あらすじ
「民意」を作るのは、わずか0.2%のユーザーだった!
ネット上で多数派に見える意見や大きな広がりを見せた運動は、必ずしも実際の世論と相関しない。もはや「常識」にも思えるこの乖離は、なぜ、どのように生まれるのか? 思い込みや偏見・党派性を排した定量的なデータ分析のみに基づき、ネット世論の実態や生成プロセスを解剖する。国政選挙や地方首長選挙から旧ジャニーズ事務所性加害問題まで、ネット上に形成された「民意」の正体に迫り、社会変革の可能性までを論じる快著
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匿名
面白かったです。
「世論とは何か」をテーマに、データ分析に基づく考察が展開されており、新しい見方ができました。
SNSという手段ができて誰もが簡単に自分の意見が発信できる現代で、情報の本質を掴むことの大切さと難しさを感じました。
調査方法や調査対象、統計処理の方法、参考文献など細かい表記に配慮されており、「簡単に読める(ようにしてくれた)論文」のような感じです。
SNSの特徴と社会の反応を客観的に知ることができて、とても面白かったです。
Posted by ブクログ
ネット世界はマイノリティーのマジョリティー化になりやすいことがよく分った。
フィルターバブルとエコーチェンバー下にいることに意識していきたい。
事実と意見を分けて考えていくことが大事であるんだな。
Posted by ブクログ
私はX(旧Twitter)はほとんど使わない。
というのも最近は過激な意見が多く、殺伐としていて心が疲れてしまうからだ。
右も左も罵倒しあって、妊婦や母親は常識がないし乗り物では嫌な思いをするし夫婦は不倫をするもので…。
でも、それって本当かな?
特に何もない人は話すことがないのでは?
本書はそんな「なんとなく」感じている「印象」について、データ分析を元に構造や実態を解明しようとするものだ。
結論から言えば、私が感じていた「印象」(イメージ)は当たってもいるし当たってもいない。
例えば、ネット右翼は男性が顕著に多い(118頁)一方で、保守的な人の方がアクティブであるという実証はなされなかった。
同様にリベラルな人はポストをしがち、というのも統計上は当てはまらない(110頁)。
しかし、一部の人の意見がまるで大多数のように見えがちという点ははっきりと示される。
77頁にあるように、ある時期においては0.2%のアカウントが約52%のXの世論を作っていた。
繰り返し著者が言う「エコーチェンバー」の存在を感じる。
232頁にある、あなたのタイムラインは「あなた好み」に編集されているということや、
ソーシャルメディア上で見ている情報は感情的な言説であるということ、
だからこそ「事実」と「意見」を分けよという言葉は重くひびく。
私たちが見ている世界は世界の一つの形ではあるが全てではない。
皆が「私」を称賛し賛同してくれる心地よい世界は幻あるいは偽りに近い。
ネットリテラシーへの、あるいは自分と他者との向き合い方を今一度振り返り、耳にいたい言葉にも耳を傾ける。
それは辛いこともあるが、社会とはそもそもそういうものだ。
だからこそ人と人はつながったり離れたりする。
ネットから離れる強さ、自分以外の声に耳を傾けられる強さを持ちたいものだ。
Posted by ブクログ
ネットと付き合う際の距離感を考えさせてくれた。
マスメディアとネットメディア、どちらも鵜呑みにするのではなく、それぞれの特性を理解した上で観ることが大切と思う。
Posted by ブクログ
衆議院・参議院・大阪府知事選挙でのネットの投稿としてXがどのように変化していくかに量的分析を行った結果の説明が主体である。フジテレビの事件の話題についてのXの投稿も調べている。
大学生が卒論でこのままの調査をやるのは大変である、3000人で半数の1500人はXをやっていないので、分析から除かれてしまう。大学生が行うのはせいぜい100人レベルであろう。