あらすじ
ピンチばかりの毎日に。
夫婦の冷戦、うす毛問題、時代とのズレ……
迷える日常が楽しく化けるマナー考!
ジェーン・スーさんとのナルホド対談収録
サインペンで胸毛を書いた10代。
バンド活動に苦心した20代。
おしっこをちびるようになった30代。
そして、生まれて初めて
母にプレゼントを贈った60代――
何度もの赤っ恥体験の末、今こそ綴る “意地を張らずに生きる” ヒント
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
松任谷正隆(1951年~)氏は、東京都生まれ、慶應義塾幼稚舎・普通部・高等学校・大学文学部卒。4歳頃からピアノを習い、大学時代にはキーボーディストとしてプロのアルバム制作やライブに参加。1973年に細野晴臣、鈴木茂、林立夫とキャラメル・ママを結成し、その後ティン・パン・アレイに移行するとともに、アレンジャーとしての活動も始める。1976年、荒井由実と結婚。キーボーディスト、アレンジャーのほか、音楽プロデューサー、作曲家、モーター・ジャーナリスト、タレント等として幅広く活動。
本書は、読売新聞(夕刊)の「マナー」に連載されたエッセイをまとめたもので、2021年に出版、2024年に文庫化された。
松任谷正隆氏と言えば、若い世代にとってはユーミンのご主人として有名なのだろうが、私は松任谷氏に近い(ひと回り下)世代なので、これまで、本人の音楽活動ほかの様々な面を見てきており、また、良家のお坊ちゃん(こういう書き方は失礼か。。。)であることも知っていたので、その松任谷氏がマナーについて書いたエッセイ集ということで興味を持ち、手に取った。松任谷氏のような、品があって、カッコいいおじさんになりたいというのも、言わずもがなの動機である。(私は新聞は他紙を購読している)
読み終えて、氏の育ちの良さが随所に現れている(本人もそれは隠そうとしていない)のだが、いわゆる世間一般の考え方・マナーとの違いと、行きついた微妙なバランス、また、ユーミン(荒井家も同じく良家だが)のそれとの折り合いの付け方など、なかなかの面白さであった。それにしても、ユーミンのことをこんなに書いてしまっていいの?と思うところもあったが、そこを含めてこのご夫婦のバランスなのだろう。
という通り、本文そのものにも「品があって、カッコいい」おじさんになるヒントは沢山あったのだが、加えて気に留まったのは、巻末のジェーン・スー氏との対談であった。スー氏(因みに、日本人の女性である)は、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞も受賞しているコラムニスト、ラジオパーソナリティーだが、お互いのやりとりは流石で、特に、最後の「松任谷さんは、わざわざ力の誇示をしない方ですね。男女を問わず、こういう話を面白がって聞いてくれる人って、人生が充実していらっしゃるんですよね。面倒な話になったら、不機嫌になる人が大半なわけで。・・・松任谷さんは「私たちの話を聞いてくれる人」と、おばさんに見込まれてしまった(笑)。」というくだりは、ときに思い出したいものであった。
“意地を張らずに生きる”ヒント満載の一冊である。
(2025年7月了)
Posted by ブクログ
なぜこの本買ったんだろう?よく覚えてないんだけど、吉田拓郎とのラジオでのやりとりをYouTubeで聴いて、思ってた感じの人じゃ無いんだと分かり、何かのキッカケで。近い世代の先輩、同感できる所、ここまで赤裸々な所、エッセイとはこうなのか!と、2、3話を箸休めで読ませていただき、日常に入ってまいりました。ありがとうございました。理不尽な世の中、男と女の思考の違い (脳梁の太さにも起因するとか) 共感です!
Posted by ブクログ
タイトルがまず笑える…文庫新刊のコーナーで見つけて購入。大スターのユーミンのご主人ってどんな感性の人なんだろう。非常に興味深かったが、至って普通の感覚を持った方でした。
生活における様々な角度からマナーを面白おかしく論じ、今回の文庫化にあたり、特別に書き下ろした2編も加えている。しかしトイレがらみのお話が多い気がする。また、どうしても『かみさんが…』と書いてある部分がユーミンのことかと気になって仕方がなかった。
ランダムに『へぇ』と思ったこと。
・ユーミンは休みの日に電動ママチャリに乗っている。(ステージでは象に乗っているが)
・正隆さんはスイカやメロンの食べ終わった皮はすぐ捨てると臭うので、ゴミに出す直前まで冷やしている。
・正隆さんは生きたロブスターを食べることが可哀想でできなくて、横浜埠頭から海に放った。(まじか?)
・ユーミンは蕎麦にわさびを塗り、めちゃくちゃ大きな音ですする。
・ユーミンはツアーの最中には最終日までぎっくり腰にならないように気を使うらしい。
何だかこの夫婦が余計好きになったなあ。
松任谷正隆さん、調べてみたら昔からたくさん書籍も上梓されてるんですね。他の本も読んでみようかな。
Posted by ブクログ
・大体一話3ページで、最後着地しているので読みやすい
・筆者とは男女差・年齢差があるが、同じ気持ちを抱かなくても理解できる部分やなるほどと思える部分が多かった
・おじさんの生き方ではなく、1人の人間の生き方が記されている
Posted by ブクログ
気になる松任谷夫妻の内側を垣間見れたり、松任谷さんの老いに対する心の揺れがわかったり、と、楽しめながら読み進められた。
ジェーン・スーさんのインタビュー記事、話が噛み合わなさ過ぎて、端から読んていると盛り上がりにかけたのが残念。
Posted by ブクログ
2021年に出た単行本の文庫化で、それも5年連載されていたエッセイをまとめたものだから、あとがきでご本人もおっしゃっているけれど2021年の時点で『古い』と思っていることもあるわけだからそこからさらに3年。たしかにその感は否めない。とはいえ、文庫版特典の書き下ろし、ジェーン・スーさんとの対談、面白かった
Posted by ブクログ
その昔、若かりし頃、ユーミンの音楽が好きすぎて、ユーミンにまつわるありとあらゆる情報を手に入れようと頑張っていたことがあった。
勢いあまって夫である松任谷正隆さんの深夜番組カーグラまで見てしまったことがある。あれはインターネットのない時代の、精一杯の推し活であった。
そんなわけで、このエッセイもユーミンのこと書いてあるのかなという期待で読んでみた。期待通りユーミンが登場した時は嬉しくなった。うん十年前の私なら10回は読み返したかもしれない。
とはいえ、このエッセイはユーミン以外のエピソードも面白く読みやすく、さくさくと読める。最後の方にジェーン・スーさんとの対談か収載されているが、「男女の微妙な問題を扱いながら、地雷源ギリギリのところを絶妙のコーナリングですり抜けていらっしゃる」には言い得て妙だと思った。
Posted by ブクログ
ユーミンのパートナーってどんな人かな?と思って読んでみました。面白かったです。巻末のジェーンスーさんとの対談も楽しい。おじさんだけど、謙虚。謙虚だけどプライドもあるし、実力もある(多分)。由美さんとか、かみさんとかって出てくるユーミンの話も嬉しい。するする読めるエッセイでした。
Posted by ブクログ
洒落の効いたタイトルに惹かれて取った一冊。
本書は筆者である松任谷正隆の日常で起こったことを1話3ページ程で綴った短編集。
内容はタイトルのとおり、
「おじさん(おじいさん)」であることを自覚している筆者が世の中の価値観などの変化に翻弄されながらも、それを受け入れながら日々アップデートしていく様を描いている。
人間は年を重ねるほどに排他的になり、
「周りの変化は自分にとっては不要。自分はこのままで良い」
「昔は良かった。今は云々、、、」
といったようなケースに陥りがちだ。
自身への戒めとして、
いつまでも新しいものを受け入れるスタンスを持って自身をアップデートし続けていかなければ淘汰されてしまうなと考えさせてくれる一冊だった。
(エピソードの一つ一つはとてもコミカルな話が中心で、松任谷由実との夫婦生活などもほのぼのとしたものが多く、ライトに読めるのも本書の良さだと思う。)