●俳優の持つ「おもしろさ」を極限まで引き出したい
●『鎌倉殿の13人』の脚本作りでもっとも役に立ったモノ
●人生のターニングポイントと作風の変化
●「自信を失ったときに励まされた」大物からのメール
●「制約」こそが、新たな物語を作り出す
●「ほんとうのコメディ映画」は存在するか
●僕が「舞台稽古の時は裏側は見ない」理由
●外国の古典映画はアイデアの宝庫なのに・・・
●『スオミの話をしよう』こだわりぬいたトコロ
●あの俳優さんについて思うこと、考えたこと
●新たに大河ドラマを撮るなら「この時代」
●まだまだ舞台や映画で試したいことはたくさんある ほか
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『三谷幸喜、興る』後編だねw。
2025年3月読了。
前の対談本を読んだので、直ぐに此方も…と購読。
個人的に『鎌倉殿…』は、大河史上一,二を争う程の出来だったと思う。鎌倉時代は余り題材に上がらないのが不満だったので、血腥くも真っ直ぐな生き方をしていた鎌倉武士の物語が見られたのは、本当に嬉しかった。そして撮影技術の向上はその当時から感じてはいたが、そこまで進化していたとは思ってなかったので、良い話が聞けた。
その前の『真田丸』も面白かったが、最後の《大坂夏の陣》でガッカリした。ただ、三谷さんがそれ程までに「合戦を描いてもしょうがない」と考えていたとは思わなかったので、当時「どうせNHKの予算が尽きたんだろ…」ぐらいに思っていたが、まさか意識的に省いていたとは思わなかった。
その点で個人的な感想で言えば、「《大坂夏の陣》をしっかり描かないのなら、幸村は何の為に最期に突撃したのかが曖昧に成ってしまう」と考えているので、その点では昔々の『真田太平記』に軍配を上げる。草刈正雄演じる幸村の突撃シーンは、あんなに気の毒な程の低予算だったにも関わらず、素晴らしかった。原作にかなり近付けた演出だったと思う。
それにしても前の本とこの本を読んでつくづく思ったのが、三谷さんが何度も口にする『違和感』だった。〈そこいら辺の他の脚本家や演出家と、自分とは違う〉と言いたいのか分からないが、此処までしつこく『違和感』について言及しているのを読むと、「本当にこの人は向いていないのでは…?」とすら思えてきてしまった。古畑…や他の映画でも自分は楽しめたが、創っている当人がここまで『違和感』を口にしていると、観ている側も「(三谷さんが言いたい意図を)取り違えてるんじゃ…」と云う気にすら成ってしまうのだ。
しかし、何だかんだと言いながら、観ていた作品は好きだし、観忘れていた作品は「追っ掛けなきゃ」と思わせる才能は、やはり三谷幸喜と云う人の大きな才能の賜物だと言わざるを得ない。
舞台は物理的に中々観に行く事が難しいが、映画やTVドラマはこれからも良い作品を作り続けて欲しい。特に大河は、最近とみに情けない脚本の作品が多いので、多少の年数が掛かっても良いから、又いつの日か新しい三谷幸喜の物語を観たい。
まだまだ〈残りの年数〉なんて考える御歳じゃありませんよ、頑張ってください!!!