あらすじ
現象に内在する精神とは? 精神のエコロジーとは? 科学と哲学をつなぐ基底的な知の探究を続けたベイトソンの集大成.その生涯にわたる思索の足取りをたどる.上巻はメタローグ・人類学篇.頭をほぐす父娘の対話から,隠喩と類比を信頼する思考の方法,集団間の緊張を高める「分裂生成」の型とそれを回避する「プラトー」の概念まで.
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Posted by ブクログ
ベイトソンは難しいという固定観念が強固にあったが、「やさしいベイトソン」を読んで、もしかして読めるかも?と思って、挑戦。
文庫本になったので、中古の高い本を買わなくても良くなったし。
上巻の冒頭は、娘との対話を通じて、ベイトソンの思想を伝えつつ、だんだんずれていく感じ、循環する感じもあり、決して、父が娘に伝える〇〇学にはならないところが良い。
そして、後半はまずは人類学者としての代表的な論考が紹介される。最初の「文化接触と分裂生成」は、ほぼ何を言っているか分からず、やっぱベイトソン苦手と思うのだが、その後の講演や論文、エッセイは思ったより読みやすい。
現時点は、疑問符がたつ論考もあるのだが、ここで読むべきことは、彼の議論の内容というより、思考プロセスの方。要るにこれはシステム思考というか、サイバネティクスではないか。
人類学的なフィールドワークを積み重ねつつ、何らかのコンセプトを見出すとそこから俯瞰的に全体を見て、目に見えないダイナミクス、システムを発見していくような感じ。
ギアツなどの解釈学的な人類学では、勝手に一般化、理論化しているという批判も多分あるだろう。そして、私もそうだと思う。
が、それでもワクワクするのは、ベイトソンの思考が見えてくるからだ。なんだか、自分と似たタイプの人かもしれないと思い始めている。
さて、中巻は、精神医療的な世界、いわゆるダブル・バインド論の登場だ。楽しみだ。
Posted by ブクログ
スゴ本で紹介されていたので気になっていたが長期間積読であった。
難解でなかなか頭に入ってこなかったが、逆に親子の対話の部分は非常に読みやすかった。その中でも、弱い犬が強い犬にお腹を見せて戦いを避けようとする行為は本能のなせることなのか?などは確かに未来の負けを想定しての行動にしか思えない。
興味のまま様々なことを研究し、それらが互いに関連していってることに気がついたのか、はたまた、あることを研究するとこっちも研究したくなってそれの繰り返しで研究テーマが多岐に渡ったのか、それすらわからなかった。多方面の知識が繋がって何か画期的な改善策や進歩が生まれるのだろう。しかし人間が詰め込める情報量には限界があるから、まさにAIがそれを担うことになるのか、と思った次第。