【感想・ネタバレ】新しい恋愛のレビュー

あらすじ

みんなの恋愛をわたしは知らない。

芥川賞受賞のベストセラー『おいしいごはんが食べられますように』著者が放つ、最高の〈恋愛〉小説集。

あなたはどこまで共感できますか?
ひと筋縄ではいかない5つの「恋」のかたち。

【収録作品】
「花束の夜」「お返し」「新しい恋愛」「あしたの待ち合わせ」「いくつも数える」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

どこからか煙のように立ち昇って、あたりに充満していくような思考の巡り、記憶の連鎖を描くのがとても上手い。
「ちょっと思い出しただけ」のなにげなさで、ほとんど急所を突いてくる言葉がつぎつぎと繰り出される。
5篇のいずれもがつよい印象を残して、過去にも未来にも刻まれる感じがした。

【花束の夜】
職場の先輩でありながら、体の関係ももっていた倉本の送別会。解散後、みんなで渡した恒例の花束を「これいらねえから」と押し付けられた主人公・水本は、花瓶を求めて八月の夜の街をさまよう。
その道中でつらつらと考えるのは倉本とのことや、あるいは漠然と仕事のことや過去の恋愛のこと。

〈社会で働き始めてしまった自分は、もう二度とあんなふうに自分の心だけで恋愛をすることができないんじゃないか〉
〈好きはいつも、いつの間にかなくなる。けれどなくなり方が、大人になるとこんなふうな形なんだな、と知った。〉

花束を抱えて歩く夜、という設定が個人的にはもうそれだけで文学性にあふれている気がして、こういう夜をいつか歩いてみたいと思った。

【お返し】
息子が保育園でもらったチョコレートをきっかけに、かつてのバレンタインデーに思いを馳せる主人公。
ひとつ下の幼なじみであるユウハが、律儀にチョコレートを贈りつづけていたのだ。最後にもらった高三のときには告白もされた。
彼はユウハを特別好きだったわけではないが大人になった今でも思い出すし、季節にかかわらず夢に出てくることだってある。子どもの思い出だ、腑に落ちない、とその関係を切り捨てようとする主人公に対して、話を聞いていた彼の妻が言った、
「でもあなたは、結局こうして、その子のことをずっと覚えているわけでしょ」
という台詞に痺れた。深くうなずかされた。
彼はあなたのことをこんなに覚えているよ、と余計なお世話ながらユウハにそのことを教えてあげたい。
どんなお返しよりもうれしいといいな。私からしたら、男女の関係性において望むことのそのものだから。

【新しい恋愛】
時代設定はいつなんだろう。
マッチングアプリで出会って結婚する、という流行を経て、「人を愛するすばらしさ」が説かれ恋愛の末に結ばれる結婚に回帰してきた世界にありながら、ロマンチックを忌避する主人公・知星。
交際中の遥矢とは結婚するつもりだが、プロポーズに付随すると思われるロマンチックなムードには到底耐えられそうにない。照れ隠しでも惚気でもない、醒めているけれど変わらず好きではある。
そんな複雑な感情を持て余しているところに、姪っ子からの衝撃の事実がどんでん返しのようにもたらされる。
よく考えてみれば、私もこの姪っ子の感性に近いかも。
親になっても、まだ恋愛できるってことに、感動してしまう。恋愛の醍醐味を、ひいては人生の醍醐味を感じる。そこにあるのは究極のロマンチックかもしれない。

【あしたの待ち合わせ】
この短篇を読んで、我が身を省みざるを得なかった。
かな子にとっての狛村くんのような存在に、おまじないめいた〈でも、だって、狛村くんはまだわたしのことが好きだし〉という感情に、覚えがあるからだ。
その正体が、言い訳なのか、驕りなのか、自己愛なのか救いなのか安心なのか執着なのか情なのか、自分でもなんなのかまるでわかっていない。
自分も狛村くんも、うまく歳を取れていないという見解には笑っちゃうほど同意した。
最後の展開のようなことを試したことはない。てか試せない。怖い。それで万が一彼がいなくなったらものすごく困るから。

【いくつも数える】
イケオジである課長が、26歳年下の若い女の人と結婚したことに色めきだつ課内のメンバー。世代ごとの年の差恋愛に対する反応がずいぶんリアルだった。
ネットではグルーミングという言葉も広く浸透して、おじさんが若い子に手を出す(決して恋愛とは言ってもらえない)ことの罪深さがますますはっきりと糾弾されるようになってきている。
だって想像すると気持ち悪いし、同世代に相手にしてもらえないから、まだ経験の浅い年下を誑かすことでしか付き合えないんでしょうなんて思っちゃう。
それは男女逆でも同じことが言える。私自身も32歳で、一回り下の年齢がついに20歳にまで上がってきた。
20歳の男子と触れ合う機会はないけど、もし日菜子さんみたいな立場になることがあったら。34歳から職場の後輩とサシ飲みを何年も何年もして、そのうち50歳になっていたら。それだけの信頼関係を築いても一線を超えることはなく、年下の女の子の出現であっけなく終わる。

〈かわいくて、好きだなと思う。かわいいのは若いからか。そうかもしれない。好きだと感じるのは、若いからではないけれど、かわいいからかもしれない。だとしたらやっぱり、若いから好きだということになるんだろうか〉

主人公の葛藤はもっともだ。
もし自分が日菜子さんだったらどう振る舞うことになるのか、考えるとおそろしいような背筋が寒くなるような気がするけれど、当事者にしか分からない気持ちがたくさんあるのだとも思う。

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2026年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みながら、ずっと
なんか違うと感じつつ
2日で読み終わる

なんか違うの理由が
読み終わってからわかったわ

まず『花束の夜』は、私なら
花束を渡された時に、「私もいらん」と返す
もし「いる」と思って、もらってしまったら
部屋に飾るくらい、割り切れる

次の『お返し』は、女子目線なら
とっとと告る
男子目線なら、早い段階で
来年はいらんと伝える

『新しい恋愛』は、そもそも
ロマンチックの何があかんのかが
理解できん
守ってやると言うタイプの男性が
嫌なら、最初から付き合うなよ
結婚しても離婚が目に見える

『あしたの待ち合わせ』
に関しては、ストーカーでしかない

『いくつも数える』
これは私の男友達にも
年の差婚した50代がいて
その後、立て続けに奥さん妊娠して
定年前に育休2年くらい
とった人がいるので
めちゃリアルやった
けど…ぶっちゃけ他人の年の差婚に
そこまで感情移入する気持ちは
あまり分からず…

とにかく全ての話が、
「私とは違う感覚の人の話」やったから
「何か違う」と思ったみたい

でも2日で読んだ=理解できる部分も
かなりあるから、面白く読めたわけやと思う
ある意味すごいな

0
2026年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋愛って色んな形があるよね…って考えさせられる。純愛、不倫、年の差、キープ…それを少しずつ覗いて、どう思う?って聞かれたような気持ちになった。

個人的に「お返し」「いくつも数える」が好き。

『大学時代に傷のない気持ちで野木くんを思っていた自分が、呆れた冷たい目て今の自分を見ているような気がした。けれどその醒めた目の持ち主は、学生時代に我慢したからいいよね、社会人だったらこのくらい普通らしいし、とも思っているのだ。』
これ読んで、うわーーーこれがいい意味でも悪い意味でも大人になってしまうって事なのか、と考えてしまった

0
2026年01月05日

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