あらすじ
放浪中のリーチャーのもとに奇妙な依頼が届いた。
亡兄の恋人であり、シークレットサービスの幹部であるフレイリックから、
暗殺予告が届いた次期アメリカ副大統領を守ってほしい、と。
リーチャーは戦友のニーグリーに協力を仰ぎ、依頼に応じるのだが。
世界49ヵ国でシリーズ累計1億部突破。
究極のアクション・ミステリ、ジャック・リーチャー・シリーズ!
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Posted by ブクログ
リー・チャイルド『副大統領暗殺 上』講談社文庫。
現在、アメリカで刊行されているジャック・リーチャー・シリーズ全28作の第6作で、邦訳作品では第15作目にあたる。
記憶にも新しいトランプ元大統領の暗殺未遂事件は非常に衝撃的な事件だった。普通の若者が高性能ライフルを簡単に入手出来て、簡単に凶行に走ることが出来るという事実は、銃社会アメリカの病巣を再び浮き彫りにした形となった。犯人の若者がその場でシークレットサービスに射殺されるという如何にもアメリカらしい無慈悲な決着の付け方にも驚かされた。
2022年には日本でも安倍晋三元首相の手製銃による暗殺事件が発生し、日本国内を震撼させた。
こうした事件の記憶もあってか、本作に描かれる次期副大統領暗殺というのは非現実的な話ではなく、寧ろリアリティのある話に変わって来る。
それにしても、次期副大統領の警護を風来坊の元憲兵隊のジャック・リーチャーに依頼するというのは少しぶっ飛んだ考えのようなのだが、依頼主のシークレットサービスの幹部であるフレイリックがリーチャーの兄のジョーの元恋人であったということで、何とか辻褄を合わせようとしているかのようだ。
一種のヒーロー物のアクション小説ではこうしたご都合主義的な描写も面白さの一つとして捕えても良いだろう。
なかなか面白いストーリーである。アームストロングが2度射殺される場面には驚いたが、読者のミスリードを誘う巧い描写に思わずニンマリした。
家も車も持たず、あらゆる痕跡を消しながら放浪を続けるジャック・リーチャーにシークレットサービスの幹部であるM・E・フレイリックから奇妙な依頼を受ける。その依頼は、10日間のうちにアメリカ合衆国の次期副大統領、ブルック・アームストロングを暗殺する機会を狙い、警備体制の問題を明らかにして欲しいというものだった。
依頼を受けたリーチャーは元部下のフランシス・ニーグリーの協力を仰ぎ、僅か5日間で次期副大統領が3.5回も暗殺が可能だったことを知らせる。
フレイリックは警備体制に問題があることに衝撃を受けると共に、リーチャーに次期副大統領の暗殺予告が届いていたことを明かし、リーチャーとニーグリーに次期副大統領の警護の強化を依頼する。
謎の暗殺予告犯を突き止めようとするリーチャーたちだったが、何者かにより次期副大統領と同じアームストロングという名の似たような風貌の男性が2人も射殺され、犯人からそれが予行演習だと言うメッセージが届きたくさんいよいよ次期副大統領暗殺が現実味を帯びて来る。
本体価格1,100円
★★★★★
Posted by ブクログ
▼安定のジャック・リーチャー・シリーズ。
副大統領に、暗殺を匂わす手紙が来て、リーチャーが依頼されて「その警護係」をやりながら、最後には犯人をやっつける。以上。
▼きっかけは、
・副大統領を警護するシークレット・サービスのとある女性から依頼。彼女はリーチャーの亡くなった兄の、元彼女だった。
そして、その彼女とリーチャーが結局恋愛関係になる。んだけど、彼女が殺されてしまう。というわけで、副大統領を守る、という目的が「彼女の仇を討つ」に変換されて最後の戦い。
▼いつもどおり、全体の七割地点まで、犯人と動機が明確に分からない。分かったらあとは段取り(笑)。今回みたいに国家権力そのものと共闘すると、仕方ないですね。
▼ちょっと違うのはほぼ全編、「リーチャーの軍隊時代の部下の、強い女性ニーグリー」が相棒として活躍。リーチャーとのやりとりがちょっと面白い。