あらすじ
「色はあくまで黒く、目は逆しまに裂け、腕にはお魚の鱗がおありになる……」道々の者の末裔を母に持ち、徳川家康の第六子として生まれた松平忠輝だが、その異形と途方もないエネルギーを家康に恐れられ、捨てられてしまう。帰る場所のない忠輝は、謀略を企む秀忠と執拗に命を狙う柳生と対峙するが……。弱き者、そして愛する者を守るべく、虚々実々の乱世を“鬼っ子さま”が駆け抜ける!
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Posted by ブクログ
『捨て童子松平忠輝(1)』
隆慶一郎
『捨て童子松平忠輝(1)』は、家康の六男として生まれながら、政治的な思惑と家中の力学によって“捨て童子”として扱われた松平忠輝の数奇な運命を、隆慶一郎らしい骨太の筆致で描き出す歴史小説の第一巻です。幼い忠輝は、本来なら将軍家の一員として栄華を約束されていたはずなのに、家康の冷徹な判断と、側室の出自、家中の派閥争いなど複数の要因が絡み合い、政治的に“存在してはならない子”として扱われる。
その結果、忠輝は幼少期から孤独と不遇を背負い、武家社会の非情さを身をもって知ることになる。物語は、忠輝の成長とともに、徳川家の内部に潜む緊張、外様大名との関係、武家社会の価値観が立体的に描かれ、読者は「権力の都合で人生が決まる世界」の残酷さを強く感じる。
同時に、忠輝自身の気質や才気、周囲の人物との出会いが、彼の運命にどのような光と影を落としていくのかが丁寧に積み重ねられていく。第一巻は、忠輝という人物の“悲劇の根”を描く導入部であり、
武家社会の冷徹さと、個人の宿命が交差する重厚な歴史ドラマの幕開け
として非常に読み応えのある内容になっています。