あらすじ
すべての予定が消えた今、今日は何をしよう――。深刻さと楽観視がくるくる入れ替わったあのころ。おうち時間に作った「噛むとゴリゴリ鳴るほど固いパン」を家族で食べ、リモートでラジオに生出演し、カフェで談笑する女子高生を見かけ彼女たちが「好きな人のマスク姿」にときめく様を想像する。2020年、めまぐるしい日々のなか綴られた著者初の日記エッセイ! 直筆カラー挿絵など計34点を収録。(解説・加藤千恵)
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Posted by ブクログ
綿矢りささんのエッセイ。
エッセイというか2020年(コロナ禍)に書かれた日記です。
液体石鹸から固形石鹸に変えたり、安売りされてるオリンピックグッズを見て切なくなったりは共感。
あと遅まきながら五木寛之さんの大河の一滴は読もうと思いました。
あとがきが凄く良かったです。特に最後のところ。
引用。
とりあえず、くつろぐ。難しいけれど、今必要とされるスキルかもしれない。暴風で前髪がぼさぼさになりほとんど前が見えなくても、飲んだ紅茶に風で飛んできた砂ぼこりがいっぱい入ってても、のどかに飲んでいる体を失わずにリラックスする。やせ我慢と紙一重の、のんびりしたひとときだ。一度泣いたらもう立てないと直感で分かる時がある。そんなとき頼れるのはもう矜持しかない。ものすごい強風が吹いている中、優雅に午後のお茶を意地でも楽しもう。
緊急でない事態の、日常の大切さ、得難さを知っているからこそ、世の流れに従いつつ、自分の周りの生活のテンポを見失わずにいたい。
つくろわないで、くつろいで。
忙しすぎると気づかないけれど、無風と思われるときも清々しい風はわずかに吹いている。微かなそよぎを頬に感じながら日々を過ごしたい。
引用したところが特に刺さったので星4。
最後の加藤千恵さんの解説で、タイトルにころな入っているのに気付きましたw