【感想・ネタバレ】邯鄲の島遥かなり(中)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

本土から神生島(かみおじま)への観光客も増え生活が近代化する中、一ノ屋の流れを汲み、島に巨万の富をもたらした一橋産業の一橋平太が息を引き取った。後継は先代が決して手を出さなかった軍需産業に進出する。昭和16年日米開戦。島の駆逐艦造船所を狙った米軍の空襲で町は火の海と化す。島を支えてきたはずの会社のせいで、島民たちは生きながら地獄に落とされる――。驚異の大河小説、激動の第二幕。

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Posted by ブクログ

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上巻と同様、イチマツの子孫たちをそれぞれピックアップした短編集。それぞれがイチマツの血を意識したりしなかったりの人生が描かれていた。読み進めつつ気づいたら時代が終戦まで進んでいた。上巻の始まりが幕末だったことを思い出して隔世の感と言うか。駆け足で下巻へ。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上)(中)(下)まとめて。
氏の著作はこれまで少なくない数読んでいるが、おそらく大方が抱かれる感想と同じく、「これがあの貫井徳郎が書いた小説か…?」というのがまず、最初に感じたこと。
それほどまでに趣を異にする長編大河小説である。
なんだか登場人物の弁明を読んでいると、京極夏彦氏が書く文体を想起してしまった、それほどまでに。
もちろん叙述トリックの出番はない(笑)。
そして全編を通じ、そこはかとなくユーモラスというか微かではありながらも絶対的な陽気さのような空気が漂っていることもまた、これまでの氏の作品群とは一線を画す。
と言っても、その明るさは上巻が顕著、中巻以降はやや薄れていき、相対的にシリアスさが増していくわけだが…。
特に第五部、あまりにも物哀しい「夢に取り憑かれた男」を機に、その傾向が強くなっていく気がする。
また、そもそもが一ノ屋という特異な家系を軸としたクロニクルの体を取っている物語だが、薄まると言えばその"一ノ屋色"も同様。
限られた紙幅の中に戦争というものがもたらす深い闇を余すところなく存分に著しきった第十二部「勝ってくるぞと勇ましく」、続けてさらに直截的に絶対悪である戦争の悲惨さを訴えた第十三部「子供たち」あたりが象徴的であるように思うが、作中の時代が下がるごとに一ノ屋の血の重みは排され、日本という国の変容を描くことに重きが置かれていく。
終盤、第十六部で一ノ屋は名実ともに終焉を迎えることになるが、そこでは時代の変遷とそれに伴う社会の変質がダイナミックにぎゅっと凝縮及び集積され、実に端的に示されている。
長く紡がれてきた物語は続く第十七部で幕を閉じるが、著者が始めから決めていたというラストシーンは決して気負うことなくするりと、それでいて前を向き腰を据えているのがまた、良い。

ただ大河ではあるが、その全容は大きな一本の奔流というよりも、それぞれに独立した中編の集合体であるという印象が強い。
私見を申せば、時空を超越した有機的な連環による驚きがもっと得られていれば、さらに感慨は深まっただろう。

「苦手なことに諦めず挑み続けたこともまた、良太郎の才能だったのではないかと今は思える。」
「でも頭が切れる人間は、先が見えるから簡単に諦めてしまう。粘りがないんだ。意見が違う人間を説得することなんて、馬鹿馬鹿しくてやってられない。」
「小説家は掴み所がなかった。駄目と即断できない代わりに、これでいいという到達地点が見つからない。言わば、果てしない道のりを歩いているような行為だった。この、霞を手で集めるような空しさを、小説家はどのように克服しているのか。」
「アメリカも日本も、女が政治家をやってれば戦争なんて起こさなかったんだ」
「たとえメイ子が百歳まで生きようと、日本は才ある女を生かせる国にはならない気がした。」
「何が正しくて何が間違っているかは、戦争に勝った方がきめるんだよ」
「『馬鹿だねぇ』
 ~中略~
 自分が一番聞きたかった言葉は、このひと言だったのではないかとすら思えた。」

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上中下巻の中。昭和の初めから昭和20年の終戦まで。前回同様今回も一ノ屋の血をひく者たちの物語。男子普通選挙や戦争などの日本全体に関わる事や、一橋家の隠し子問題や「千里眼」を語る親子の話。この物語は一体どこへ向かっているのか?正直な感想としては、著者のファンでないとなかなか読み進める事は難しいのでは?と感じてしまう。次巻は3部作の最後としてどういう結末を迎えるのか気になるので、次巻も当然読むつもり。

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2024年11月05日

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