あらすじ
モノレールに乗る人、モノレールを支える人。一本のレールがつなぐ人間ドラマを、お仕事小説の名手が、あたたかい筆致で描き出す。
2024年に開業60周年を迎えた「東京モノレール」を舞台に描く、日本初「モノレール小説」出発進行!
【本書の目次】
*清藤澄奈 三十五歳 総務部
*梅崎初巳 三十歳 運輸部、乗務区乗務員
*水村波衣 二十五歳 営業部、駅社員
*杉本滋利 四十歳 技術部、施設区線路
*『東京モノライフ』
*あとがき
*おまけ
【著者メッセージ】
東京モノレールさんはおもしろいなと、前から思っていました。浜松町から羽田空港までモノレールを走らせる会社。
とてもわかりやすいです。でもそのなかには、運転士のかたがいて、駅員のかたがいて、保守のかたがいて、総務のかたがいるはずです。
その全員を書きたいなと、あらためて思いました。
ちょっとお話を聞かせてもらえたらうれしいんだけどなぁ。
東京モノレールさん。予想を遥かに超えてきました。神対応というものがもしあるなら、まさにそれでした。
望んだ人全員のお話を聞かせていただくことができ、望んだ以上のものを見せていただくことができました。
(本書「あとがき」より)
カバーイラストレーション/古屋智子
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Posted by ブクログ
今回もとても面白かったです。
東京モノレールという会社で働く4人の物語!
それぞれの仕事や人生において、東京モノレールが絡んでくる。
私は地方に住んでいるので、「東京モノレール」という名前や天王洲アイル駅など、多少聞いたことがある程度、です(笑)
すごいところに着目した小説でした!
小倉さんが「ドラマ」にしたお話も面白かったし、本人役で出てるのがいいですね。
久々に小野寺さんの著書読んで、また他の作品も読みたくなりました!
Posted by ブクログ
「まち」とか「ひと」とかと同じようなタイトル
「モノ」だから「物」かと思ったら
モノレールの「モノ」
モノレールなんかーい!と
ツッコミ入れたくなった
でも確かに表紙がモノレールの絵やんな
東京モノレールで働く4人の話
田舎者の私は、東京モノレールに縁がなく
具体的には、脳内映像化出来ず残念
東京が近くやったら今すぐにでも
乗りに行くのになぁぁ
あとがきにあるように
東京モノレールでかなり取材したようで
話の中に説明が多かったわ〜
私の想像力では理解できにくいとこもあり
ちょっと読むのが疲れるとこもあったかも
でも相変わらずの良い人しか
出てこない設定は、かなり良き!
「タクジョ」の夏子さんも出てきて
嬉しかった
最後の「東京モノライフ」が良い
小説読んでドラマ化したら?とよく思うけど、
まさかの小説の中身がドラマ化なんてね〜
『全てにおいていやな人間なんて
そんなにいないと思う』ってのが
まさに小野寺さんの小説に
嫌な登場人物がいない理由なんかもなぁ
橋の向こうの人から手を振られたら
振ってしまうシーンとか
すごくわかるし、ほっこりするよね
おまけも良かった!
結局、小野寺さんの本は毎回
読んだ後、私も頑張ろうと思えるから
ありがたいわ
Posted by ブクログ
東京モノレールで働く人々の日常を描いた連作短編集。
「ひと」「まち」と続けて読み、著者の文体にも慣れたうえで本作に入ったのだが、今回はその文体のクセがやや強く出ているように感じた。これまで読みやすさにつながっていた短い一文のリズムが、本作ではより前面に押し出されており、逆にしつこさとして気になってしまった。
また、以前から感じていたが、登場人物の名前の独特さも今作ではとくに目についた。ヒューマンドラマとしてごく普通の人を扱っているはずなのに、姓名ともに一般的ではない名前が多く、覚えにくさも相まって物語に集中しにくい場面があった。特に「○○歳の人がこんな名前?」と思うような字や響きの名前が多くあり、姓名の漢字の組み合わせやリズムがしっくりこないケースが多いと感じた。日常を描いた作品であるぶん、名前のクセがノイズに感じられてしまう。
さらに、東京モノレールの路線解説が毎章入る構成も、少し冗長に思えた。独身の登場人物たちが最終的に恋愛に向かうような終わり方が続く点も個人的には物足りない。もちろん恋愛がテーマとして出てくるのは自然だが、家族にならなくても、信頼できる友人の存在に希望を見いだすような締め方があっても良いのでは、と少しモヤモヤした。
とはいえ、地に足のついた人々の暮らしを丁寧に描く作風そのものは好きなので、気分転換したい時にまた別の作品も読んでみたいと思う。